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zoom RSS 交ぜ書き表記を駆除する問題。伴りょ(ハンリョ)は正しくはどう書くの?

<<   作成日時 : 2017/07/24 08:52   >>

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★日本語★
問題:交ぜ書き(混ぜ書き)表記とは、本来漢字だけで表記すべき熟語を、ひらがなを交ぜて書くことです。戦後に始まり、現在に至っています。戦前にも表記の不統一がなかったわけではありません。それは作家の気分や記者の不勉強によるもので散発的でした。でも戦後の混ぜ書き表記のような組織ぐるみの犯罪的行為はありませんでした。
■発生した最大の原因は戦後のマスコミが植字工の手間賃を惜しんだことだそうです。漢字だけで表記すると読みにくい熟語もあります。戦前は振り仮名が振ってありました。これが新聞や雑誌の経営者にしてみると腹立たしいことだったようです。振り仮名を振ると手間と時間、費用が増えます。
■1946年(昭和21年)に国語審議会が答申し、内閣が告示した当用漢字表の出現も、交ぜ書き表記の蔓延(マンエン)を後押ししたらしい。ちなみに当用漢字表は、当時の連合国最高司令官総司令部(GHQ)の占領政策、国語国字改革の一環だそうです。現在では常用漢字表と名前を変えて生き続けていますね。
■交ぜ書き表記の最悪の影響は、文化の断絶にあります。長く続いて来た言葉の表記を変えれば、覚えることが増えます。多くの場合は取っつきやすいほうの表記…交ぜ書き表記だけを使って、意味を伝えやすいほうの表記…漢語の表記を使わなくなります。昔の漢語表記で記された文物が読めなくなります。もちろん、デジタルデータにおける検索にも少なからぬ影響が出てきます。それらの結果として日本語は「情報伝達の効率が低い言語」になってしまいます。
■さて、題の答は「伴侶」です。一緒に連れ立っていく者ですね。最近ではパートナーなどと呼ばれます。人生の伴侶。昔の結婚式ではよく耳にした言葉です。いまでは「終生のパートナーとして」などという表現が一般です。日本語に敏感な人にとっては、お尻がむずがゆくなる言い方ですね。
■「侶」という漢字は平成22年(2010年)に常用漢字表に追加された196字のうちの1つです。読みはリョという音読みだけ。漢和辞典「字通」によれば「リョ、とも、ともがら」という字音・字訓があります。人偏を除いた旁の部分、「呂」は象形文字で、青銅器などの原料に使う銅塊を表わしていたらしい。同質・同量のものを意味するそうです。最初は上下を繋ぐ線がなかったらしい。説文解字(セツモンカイジ、中国最古の部首別漢字字書)あたりから繋ぐ線が生じたようです。
▼甲骨文字の呂
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▼説文解字(セツモンカイジ、中国最古の部首別漢字字書)の呂
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まったく同じ立場の人(人偏)、同じ位置の仲間が「侶」と表わされたようです。
■では本題です。日本語の害虫、交ぜ書き表記を駆除する作業に立ち会っていただきましょう。次の交ぜ書き表記を正しく書き直してください。
[い]男は度胸、女は愛きょうの「愛きょう」
[ろ]世のすう勢には従わねばならないの「すう勢」
[は]密入国をあっ旋する業者がいるの「あっ旋」
[に]数奇な運命に翻ろうされたの「翻ろう」
[ほ]元気ではつ剌とした中高年は少ないの「はつ剌」
(答えはずっと下↓ スクロールして下さい)



























