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zoom RSS 交ぜ書き表記を駆除する問題。頭脳明せき(メイセキ)は正しくはどう書くの?

<<   作成日時 : 2017/05/22 08:28   >>

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★日本語★
問題:交ぜ書き(混ぜ書き)表記とは、本来漢字だけで表記すべき熟語を、ひらがなを交ぜて書くことです。戦後に始まり、現在に至っています。戦前にも表記の不統一がなかったわけではありません。でもそれは作家の気分と編集者の怠慢、記者の不勉強などによるもので散発的でした。戦後の混ぜ書き表記のような組織ぐるみの犯罪的行為はありませんでした。
■発生した最大の原因は戦後のマスコミが植字工の手間賃を惜しんだことだそうです。漢字だけで表記すると読みにくい熟語もあります。戦前は振り仮名を振ってありました。これが新聞や雑誌の経営者にしてみると腹立たしいことだったようです。振り仮名を振るとコストが増えるらしい。
■1946年(昭和21年)に国語審議会が答申し、内閣が告示した当用漢字表の出現も、交ぜ書き表記の蔓延(マンエン)を後押ししたらしい。ちなみに当用漢字表は、当時の連合国最高司令官総司令部(GHQ)の占領政策、国語国字改革の一環だそうです。現在では常用漢字表と名前を変えて生き続けていますね。
■交ぜ書き表記の最悪の影響は、文化の断絶にあります。長く続いて来た言葉の表記を変えれば、覚えることが増えます。多くの場合は取っつきやすいほうの表記…交ぜ書き表記だけを使って、意味を伝えやすいほうの表記…漢語の表記を使わなくなります。昔の漢語表記で記された文物が読めなくなります。もちろん、デジタルデータにおける検索にも少なからぬ影響が出てきます。それらの結果として日本語は「情報伝達の効率が低い言語」になってしまいます。
■さて、題の答は「明晰」です。「明らかではっきりしていること」です。頭脳明晰では「思考や判断が優れているさま」です。頭脳明晰はあこがれの言葉ですね。生涯にわたり、頭脳明晰と評されたことはありません。頭脳暗愚のまま年金を貰える年齢に達したことは残念です。
■「晰」という漢字は常用漢字表には掲載がありません。漢和辞典「字通」によれば「セキ、あきらか、しろい」という字音・字訓があります。意味と読みが同じ異体字が2つあります。「皙」と「晢」です。2つの漢字は一卵性双生児のように似ています。下の部品が「白」か「日」かで見分けられるらしい。黒子(ほくろ)の有無で双子を見分けるみたいですね。「晰」と「皙」「晢」の意味はまったく同じというわけではないらしい。漢和辞書「字通」によれば、「晰」は日の光で明るくはっきり見えること。「皙」と「晢」は人が色白に見えることだそうです。
■では本題です。日本語の害虫、交ぜ書き表記を駆除する作業に立ち会っていただきましょう。次の交ぜ書き表記を正しく書き直してください。
[い]問題点を簡潔明りょうに説明したの「明りょう」
[ろ]事故の直後には数人の人が道路に倒れ、もん絶していたの「もん絶」
[は]インテリどもはわれら普通人が感じない種類の憂うつを感じるらしいの「憂うつ」
[に]新しい編集長はらつ腕をふるってたちまち雑誌を黒字化したの「らつ腕」
[ほ]その島には旧日本軍の要さいの跡が残されているの「要さい」
(答えはずっと下↓ スクロールして下さい)



























