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zoom RSS 元素、酸素、水素、酸化、還元といった化学の訳語を考えた人は誰なの?

<<   作成日時 : 2017/04/01 07:22   >>

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★歴史★
問題:明治の初め、西洋の文物がどっと流入してきました。それらを日本に取り込むためには、訳語がとても大切だったようです。
■たとえばSteam Locomotive。スチーム・ロコモウティブでは舌を噛みそうです。意味もまるで推測できない。蒸気機関車。略して汽車と呼ぶほうが、日本人にはずっと発音しやすい。意味も連想できそうです。陸蒸気(おかジョウキ)でもいいですけど。
■経済や社会、哲学や権利、芸術や恋愛、憲法や自由、個人といった言葉も、明治の初年に翻訳され、使われ始めたようです。
■では、我々が化学の授業で学んだ用語、元素とか酸素・水素、酸化や還元といった言葉は、誰が翻訳して紹介したのでしょうか? 次の中から訳語を造った人を選んで下さい。
[い]緒方洪庵(コウアン)
[ろ]榎本武揚(ブヨウ、たけあき)
[は]西周(あまね)
[に]寺田寅彦(とらひこ)
[ほ]宇田川榕庵(ヨウアン)
(答えはずっと下↓ スクロールして下さい)

























★歴史★
正解:[ほ]宇田川榕庵(ヨウアン)
説明:宇田川榕庵(ヨウアン)は、選択肢の中ではいちばん知名度の低い人物かもしれませんね。寛政(カンセイ)10年(1798年)に生まれて弘化(コウカ)3年(1846年)に亡くなっています。満48歳ぐらいまでの人生。当時としては平均よりちょっと長めです。でも、今から思えば若すぎる死ですね。
■大垣藩(岐阜県大垣市)の江戸詰め医、江沢養樹(ヨウジュ?)の長男として生まれたそうです。父の師匠が津山藩医宇田川玄真(ゲンシン)です。津山藩は、現在の岡山県津山市あたりを治めていた大名らしい。その藩医である師匠に見込まれ、榕庵は宇田川家の養子となったらしい。
■宇田川家は、蘭学者として有名な家系だそうです。玄真自身も養子であり養父の宇田川玄随(ゲンズイ)は初めは漢方医だったとのこと。「解体新書」の杉田玄白(ゲンパク)、前野良沢(リョウタク)らと交流するうちに、蘭学へと転向したらしい。
■ちなみに宇田川玄真については、弊クイズでもちょっこっとだけ触れたことがあります。「リンパ腺」などという場合の「腺」という漢字を創案したのが宇田川玄真先生だったとか。身体を表わす「月(にくづき)」という偏に、湧き出る「泉」をあわせた素晴しい会意文字です。日本で造られた漢字、国字なんですね。いまでは中国でも「腺」という漢字を日本とおなじ意味で使っているとのこと*3*7。
■さて、宇田川榕庵は文化(ブンカ)14年(1817年)には津山藩の藩医となります。さらに幕府にも重用され、文政(ブンセイ)9年(1826年)には天文方蕃書和解御用(テンモンガタバンショワゲゴヨウ)という翻訳機関に取り立てられたらしい。「ショメール百科事典」の翻訳書「厚生新編」(コウセイシンペン)の作成に従事したとされています。
■ちなみに「ショメール百科事典」は、フランスの司祭にして著述家であるノエル・ショメールにより1709年(宝永(ホウエイ)6年)に第1版が刊行されています。「日用百科事典」と「家事百科事典」からなるらしい。1718年(享保(キョウホウ)3年)と1777年(安永(アンエイ)6年)に再刊されたとのこと。なかなかのロングセラーですね。ドイツ語・英語・オランダ語に翻訳されたようです。オランダ語を経由して日本語にも訳されたらしい*4。
■宇田川榕庵は、父玄真の著作を増補改訂した「和蘭薬鏡(オランダヤッキョウ)」、「遠西医方名物考(エンセイイホウメイブツコウ)」などの薬学の著作があります。さらに西洋の植物学を初めて日本に紹介した「菩多尼訶教(ボタニカキョウ)」、「植学啓原(ショクガクケイゲン)」なども著わしているとのこと。そして「舎密開宗(セイミカイソウ)」という西洋化学を初めて本格的に紹介した書物も発表しているらしい。これらの著作の中で、細胞という言葉や酸素・水素・窒素などの化学関係の訳語が紹介されているようです。訳出にはさぞ苦労したのでしょうね。
■宇田川榕庵は好奇心旺盛な人だったようで、音楽理論やコーヒーの解説書まで書いているらしい。おそらくネタ元はオランダ語の書籍なのでしょうね。世が世なら、西洋文化の輸入元としてガッポリ儲けることができたかも。でも幕府の役人としての立場もあります。手広く商売を…というわけにはいかなかったのかな。
■なお、宇田川家では、榕庵も養子をとりました。宇田川興斎(コウサイ)という蘭学者、洋学者だそうです。幕末から明治期にかけての翻訳業で活躍したらしい*6。優秀な人材は遺伝に頼るな。才能や人格が見えるまで成長してからヘッドハンティングするほうが確実だ。賢い家系です。そんな家訓があるのかも。
◆参考*1:HP「宇田川榕菴 - Wikipedia」
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%AE%87%E7%94%B0%E5%B7%9D%E6%A6%95%E8%8F%B4
◇*2HP「宇田川玄真 - Wikipedia」
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%AE%87%E7%94%B0%E5%B7%9D%E7%8E%84%E7%9C%9F
◇*3HP「日本語を読むための漢字辞典 国字の世界、ネットに開く」
http://ksbookshelf.com/nozomu-oohara/Nikkei.htm
◇*4HP「ノエル・ショメル - Wikipedia」
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%8E%E3%82%A8%E3%83%AB%E3%83%BB%E3%82%B7%E3%83%A7%E3%83%A1%E3%83%AB
◇*5HP「宇田川家三代(おかやま人物往来)」
http://www.libnet.pref.okayama.jp/mmhp/kyodo/person/udagawa/udagawa.htm
◇*6HP「宇田川興斎 - Wikipedia」
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%AE%87%E7%94%B0%E5%B7%9D%E8%88%88%E6%96%8E
◇*7HP「【★18禁★子供にふさわしくない内容です】いわゆる潮吹きはどの腺から分泌されるの? 町人思案橋・クイズ集/ウェブリブログ」
http://blog.q-q.jp/200608/article_27.html

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