★日本語★
正解:各項目を参照してください
説明:[い]男は度胸、女は愛きょうの「愛きょう」は愛嬌と書く
■愛嬌は「にこやかで、かわいらしいこと」だそうです。愛敬とも表記します。「相手を喜ばせるような言葉、振る舞い」も愛嬌です。愛想という言葉もあります。こちらは「応対の仕方、好感を持たれる言葉遣い、表情、態度など」だそうです。とてもよく似ていますね。
□お金を払って酒を飲む場では、愛嬌のある接客係は大切です。優れた美貌よりこぼれんばかりの愛嬌。ナンバーワンには飛びっ切りの美人は少ないと言われます。持って生まれた姿よりも努力して得た愛嬌のほうが武器になるのかな。
□「嬌」という漢字は常用漢字表には掲載がありません。漢和辞典「字通」によれば「キョウ、なまめかしい、あでやか」という字音・字訓があります。説文解字の嬌の字は男性が女性を抱き寄せようとしているように見えます。気のせいかな。
▼説文解字(セツモンカイジ、中国最古の部首別漢字字書)の嬌
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[ろ]世のすう勢には従わねばならないの「すう勢」は趨勢と書く
■趨勢は「物事がこれから先どうなってゆくかという様子、成り行き」だそうです。最近ではトレンドなどと呼ばれます。
□「趨」という漢字は常用漢字表には掲載がありません。漢和辞典「字通」によれば「スイ、シュ、はしる、すみやか」という字音・字訓があります。趨勢は「走る勢い」なんですね。それも人間が競技場を走る場面ではなく、猫科の大型捕食獣が平原を走る場面らしい。餌食になる草食動物の逃げかた次第で向きを変えねばならないのでしょうね。
[は]密入国をあっ旋する業者がいるの「あっ旋」は斡旋と書く
■斡旋は「交渉や商売などで、間にはいって、両方の者がうまくゆくように取りはからうこと。また、物事を紹介し世話すること」だそうです。男女の仲を取り持つと月下氷人(ゲッカヒョウジン)と呼ばれることもありますし、売春斡旋で捕まることもあるようです。なお、月下氷人は仲人のことです。
□「斡」という漢字は常用漢字表には掲載がありません。漢和辞典「字通」によれば「アツ、ワツ、カン、めぐる」という字音・字訓があります。旁のほうに「斗」という部品があります。北斗七星を意味しているらしい。北極星の回りを北斗七星がまわる。そこから「斡」の意味が生まれたようです。
[に]数奇な運命に翻ろうされたの「翻ろう」は翻弄と書く
■翻弄は「思いのままにもてあそぶこと」だそうです。数奇な運命に翻弄された女性といえばノーマ・ジーン・モーテンソンを思い出します。貧しい生まれでしたが芸能界入りして苦労しながら頭角をあらわし、ついには大統領の愛人とまで噂されましたが、自殺とも他殺ともわからない若い死を迎えます。芸名はマリリン・ホンロー。失礼、モンローの間違いでした。
□「弄」という漢字は平成22年(2010年)に新たに常用漢字表に追加された字のようです。「ロウ、もてあそぶ」という音読み・訓読みがあります。漢和辞典「字通」によれば「たわむれる、このむ」という字訓もあるようです。玩弄(ガンロウ)という熟語を造ります。「もてあそぶこと、なぶりものにすること」だそうです。玩具のように弄ぶのかな。
[ほ]元気ではつ剌とした中高年は少ないの「はつ剌」は潑剌と書く
■潑剌は「生き生きとして元気のよいさま」です。本来はイキのいい魚が跳ねるさまだったらしい。元気潑剌という四字熟語のような決まり文句で使われます。溌の旧字「撥」と剌の異体字らしい「溂」があります。組み合わせて、溌剌・潑剌・溌溂・潑溂という4つの表記ができます。ここでは漢和辞書「字通」に掲載されていた潑剌という表記を正解としましたが、他の表記でも問題はないのでしょうね。
□「溌」、「潑」という漢字とも常用漢字表には掲載がありません。漢和辞典「字通」には「潑」だけが収載されています。「ハツ、ハイ、そそぐ、はねる、まく」という字音・字訓があります。
□「剌」、「溂」という漢字もまた常用漢字表には掲載がありません。漢和辞典「字通」には「剌」だけが収載されています。「ラツ、レツ、もとる、いさお」という字音・字訓があります。「ばらばらになる、みだれる、ななめ、はげしい」といったような意味があるようです。
◆参考*1:HP「文化庁 | 常用漢字表の内閣告示等について | 「常用漢字表」(平成22年内閣告示第2号)」
http://kokugo.bunka.go.jp/kokugo_nihongo/joho/kijun/naikaku/pdf/joyokanjihyo_20101130.pdf
(pdfファイルを開こうとすると警告が表示されます。文化庁の頁です。ウイルスに感染している可能性はかなり低いと思われますが、自己責任で開いて下さい)
◇辞書「字通」白川静、平凡社
◇辞書「漢字源」藤堂明保、学習研究社◇辞書「日本国語大辞典」小学館
◇Yahoo! J Dictionaries 大辞泉
◇Yahoo! J Dictionaries 大辞林

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