チョウチョはなぜ1頭2頭と勘定するの?

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★日本語★
問題:虫はふつう1匹、2匹と勘定します。「匹」は助数詞と呼ばれます。英語で言えば「counter」だそうです。「勘定するもの」ですね。
■「匹」が使われるのは、「動物・鳥・昆虫・魚」などだそうです。犬の場合も1匹2匹と勘定します。でも土佐犬とかグレートデンのように大きな犬になりますと、1匹というよりは1頭というほうがいいのかなと思ってしまいます。土佐犬でも子犬ならば1匹かな。どちらかといえば大型の動物は「頭」、小型は「匹」。そんな感じがしますよね。
■ところが、不思議なことに昆虫の「てふてふ」は1頭2頭と勘定するそうです。蝶々ですね。モンシロチョウが1頭とアゲハが2頭、花畑を飛び回っています…なんて表現するのが正統だと聞かされました。
■この風習は外国からもたらされたそうです。では、それはどの国の風習だったのでしょうか?
[い]中国
[ろ]インド
[は]イギリス
[に]ドイツ
[ほ]アメリカ
(答えはずっと下↓ スクロールして下さい)

























★日本語★
正解:[は]イギリス
説明:イギリスはダーウィンなどに見られるように虫とか動物の学問については先進国だそうです。そのイギリスには蝶々の動物園などがあるらしい。動物園の中の昆虫園かもしれませんけど。そこで「head」という「counter」を使っていたようです。
■もともと、イギリスでは牛などの家畜を勘定する際に「head」が使われていたらしい。その勢いで、動物園にいる動物もみんなまとめて「head」で勘定していたそうです。明治の初めごろに日本に輸入された書籍の中でも「head」だった。それが「頭」と直訳されたとのこと*1。
■な~んだ。蝶々を1頭2頭と勘定するのは、翻訳者が手間を省いたからですか。あるいは語彙が足りなかったのかな。それとも盲目的な西洋崇拝かな。
■由緒正しい表現なのかと思いこんでいました。これまでは「蝶々の数を表現する場合にはちゃんと『頭』を使おう」と少し緊張していました。損しましたね。まぁ、昆虫業界の方々は「頭」でもなんでも使えばいいでしょう。でも非業界人としては、これからは匹で勘定することにします。
■「匹」という漢字は象形文字だそうです。漢和辞書「字通」によれば、「馬が並んでいる前脚と胸腹部とを、複線的にしるしたもの」とのこと(口絵参照)。口絵の感じではまだ匹のおもかげがある程度ですが、これから徐々に変態を遂げて漢字の「匹」になるらしい。
■馬の勘定は「匹」でするほうが正統派なのかもしれません。「古事記」には、「百済の国主照古王、牡馬壹疋、牝馬壹疋を…(献上した)」(中つ巻)なんて記述が見られます。「壹」は「壱」とおなじで「一」ですね。「平家物語」を見ると、「馬三疋(びき)ひかる。一疋に鞍おいたり。…(引き出物として)馬三匹が贈られた。一匹には鞍が置かれていた」(征夷将軍院宣)と疋が使われています。
■江戸時代の瓦版でも「馬五百疋」(浅間山噴火の被害を伝える記事)などと「疋」が使われています。ちなみに、「疋」という漢字は、「匹に足の形を加えたもの」だそうです*2。残念ながら、わが中央競馬会は「16頭が出走」などと「頭」を使っています。盲目的な英国崇拝かな。
■もし「頭」という助数詞が伝統のない言葉なら、いっそ動物はみんな「匹」で統一してしまえばいいかもしれません。無意味かつ細かいことに気を配らなくてすみます。すでにその先鞭をつけた文芸作品があります。「男一匹ガキ大将」。あるいは「三匹の侍」。芸術性の高い作品はちゃんと伝統を守っています。なんてね。
◆参考*1:HP「気になることば」
http://www.nhk.or.jp/a-room/kininaru/2007/06/0626.html
◇*2辞書「字通」白川静、平凡社

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