町人思案橋・クイズ集

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zoom RSS 江戸末期に流行した謎々、判じ物(はんじもの)。口絵の魚はなんという名前なの?【19】

<<   作成日時 : 2016/06/23 07:08   >>

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★日本語★
問題:判じ物は絵を使った謎々です。18世紀後半から発達した版画の多色刷りの技術を活用し、地名・国名・動植物名・道具名・人名その他、さまざまな物を対象として作られました。
■本日は魚の名前の7回目です。まずは口絵の判じ物で練習しましょう。ふんどし姿の男性が走っています。ただし、頭は樽になっていますね。何かしら文字が書かれています。この樽の文字は現代でいえばミツカン酢のマークのようなものらしい。
▼ミツカン酢のマーク
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江戸の末期では、樽に描かれた漢字マークの酢がよく売れていたのでしょう。酢の代名詞になっていたと思われます。
■おなじ漢字マークは果物の判じ物にも使われていました。
▼西瓜(すいか)
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す(酢)+いか(烏賊)=すいか。西瓜ですね。
■この漢字は旁(つくり)は「力」のようです。偏のほうはくずし字みたいでわかりません。勘に頼って申し上げれば「勘」という漢字かな。マルカン酢という歴史のある製造元があるようですが、関係があるのかな。
■話が脇道にそれました。題の問題の正解は洲走(すばしり)です。酢が走るので「すばしり」。単純ですね。洲走は出世魚である鯔(ぼら)の幼魚です。名前どおり浅瀬で跳ねるらしい。関東ではオボコ→イナッコ→スバシリ→イナ→ボラ→トド。関西ではハク→オボコ→スバシリ→イナ→ボラ→トド。どちらも全6段階の出世街道のうちの下から3番目の幼魚が洲走です。おおむね10〜15cmぐらいの幼魚を指すようです*4。
◇*HP「すばしり 魚 - Google 検索」(画像)
https://www.google.co.jp/search?q=%E3%81%99%E3%81%B0%E3%81%97%E3%82%8A&hl=ja&rlz=1T4GGHP_jaJP523JP523&source=lnms&tbm=isch&sa=X&ved=0ahUKEwj_hNTb1ZHLAhXKKZQKHWChAMcQ_AUICCgC&biw=1280&bih=632#hl=ja&tbm=isch&q=%E3%81%99%E3%81%B0%E3%81%97%E3%82%8A%E3%80%80%E9%AD%9A
■「さぁことだ 下女洲走が 抜けぬなり」。桃色川柳らしい。誰かの落語で聞いたことがあります。手頃な大きさ・形なので、ついそんなところに入れてみたのでしょうか。鱗(うろこ)なのか鰓(えら)なのか、何かが引っかかって抜けなくなってしまったようです。冷や汗ものですね。称徳天皇もそんなところの異物で崩御されたという噂があるぐらいです*3。
■洲走(すばしり)の判じ物は、「さかなのはんじもの」という江戸時代の末期の出版物に収載されたものです。一宝斎国盛(いっぽうさいくにもり)という浮世絵師が弘化(こうか)4年(1847年)〜嘉永(かえい)2年(1849年)ごろに発表した作品らしい。Wikipediaによれば一宝斎国盛は2代目歌川国盛という名前のほうが通っているようです*1。
■では本番です。例によって難易度にはバラツキがあります。答はみんな魚や水の中で暮らしている生き物の名前です。中には認知度の低い魚もあるかもしれませんが、ほとんどが今でも漁獲され、家庭や料亭の食卓に登場する魚です。絵とヒントから名前を推理してみましょう。
▼[い]訪ねてきた人が覗き込んで声をかけているようです
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▼[ろ]鐘撞きです。烏(からす)たちは巣に帰るところなのかな
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▼[は]天狗は魔(物)です
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▼[に]けっして上手とは言えないお習字です
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▼[ほ]上と同じ平仮名が石に刻まれています
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(答えはずっと下↓ スクロールして下さい)

























