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zoom RSS 交ぜ書き表記を駆除する問題。付せん(フセン)は正しくはどう書くの?

<<   作成日時 : 2017/02/20 08:47   >>

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★日本語★
問題:交ぜ書き(混ぜ書き)表記とは、本来漢字だけで表記すべき熟語を、ひらがなを交ぜて書くことです。戦後に始まり、現在に至っています。戦前にも表記の不統一がなかったわけではありません。それは作家の気分や記者の不勉強によるもので散発的でした。でも戦後の混ぜ書き表記のような組織ぐるみの犯罪的行為はありませんでした。
■発生した最大の原因は戦後のマスコミが植字工の手間賃を惜しんだことだそうです。漢字だけで表記すると読みにくい熟語もあります。戦前は振り仮名を振ってありました。これが新聞や雑誌の経営者にしてみると腹立たしいことだったようです。振り仮名を振るとコストが増えるらしい。
■1946年(昭和21年)に国語審議会が答申し、内閣が告示した当用漢字表の出現も、交ぜ書き表記の蔓延(マンエン)を後押ししたらしい。ちなみに当用漢字表は、当時の連合国最高司令官総司令部(GHQ)の占領政策、国語国字改革の一環だそうです。現在では常用漢字表と名前を変えて生き続けていますね。
■交ぜ書き表記の最悪の影響は、文化の断絶にあります。長く続いて来た言葉の表記を変えれば、覚えることが増えます。多くの場合は取っつきやすいほうの表記…交ぜ書き表記だけを使って、意味を伝えやすいほうの表記…漢語の表記を使わなくなります。昔の漢語表記で記された文物が読めなくなります。もちろん、デジタルデータにおける検索にも少なからぬ影響が出てきます。それらの結果として日本語は「情報伝達の効率が低い言語」になってしまいます。
■さて、題の問題の答は「付箋」です。ポスト・イットなどの商品名で知られる文房具ですね。昔は糊やセロテープで紙の小片を貼っていました。手間がかかりました。ポスト・イットが登場して以降は、付箋は乱発される傾向にあるようです。
▼付箋
◇*HP「付箋  - Google 検索」(画像)
https://www.google.co.jp/search?q=%E4%BB%98%E7%AE%8B%E3%80%80&hl=ja&rlz=1T4GGHP_jaJP523JP523&source=lnms&tbm=isch&sa=X&ved=0ahUKEwiY_OSz95LQAhVGgLwKHWorB4cQ_AUICCgB&biw=1280&bih=626
■「箋」という漢字は平成22年(2010年)に常用漢字表に追加されました。「セン」という音読みだけです。漢和辞典「字通」によれば「かきつけ、かみ」という字訓もあります。便箋(ビンセン)という熟語を造ります。誰です。便を拭く紙だからトイレットペーパーの意味だろうなんて臭い冗談を言っているのは。
■では本題です。日本語の害虫、交ぜ書き表記を駆除する作業に立ち会っていただきましょう。次の交ぜ書き表記を正しく書き直してください。
[い]処女作には天才の片りんがあらわれていたの「片りん」
[ろ]防じん用に密閉度の高い二重窓が備えられているの「防じん」
[は]当人以外は泡まつ候補だと思っているの「泡まつ」
[に]大企業みたいに証券会社に損失を補てんしてもらいたいの「補てん」
[ほ]抗生物質の開発にまい進したの「まい進」
(答えはずっと下↓ スクロールして下さい)



























