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zoom RSS 江戸時代に流行した謎々、判じ物(はんじもの)。口絵の旧国名はどんなもの?【65】

<<   作成日時 : 2017/06/29 06:20   >>

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★日本語★
問題:判じ物は絵を使った謎々です。18世紀後半から発達した多色刷りの技術を活用し、地名・国名・動植物名・道具名・人名その他、さまざまな物を対象として作られました。
■本日は旧国名の判じ物の7回目です。旧国名とは、武蔵とか相模、尾張とか三河、河内とか摂津といった江戸時代までの地域の呼び名です。今回は東海道、本州太平洋岸中部の旧国名の判じ物です。国名は多い。伊賀、伊勢、志摩、尾張、三河、遠江、駿河、甲斐、伊豆、相模、武蔵、安房、上総、下総、常陸。全部で15もあります。今回は15の国の中でも東側の地域、伊豆〜常陸が答になるクイズです。
■なお、東海道といえば、53の宿場があったという街道の名前を連想されるかもしれません。もちろん幹線道路の呼称でもあります。ただし、「道」は行政区分の呼称としても使われたようです。いままでにご紹介した南海道、北陸道、西海道、山陽道、山陰道も、すべて街道の名前と行政区分の名前を兼ねています。明治になって確定した新しい行政区分は北海道と名付けられています。北海道だけは街道の名前はなかったようですが。
■まずは口絵の判じ物で練習しましょう。傘が半分だけ見えています。そこから人の頭がのぞいていますね。傘には「さ」の字が記されています。か(傘)+ず(頭)+さ(さ)=かずさ。上総が正解です。
■上総は現在の千葉県中部です。上総は上野や常陸とともに親王任国と言われます。親王が国守に任じられるそうです。他の国では守(かみ)が最上位の官位ですが、上総と上野・常陸だけは介(すけ)が実質的な最上位らしい。つまり美濃守や信濃守や下野守はいても上総守や上野守や常陸守はいないらしい。
■今川氏は代々上総介を名乗っていたそうです。織田信長はそれが面白くなかったのか、上総守を名乗ったことがあるらしい。上総介よりも上位になりたかったのかな。ところが周囲から親王任国の話を聞いて、すぐに上総介に替えたそうです。今川義元も上総介。織田信長も上総介。前者は由緒がありそうですが、後者は多分にインチキくさい雰囲気ですね。桶狭間では2人の上総介が戦い、あとから自称した上総介のほうが勝っちゃうわけですね。
▼上総国
◇*HP「地図 令制国 上総国 - 上総国 - Wikipedia」(画像)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%B8%8A%E7%B7%8F%E5%9B%BD#/media/File:%E5%9C%B0%E5%9B%B3_%E4%BB%A4%E5%88%B6%E5%9B%BD_%E4%B8%8A%E7%B7%8F%E5%9B%BD.svg
■「上総」の判じ物は、「国尽(くにづくし)はんじもの)」という万延(マンエン)元年(1860年)8月に発表された出版物に収載されたものです。作者は「東海道五十三次」や「江戸名所百景」で知られる初代歌川広重(安藤広重)の娘聟にして弟子、2代目歌川広重です。別名を歌川重宣(しげのぶ)。「江戸名所はんじもの」や「あおものづくしはんじもの」でもご登場願いました*2*3。
■では問題です。下の絵はそれぞれどこの国を示しているのでしょうか?
▼[い]腰に大小をたばさんだ上に、舟の櫂を2本抱えている武芸者です
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▼[ろ]人気(ひとけ)がありません
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▼[は]仁王様に狼狽しているのは泥棒なのでしょうか
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▼[に]何の道具でしょうか。左下についているのは房のようです
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▼[ほ]ライターもマッチもない時代、着火させるのは大変でした
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▼[へ]右上の人物は安徳天皇。左下の人物は壇ノ浦での平氏の敗北を伝えた武将です
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(答えはずっと下↓ スクロールして下さい)

























