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zoom RSS 表外の読みの問題。「意、情」に共通する表外の読みはどんなもの?

<<   作成日時 : 2016/06/20 07:09   >>

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★日本語★
問題:表外の読みの「表」とは「常用漢字表」のことです。常用漢字表には掲載されていないけれど、日常的に、あるいはたまに使われる読み。それが表外の読みです。
■題の問題の答えは「こころ」です。「意」という漢字は常用漢字表には「イ」という音読みだけが掲載されています。漢和辞書「字通」によれば「イ、おしはかる、おもう、こころ、ああ」という字音・字訓があります。
■もともとは「神様の気持を推し量る」という意味だったらしい。やがて「考えてその意志を定める」という意味が生まれ、「こころ」という読みも生まれたようです。意識という熟語を造ります。「こころを識る(しる、知る)」のが意識なのかな。昔の字形では、いちばん下に心臓の象形が見えていますね。
▼説文解字(セツモンカイジ、中国最古の部首別漢字字書)の意
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■「情」という漢字は常用漢字表には「ジョウ、セイ、なさけ」というという音読み・訓読みがあります。「セイ」という読みには風情(フゼイ)という例が示されていました。連濁で「ゼイ」になるのかな。
■漢和辞書「字通」には「ジョウ、こころ、なさけ」という字音・字訓があります。こちらは昔は本能=「学ばずしてよくするもの」という意味があったらしい。いつの間にか「こころ」という意味も生まれたようです。昔の字形では偏が心臓の象形になっています。
▼説文解字の情
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■現代では心は恐らく脳味噌の働きだろうと推定されています。でも昔の人たち、古代エジプトでも中国でも心は胴体、とくに心臓に宿ると考えられていたわけですね*3。
■では本番に参りましょう。次の3組の漢字はいずれも常用漢字表に掲載されています。かつ、共通する表外の読みをもっています。それぞれどんな読みでしょうか?
[い]域と界
[ろ]維と系
[は]依と縁と拠と由と選と択
(答えはずっと下↓ スクロールして下さい)



























★日本語★
正解:各項目を参照してください
説明:[い]域と界に共通する表外の読みは「さかい」
■「域」という漢字は常用漢字表では「イキ」という音読みだけです。漢和辞書「字通」では「イキ、ちいき、くいき、かぎる、くぎる」という字音・字訓があります。昔の字形を見ると、線で区切られた中に○印の付けられた場所があります。これが自分の所有地だと主張しているみたいで面白い。やがて境界線のことも域と呼んだのでしょうか。
▼説文解字(セツモンカイジ、中国最古の部首別漢字字書)の域
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□「界」という漢字は常用漢字表では「カイ」という音読みだけです。漢和辞書「字通」では「カイ、さかい」という字音・字訓があります。田圃や畑の境界を示していたようです。
▼説文解字の界
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□界は「世界」という熟語でも使われています。「物体や生物など実在する一切のものを含んだ無限の空間」が世界らしい。境界線はなさそうです。なぜ「界」の字が使われたのでしょうね。
[ろ]維と系に共通する表外の読みは「つなぐ」
■「維」という漢字は常用漢字表では「イ」という音読みだけです。漢和辞書「字通」によれば「イ、つな、つなぐ、これ」という字音・字訓があります。そもそもは糸・紐・綱に類した細長いものを意味したようです。繊維という熟語では糸に似た意味らしい。
□そこから「移動しやすいものをつなぎ止める」という意味が生まれたようです。維持という熟語では「つなぐ」という意味が強いようですね。
□「系」という漢字は常用漢字表では「ケイ」という音読みだけです。漢和辞書「字通」によれば「ケイ、いとすじ」という字音・字訓があります。象形文字であり、「飾り糸が垂れている形」らしい。細長いものから「つなぐ」という意味が生まれたのは「維」と同じなのでしょうか。
▼説文解字の系
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[は]依と縁と拠と由と選と択に共通する表外の読みは「よる」
■6つの漢字はすべて「よる」という表外の読みを持っています。ただし、前4つと後ろ2つは意味が異なるようです。前4つは「ある物事の手段・方法・原因、あるいは材料となる」という意味らしい。
□2つずつ組み合わせて依拠(イキョ)、由縁(ユエン)という熟語ができます。依拠は「よりどころとする」という意味です。「戦国大名の収入源が農民にだけ依拠するものでなかったことは言うまでもない」などと使われます。由縁は「事の起こり、わけ、関係」です。歌舞伎で有名な「助六由縁江戸桜(すけろくゆかりのえどざくら)」という作品は、「助六に関わりのある江戸桜」という意味なのかな。
□後ろの2つは「えらぶ」という意味での「よる」です。あわせて選択という熟語を造ります。上方落語には「浮かれの屑より」という演題があります。紙屑拾いが無差別に集めた紙のゴミを「新聞、厚紙、鼻紙…」などと分別する仕事が「屑より、紙より」だそうです。明治時代には主婦のアルバイトの代表だったそうです。1貫(3.75kg)の紙を選って1銭8〜9厘ぐらいだったとか。大工の手間賃が1日あたり40〜60銭ぐらいのときに1日働いて7〜8銭ぐらいだったらしい*4。たいへんな仕事の割りには報酬は少ないようです。めったにないことですが、へそくりしていた紙幣が誤ってゴミに出されることもあるとか。見つけた選り子(よりこ)は、その日は幸せな気分でしょうね。
◆参考*1:HP「文化庁 | 常用漢字表の内閣告示等について | 「常用漢字表」(平成22年内閣告示第2号)」
http://kokugo.bunka.go.jp/kokugo_nihongo/joho/kijun/naikaku/pdf/joyokanjihyo_20101130.pdf
(pdfファイルを開こうとすると警告が表示されます。文化庁の頁です。ウイルスに感染している可能性はかなり低いと思われますが、自己責任で開いて下さい)
◇*2HP「常用漢字の表外読み(音訓) 一覧表・検索」
http://www16.atpages.jp/kanjikentei/hyogaiyomi.html
◇*3HP「【★食事中禁★】ミイラを作るにはどうするの? 町人思案橋・クイズ集/ウェブリブログ」
http://blog.q-q.jp/200705/article_46.html
◇*4書籍 「幕末明治風俗逸話事典」初版577頁、紀田順一郎(きだ じゅんいちろう)著、ISBN4 -490-10338-7、東京堂
◇辞書「字通」白川静、平凡社
◇辞書「漢字源」藤堂明保、学習研究社
◇辞書「日本国語大辞典」小学館
◇Yahoo! J Dictionaries 大辞泉
◇Yahoo! J Dictionaries 大辞林

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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
これは、かなり難しいですね〜(≧◇≦)
考え込んじゃいましたよ。
世界の界・・・なぜなんでしょうね。境界さえなければ・・・いまのような世界ではないのにね。
ねこのひげ
2016/06/26 10:23
コメントをありがとうございます。

 世界の「界」は、ひょっとしたらすべて一切の物を含みながら、それぞれ別の物として所有権を争うという現実を表わしているのかもしれませんね。
 世界中の土地で領有権者のいない土地はないようですし。
 南極もいくつかの国が領有権を主張しているようですが、現在のところは「凍結」されているようです。でも貴重な鉱物資源が見つかったりすると、領有権争いが勃発するのかもしれませんね。
(^^;)
ねこのひげ様<素町人
2016/06/26 17:39

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