★日本語★
正解:各項目を参照してください
説明:■[い]掛けられた声は「いるか」。海豚(いるか)です。鯨(くじら)の仲間です。Wikipediaによれば、体長がおおむね4m以下の鯨(くじら)を海豚(いるか)と呼んでいるらしい*5。分類学とは無縁の通称なのかな。素麺(そうめん)と饂飩(うどん)の関係に似て、本質はおなじだけどサイズの違いだけで区別するらしい。
▼海豚(いるか)
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■[ろ]鐘撞きです。塒(ねぐら)に帰る鳥が見られるのなら、暮れ六つの鐘ですね。日没時に鳴らされます。で、魚の名前としては鯥(むつ)です。
▼鯥(むつ)
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□鯥(むつ)は体長60cm〜1mの深海魚とのこと。脂肪が多い白身の魚です。素町人も大好きです。
◇*HP「むつ 魚 - Google 検索」(画像)
https://www.google.co.jp/search?q=%E3%82%80%E3%81%A4&hl=ja&rlz=1T4GGHP_jaJP523JP523&source=lnms&tbm=isch&sa=X&ved=0ahUKEwjflo7k3pHLAhXHUZQKHeD5CP0Q_AUICCgC&biw=960&bih=474#hl=ja&tbm=isch&q=%E3%82%80%E3%81%A4%E3%80%80%E9%AD%9A
□鯥の仲間のアブラソコムツは、とても美味いのですが、成分の1つが人間の消化器官には分解できないとのこと。美味いのに食べられない不思議な魚らしい*7。
■[は]判じ物においては、天狗は魔(物)です。黒い顔の天狗ですので、ま(魔)+くろ(黒)=まくろ≒まぐろ。連濁かな。
▼鮪(まぐろ)
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□鮪は御承知のとおりの魚です。生でよし、焼いたり煮たり揚げたりしてよし。素町人としては地球上からフォアグラやキャビアやトリュフが消えても平気ですが、鮪が消えたら困ります。
■[に]平仮名の「な」が描かれています。あまり上手ではない。拙い(まずい)字ですね。な(な)+まず(拙い)=なまず。鯰(なまず)が正解です。
▼鯰(なまず)
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□鯰は頭がやや扁平で口が横に大きい魚ですね。正面から見た姿が何かにちょっと似ていると思ったら、オオサンショウウオかな。
◇*HP「なまず - Google 検索」(画像)
https://www.google.co.jp/search?q=%E9%AF%B0&hl=ja&rlz=1T4GGHP_jaJP523JP523&source=lnms&tbm=isch&sa=X&ved=0ahUKEwiUpfTe45HLAhUjGKYKHfJmCvcQ_AUIBygB&biw=1280&bih=632&dpr=1.5#hl=ja&tbm=isch&q=%E3%81%AA%E3%81%BE%E3%81%9A&imgrc=gJM8tsONBTh7kM%3A
◇*HP「オオサンショウウオ - Google 検索」(画像)
https://www.google.co.jp/search?q=%E9%AF%B0&hl=ja&rlz=1T4GGHP_jaJP523JP523&source=lnms&tbm=isch&sa=X&ved=0ahUKEwiUpfTe45HLAhUjGKYKHfJmCvcQ_AUIBygB&biw=1280&bih=632&dpr=1.5#hl=ja&tbm=isch&q=%E3%82%AA%E3%82%AA%E3%82%B5%E3%83%B3%E3%82%B7%E3%83%A7%E3%82%A6%E3%82%A6%E3%82%AA&imgrc=schjASkOMTvL_M%3A
■[ほ]木の下に石があり、「な」と記されているようです。いし(石)+な(な)+き(木)=いしなき≒いしなぎ。これも連濁かな。石投(いしなぎ)という魚が正解らしい。
▼石投(いしなぎ)
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□石投は、深海に棲み、体長は2mにも達するという大型魚です*8。肉は食用で美味とのこと。ただし、肝臓には毒があるらしい。毒はビタミンAだそうです。過剰摂取すると頭痛、発熱、嘔吐、顔のむくみなどがあらわれるとのこと。頭や顔の皮膚が剥がれ落ちたりするらしい。回復には20〜30日もかかるとのこと*9。
◇*HP「イシナギ - Google 検索」(画像)
https://www.google.co.jp/search?q=%E7%9F%B3%E6%8A%95&hl=ja&rlz=1T4GGHP_jaJP523JP523&source=lnms&tbm=isch&sa=X&ved=0ahUKEwjB6YvH5pHLAhWjNKYKHRpBALoQ_AUICCgC&biw=1280&bih=632&dpr=1.5#hl=ja&tbm=isch&q=%E3%82%A4%E3%82%B7%E3%83%8A%E3%82%AE
◆参考*1:HP「歌川国盛 (2代目) - Wikipedia」
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%AD%8C%E5%B7%9D%E5%9B%BD%E7%9B%9B_(2%E4%BB%A3%E7%9B%AE)
◇*2書籍「江戸の判じ絵」初版28〜33頁、岩崎均史(ひとし)著、ISBN4-09-626131-9、小学館
◇*3HP「称徳帝の逸話。最期の病気はどんなものだったの? 町人思案橋・クイズ集/ウェブリブログ」
http://blog.q-q.jp/201412/article_9.html
◇*4HP「ボラ - Wikipedia」
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9C%E3%83%A9
◇*5HP「クジラ - Wikipedia」
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AF%E3%82%B8%E3%83%A9
◇*6HP「ムツ - Wikipedia」(画像)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%A0%E3%83%84
◇*7HP「毒はなく美味ともいわれるのに、なぜか食べられない大型深海魚。どんな魚なの? 町人思案橋・クイズ集/ウェブリブログ」(画像)
http://blog.q-q.jp/201508/article_6.html
◇*8HP「イシナギ - Wikipedia」(画像)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A4%E3%82%B7%E3%83%8A%E3%82%AE
◇*9HP「自然毒のリスクプロファイル:魚類:ビタミンA|厚生労働省」(画像)
http://www.mhlw.go.jp/topics/syokuchu/poison/animal_07.html

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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
マグロは江戸時代には下魚と言われ素町人にも見向きもされなかったそうですね。
サンマも同じだそうですが、なにがきっかけで食べられるようになったんですかね。
大トロなんて大騒ぎですもんね。
ねこのひげ
2016/06/26 10:01
コメントをありがとうございます。

 一説には、洋食が普及して油や脂のおいしさが庶民にまで浸透するのに70年以上かかったそうです。まぐろのトロが珍重・愛好されるのは戦後のことだったとか。
(^^;)
ねこのひげ様<素町人
2016/06/26 17:22

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