★日本語★
正解:各項目を参照してください
説明:[い]処女作には天才の片りんがあらわれていたの「片りん」は片鱗と書く
■片鱗は「小さな部分」だそうです。魚の鱗の一欠片(ひとかけら)という意味らしい。
□「鱗」という漢字は常用漢字表には掲載がありません。漢和辞典「字通」によれば「リン、うろこ、さかな」という字音・字訓があります。鱗片(リンペン)という熟語を造ります。ひっくり返しただけですね。やはり「鱗の一片」という意味だそうです。鱗粉(リンプン)という熟語も造ります。こちらは脊椎動物亜門の魚類の話ではなく、昆虫綱チョウ目などに属する生き物の羽に装備されたとても小さな部品ですね。「鱗のような粉」という意味らしい。
▼説文解字(セツモンカイジ、中国最古の部首別漢字字書)の鱗
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□「鱗」という漢字には、「うろくず」という読みもあります。鱗、あるいは魚類の軽蔑した呼び方らしい。「仮名手本忠臣蔵」の三段目、塩冶判官(エンヤハンガン)が高師直(コウノモロノオ)のいじめに激昂する場面でも使われます。高師直は塩冶判官を「井の中の蛙」の意味で「鮒侍(ふなざむらい)だ」と悪口を浴びせかけます。塩冶判官は「伯州(伯耆(ホウキ)の国、鳥取県中西部)の城主塩冶判官高貞(たかさだ)を、鱗(うろくず)にたとえたな」と吠えます。脇差を抜いて斬りつけ、殿中でござるぞと騒がれるわけですね。
[ろ]防じん用に密閉度の高い二重窓が備えられているの「防じん」は防塵と書く
■防塵は「塵(ちり)や埃(ほこり)が入ることを防ぐこと」です。ちかごろはPM2.5などの細かい塵埃(ジンアイ)が西の方からやってくるとのこと。家庭でも空気清浄機が必要なのかな。
□「塵」という漢字は常用漢字表には掲載がありません。漢和辞典「字通」によれば「ジン、つちけぶり、ちり、ひさしい」という字音・字訓があります。塵芥(ジンカイ)という熟語を造ります。ごみですね。塵界(ジンカイ)という熟語も造ります。俗世間のことですね。塵にまみれずに清く生きるためには竹林に入るしかないのかな。
[は]当人以外は泡まつ候補だと思っているの「泡まつ」は泡沫と書く
■泡沫は「あわ、あぶく」です。「うたかた」と振り仮名がつけられる場合もあります。「よどみに浮かぶうたかたは…」と、「方丈記」冒頭の文章で使われています。
□「沫」という漢字は常用漢字表には掲載がありません。漢和辞典「字通」によれば「マツ、バツ、あわ、みなわ、あわだつ、あせ」という字音・字訓があります。飛沫(ヒマツ)という熟語を造ります。しぶきですね。近ごろの先進的便器では細かい泡沫を使って男性の尿の飛沫を防ぐ仕掛けになっているらしい。便器もどんどん進化しますね。
[に]大企業みたいに証券会社に損失を補てんしてもらいたいの「補てん」は補填と書く
■補填は「不足・欠損部分を補って埋めること」ですね。証券会社の損失補填は、バブルのはじけたころでしたか。1990年代の初頭だったと記憶します。証券取引法で禁止された行為だったらしい。大口の取引先に対してこれを行なってしまったので、証券不祥事として騒がれました。
□「填」という漢字は常用漢字表には掲載がありません。漢和辞典「字通」によれば「テン、チン、ふさぐ、うずめる、みたす、ひさしい」という字音・字訓があります。ただし漢和辞書「字通」に掲載されているのは古い字体の「塡」のほうで「填」ではありません。
□充填(ジュウテン)、装填(ソウテン)などの熟語を造ります。容器に中身を詰めたり、弾倉に弾丸を込めたりする動作を思い出しますね。
[ほ]抗生物質の開発にまい進したの「まい進」は邁進と書く
■邁進は「まっしぐらに突き進むこと」です。勇往邁進(ユウオウマイシン)という四字熟語があります。困難にもめげず勇んで前進することだそうです。開発に邁進したからこそ、ストレプトマイシンやカナマイシンなどの抗生物質が生まれ、多くの病気が治せるようになったのでしょうね。
□「邁」という漢字は常用漢字表には掲載がありません。漢和辞典「字通」によれば「マイ、ゆく、すぎる、たちさる」という字音・字訓があります。下の古い字は金文(青銅器などの金属器に刻まれた文字)です。
▼金文の邁
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休んでいるのか、跪いて(ひざまづいて)いるのか。勇ましく進んでいる感じはしませんね。
◆参考*1:HP「文化庁 | 常用漢字表の内閣告示等について | 「常用漢字表」(平成22年内閣告示第2号)」
http://kokugo.bunka.go.jp/kokugo_nihongo/joho/kijun/naikaku/pdf/joyokanjihyo_20101130.pdf
(pdfファイルを開こうとすると警告が表示されます。文化庁の頁です。ウイルスに感染している可能性はかなり低いと思われますが、自己責任で開いて下さい)
◇辞書「字通」白川静、平凡社
◇辞書「漢字源」藤堂明保、学習研究社◇辞書「日本国語大辞典」小学館
◇Yahoo! J Dictionaries 大辞泉
◇Yahoo! J Dictionaries 大辞林

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