★日本語★
正解:各項目を参照してください
説明:■[い]ごらんのとおりの宮本武蔵です。正解は武蔵です。
□宮本武蔵の二刀流は、江戸の人々の中で生き続けていたのでしょうね。巌流島で小次郎と果たし合いをしたときの舟の櫂は1本だったと思われますけど、それすら2本にしてしまう。強調すべき点はとことん強調するのが判じ物作者らしいところです。
▼武蔵
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武蔵は現在の東京都、埼玉県、神奈川県にまたがっています。武蔵守もいなかったらしい。こちらは親王任国だからではありません。徳川家が本拠地を構えている江戸を含む地域です。そこの国守といえば徳川家よりも上位になってしまいます。それはまずい。そんなわけで、武蔵守を名乗る人はいなかったようです。
▼武蔵国
◇*HP「地図 令制国 武蔵国 - 武蔵国 - Wikipedia」(画像)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%AD%A6%E8%94%B5%E5%9B%BD#/media/File:%E5%9C%B0%E5%9B%B3_%E4%BB%A4%E5%88%B6%E5%9B%BD_%E6%AD%A6%E8%94%B5%E5%9B%BD.svg
■[ろ]不用心ではありますが、ともかく人気がない。つまり「人が居ず」。伊豆が正解です。駄洒落ですね。
▼伊豆
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伊豆は現静岡県の伊豆半島と現東京都の伊豆諸島です。風光明媚ですが地震や火山の多い地域です。
▼伊豆国
◇*HP「地図 令制国 伊豆国 - 伊豆国 - Wikipedia」(画像)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%BC%8A%E8%B1%86%E5%9B%BD#/media/File:%E5%9C%B0%E5%9B%B3_%E4%BB%A4%E5%88%B6%E5%9B%BD_%E4%BC%8A%E8%B1%86%E5%9B%BD.svg
■[は]真っ赤な身体の仁王様が登場すると男性はうろたえて腰を抜かしました。あわをくったようです。あわ。安房が正解です。
▼安房
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安房は現在の千葉県南部です。房総半島の先っぽです。なめろうの美味い地域です。どうでもいいことですが、幕末の勝海舟は安房守だったらしい。
□阿波(現徳島県)の人々が移住してきた土地という伝説があります。故郷を懐かしんだのか、安房という同じ発音にしたらしい。家康に促されて江戸に移住してきた摂津国(現大阪府)佃村の漁師たちが、移植した土地を佃島と呼んだと言われます。ちょっと似た話ですね。
▼安房国
◇*HP「地図 令制国 安房国 - 安房国 - Wikipedia」(画像)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%AE%89%E6%88%BF%E5%9B%BD#/media/File:%E5%9C%B0%E5%9B%B3_%E4%BB%A4%E5%88%B6%E5%9B%BD_%E5%AE%89%E6%88%BF%E5%9B%BD.svg
■[に]何の道具なのかはわかりませんが、下に房がついています。しも(下)+ふさ(房)=しもふさ≒しもうさ。下総が正解です。
▼下総(しもうさ)
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下総は現在の隅田川東岸の東京都や千葉県の北部、茨城県の南西部、埼玉県の東部などを含みます。
▼下総国
◇*HP「地図 令制国 下総国 - 下総国 - Wikipedia」(画像)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%B8%8B%E7%B7%8F%E5%9B%BD#/media/File:%E5%9C%B0%E5%9B%B3_%E4%BB%A4%E5%88%B6%E5%9B%BD_%E4%B8%8B%E7%B7%8F%E5%9B%BD.svg
■[ほ]いちど消した灰の中の残り火からあらためて火をおこそうとしているのかな。いずれは火が立ちます。ひ(火)+たち(立ち)=ひたち。常陸が正解です。
▼常陸
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□常陸は現在の茨城県の大部分です。行政区分としての東海道の東北の端っこですね。伝説では奈良の春日大社の鹿は鹿島神宮の鹿の一部が移住してきたそうです。鹿島アントラーズと奈良の鹿とは意外なつながりがあるらしい。
▼常陸国
◇*HP「地図 令制国 常陸国 - 常陸国 - Wikipedia」(画像)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%B8%B8%E9%99%B8%E5%9B%BD#/media/File:%E5%9C%B0%E5%9B%B3_%E4%BB%A4%E5%88%B6%E5%9B%BD_%E5%B8%B8%E9%99%B8%E5%9B%BD.svg
■[へ]歴史で習うところでは、安徳天皇は平氏方の舟に乗って壇ノ浦の戦場のまっただ中にいたらしい。優勢か劣勢かは、報告を受けなくてもわかるはず。肌で感じたでしょう。
□一方、「義経千本桜」という有名な歌舞伎では、安徳天皇は女官たちとともに陸にいます。海戦の戦況は報告を受けなければわからないかもしれません。こちらの物語から生まれた判じ物かもしれません。青いマスクをしているように見える人物は相模五郎といいます。平氏の劣勢を伝え、再び合戦の中に飛び込んでいきます。相模が正解です。
□江戸時代後期、いちばん知られた時代物の歌舞伎は「仮名手本忠臣蔵」、「義経千本桜」、「菅原伝授手習鑑」の3つの演目だともいわれます。そのうちの1つですので、庶民もみんな知っていたのでしょうね。
▼相模
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相模は現在の神奈川県の大部分です。三浦半島や金太郎の生まれ故郷、足柄山なども含みます。
▼相模国
◇*HP「地図 令制国 相模国 - 相模国 - Wikipedia」(画像)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%9B%B8%E6%A8%A1%E5%9B%BD#/media/File:%E5%9C%B0%E5%9B%B3_%E4%BB%A4%E5%88%B6%E5%9B%BD_%E7%9B%B8%E6%A8%A1%E5%9B%BD.svg
◆参考*1書籍「江戸の判じ絵」初版58〜59頁、岩崎均史(ひとし)著、ISBN4-09-626131-9、小学館

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