★日本語★
正解:各項目を参照してください
説明:[い]問題点を簡潔明りょうに説明したの「明りょう」は明瞭と書く
■明瞭は「あきらかであること。はっきりしていてわかりやすいこと」だそうです。「月のクレーターは低倍率の双眼鏡でも明瞭に見える」などと使います。
□「大辞林」、「大辞泉」ともに明了という表記も掲載しています。慶長(ケイチョウ)5年(1600年)前後に成立したという日葡辞書でも明了が使われていました。明治時代の黒岩涙香(ルイコウ)は「明夕」という作品の中で「明日の正午十二時にはサア罪人は何町何番地の何の誰ですと明了に言切ッて遣る 愉快愉快…」と使っています。同様に福沢諭吉は「アメリカ独立宣言」という著作の中で、三田村鳶魚(エンギョ)は「江戸の流行っ子・人さまざま」という文章の中で明了という表記を使っています。こちらの方が簡単なのになぜか、戦後は明瞭が主になっています。そして交ぜ書き表記にされています。変なの。
□「瞭」という漢字は平成22年(2010年)に常用漢字表に追加されました。「リョウ」という音読みだけです。漢和辞書「字通」によれば、「あきらか」という字訓もあります。
[ろ]事故の直後には数人の人が道路に倒れ、もん絶していたの「もん絶」は悶絶と書く
■悶絶は「苦しみもだえて気絶すること」です。小説などの桃色場面ではおなじみの表現です。苦悶の表情を浮かべ、ひとしきり悶えたあとで應蘭芳(オウランファン)女史のごとく失神する。ワンパターンではありますが飽きません。
□よく考えてみると、変な熟語ではあります。悶えている時間があり、その後に気絶している時間があるわけです。両方を同時に表現している。動と静の混在。なんてね。
□「悶」という漢字は常用漢字表には掲載がありません。漢和辞典「字通」によれば「モン、もだえる、うれえる」という字音・字訓があります。煩悶(ハンモン)という熟語をつくります。「もだえる」ことですね。悶着(悶著とも、モンチャク)という熟語も造ります。喧嘩、揉め事、諍い(いさかい)ですね。
□悶という漢字の昔の字体はなかなか面白い。顰めっ面(しかめっつら)の顔から鼻水が垂れ、風に吹かれて靡いて(なびいて)いるような様子です。
▼説文解字(セツモンカイジ、中国最古の部首別漢字字書)の悶
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[は]インテリどもはわれら普通人が感じない種類の憂うつを感じるらしいの「憂うつ」は憂鬱と書く
■憂鬱は「うっとうしくて気持が晴々しないこと」です。気がふさぐわけですね。テンションが下がるとか、鬱状態であるといった表現もします。いつも憂鬱な顔をしている厭世家と楽天家。厭世家には自殺の危険がつきまといます。免疫力も下がりそうです。きっと楽天家のほうが長生きなのでしょうね。くよくよすまいぞ。
□「鬱」という漢字は平成22年(2010年)に常用漢字表に追加されました。「ウツ」という音読みだけです。漢和辞書「字通」によれば、「しげる、ふさがる、うれえる」という字訓もあります。木が茂って人の行き先をふさぐのは鬱蒼(ウッソウ)とした林らしい。
[に]新しい編集長はらつ腕をふるってたちまち雑誌を黒字化したの「らつ腕」は辣腕と書く
■辣腕は「物事を躊躇することなくてきぱきと的確に処理する能力のあること」です。凄腕ともいいます。敏腕もまぁ似たような意味かな。てきぱきと処理しないと案件はどんどん溜まっていきます。ところで新しい女性都知事は辣腕なのでしょうか。市場の移転問題をいつまでもずるずるとひきずっているように見えますが。「やっぱり女は駄目だ」と言われないためにも、さっさとケリをつけてもらいたいものです。
[ほ]その島には旧日本軍の要さいの跡が残されているの「要さい」は要塞と書く
■要塞は「要地(や都市・港)を守るために堅固に築いて、砲台などを設け兵力を置く、一種の城」だそうです。
□「塞」という漢字は平成22年(2010年)に常用漢字表に追加されました。「サイ、ソク、ふさがる、ふさぐ」というという音読み・訓読みがあります。漢和辞典「字通」によれば「とりで」という字訓もあります。要塞は敵の侵攻を食い止めるための建造物らしい。進路を塞ぐわけですね。
□「塞」は閉塞(ヘイソク)とか梗塞(コウソク)という熟語を造ります。病院内でよく使われます。腸閉塞は、腸が塞がってしまう病気らしい。網膜静脈閉塞症なんていう病名もあるらしい。こちらは血管が詰まることが原因のようです。血管が詰まるのでは脳梗塞(ノウコウソク)とか心筋梗塞というのもありますね。病院の外では「人間万事塞翁が馬」という決まり文句でも使われています。塞翁は「砦の近くに住んでいるお爺さん」というほどの意味だそうです。
◆参考*1:HP「文化庁 | 常用漢字表の内閣告示等について | 「常用漢字表」(平成22年内閣告示第2号)」
http://kokugo.bunka.go.jp/kokugo_nihongo/joho/kijun/naikaku/pdf/joyokanjihyo_20101130.pdf
(pdfファイルを開こうとすると警告が表示されます。文化庁の頁です。ウイルスに感染している可能性はかなり低いと思われますが、自己責任で開いて下さい)
◇辞書「字通」白川静、平凡社
◇辞書「漢字源」藤堂明保、学習研究社◇辞書「日本国語大辞典」小学館
◇Yahoo! J Dictionaries 大辞泉
◇Yahoo! J Dictionaries 大辞林

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