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zoom RSS 「侏儒(シュジュ)の言葉」からの読み問題。「兎に角」はなんて読むの?

<<   作成日時 : 2016/08/30 06:20   >>

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★日本語★
問題:「侏儒の言葉」は、芥川龍之介の箴言(シンゲン)集です。大正12年(1923年)から月刊誌「文藝春秋」に連載された記事だそうです。大正15年/昭和元年(1926年)まで続いたらしい。人気があったようです。
■箴言とは「教訓の意味を持つ短い言葉、格言」だそうです。「侏儒の言葉」の場合は、アンブローズ・ビアスの「悪魔の辞典」に似た警句集になっています。常識やうわべだけの道徳を裏切る皮肉がいっぱいです。
■なお、侏儒とは「こびと」です。転じて「見識のない人」という意味もあるらしい。人を罵って言う場合と、自ら謙(へりくだ)って言う場合があるようです。
■本日は「侏儒の言葉」からの読み問題です。題の問題、「兎に角」は「うさぎにつの」ではありません。「とにかく」です。副詞です。「いずれにしても」とか「とにもかくにも」と言い換えられます。
■「侏儒の言葉」の中では、「兎に角あらゆる先覚者は常に薄命に甘んじなければならぬ」と使われていました。先覚者は草分け、先駆けの人です。この場合の薄命は短命ではなく、不幸せ、薄運という意味らしい。たしかに時代の先覚者だった織田信長も坂本龍馬も薄命でした。これではならじと社会が生み出したのが特許制度かもしれません。以後、発明分野における先覚者だけは確実に保護されることになったようです。
■では本番です。下の5つの副詞の読みは現代ではあまり使われないでしょうか。それぞれの読みを答えてください。
[い]況んや
[ろ]妄りに
[は]忽ち
[に]屡
[ほ]畢に
(答えはずっと下↓ スクロールして下さい)



























★日本語★
正解:各項目を参照してください
説明:[い]況んやはいわんやと読む
■況んやは「前に述べたことから考えて、この件については言うまでもなく自明のことであるという気持ちを表す」ときに使います。「侏儒の言葉」では次のように使われていました。「宇宙の大に比べれば、太陽も一点の燐火(りんか)に過ぎない。況(いわん)や我我の地球をやである」。我々の太陽系が含まれる天の川銀河のほかにも、銀河はたくさんあるようだ。宇宙望遠鏡に名を残す天文学者ハッブル氏がそんな仮説を発表したころの芥川龍之介の言葉です。
[ろ]妄りにはみだりにと読む
■妄りには「猥りに」とか「濫りに」といった表記もあります。「分別なく行うさま」だそうです。また、「正当な理由や資格もなく行うさま」も妄りにといいます。「妄りに立ち入るべからず」という表示があったら関係者以外立ち入り禁止なのでしょうね。
□「侏儒の言葉」では次のように使われていました。「妄(みだり)に道徳に反するものは経済の念に乏しいものである。妄に道徳に屈するものは臆病(おくびょう)ものか怠けものである」。たしかに、犯罪や道徳違反は損をすることが多い。かといって無条件で道徳に従うのは脳味噌を使わない者だという意味なのかな。
[は]忽ちはたちまちと読む
■忽ちは「非常に短い時間のうちに動作が行われるさま。すぐ。即刻」だそうです。「立ち待ち」から来ているという説があるそうです。立って待っているうちにという意味なのかな。座って待つより短時間なのでしょうね。
□「侏儒の言葉」では次のように使われていました。「成程世人は云うかも知れない。『前人の跡を見るが好い。あそこに君たちの手本がある』と。しかし百の游泳者(ゆうえいしゃ)や千のランナアを眺めたにしろ、忽(たちま)ち游泳を覚えたり、ランニングに通じたりするものではない」。
[に]屡はしばしばと読む
■屡は屡々とも表記します。というより「々」がつくほうが多いのかな。「ある程度の期間をおいて、同じ行動や状態が何度も繰り返されるさま」です。
□「侏儒の言葉」では次のように使われていました。「地上楽園の光景は屡(しばしば)詩歌にもうたわれている。が、わたしはまだ残念ながら、そう云う詩人の地上楽園に住みたいと思った覚えはない。基督教徒(キリストきょうと)の地上楽園は畢竟(ひっきょう)退屈なるパノラマである。
[ほ]畢にはついにと読む
■畢には「遂に」とか「終に」、「竟に」などと表記することもできます。「長い時間ののちに、最終的にある結果に達するさま」です。「とうとう」とか「しまいには」などと言い換えられるようです。
□「侏儒の言葉」では次のように使われていました。「わたしは不幸にも『人間らしさ』に礼拝する勇気は持っていない。いや、屡(しばしば)『人間らしさ』に軽蔑を感ずることは事実である。しかし又常に『人間らしさ』に愛を感ずることも事実である。愛を?――或は愛よりも憐憫かも知れない。が、兎に角(とにかく)『人間らしさ』にも動かされぬようになったとすれば、人生は到底住するに堪えない精神病院に変りそうである。Swift の畢(つい)に発狂したのも当然の結果と云う外はない」。
□この文章には「屡」も「兎に角」も「畢に」も含まれています。勉強になります。Swiftというのはジョナサン・スウィフトというアイルランドの風刺作家・随筆家です。ご存知の「ガリバー旅行記」の作者ですね。
◆参考*1:HP「芥川龍之介 侏儒の言葉」
http://www.aozora.gr.jp/cards/000879/files/158_15132.html
◇辞書「字通」白川静、平凡社
◇辞書「漢字源」藤堂明保、学習研究社
◇辞書「日本国語大辞典」小学館
◇Yahoo! J Dictionaries 大辞泉
◇Yahoo! J Dictionaries 大辞林

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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
毒蝮三太夫さんが俳優だったころ、共演者に『兎に角』を何と読むのかと聞かれて『ウサギとツノ』だと冗談で教えたら、ドラマの中で『ウサギとツノ』と言ったので唖然としたそうです。
監督に怒られたそうであります。
ねこのひげ
2016/09/05 18:24
コメントをありがとうございます。

 ショーケンの有名な逸話、「故郷にワタ(錦と綿を間違えたらしい)」を髣髴とさせるお話ですね。
 若い俳優さんのマネージャーは、台本のむずかしい熟語に振り仮名をつけるのも仕事のうちという場合があると聞きます。なかなか大変ですね。
(^^;)
ねこのひげ様<素町人
2016/09/05 19:59

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