町人思案橋・クイズ集

アクセスカウンタ

zoom RSS 江戸末期に流行した謎々、判じ物(はんじもの)。口絵の魚はなんという名前なの?【18】

<<   作成日時 : 2016/06/16 08:00   >>

面白い ブログ気持玉 1 / トラックバック 0 / コメント 2

画像
★日本語★
問題:判じ物は絵を使った謎々です。18世紀後半から発達した版画の多色刷りの技術を活用し、地名・国名・動植物名・道具名・人名その他、さまざまな物を対象として作られました。
■本日は魚の名前の6回目です。まずは口絵の判じ物で練習しましょう。男性が「さ」という平仮名をつまみあげています。他にもいくつか文字が並んでいます。「さ」を選んでいる。選(よ)っているのですから、さ(さ)+より(選り)=さより。細魚(さより、鱵とも)が正解です。
◇*HP「さより - Google 検索」(画像)
https://www.google.co.jp/search?q=%E3%81%95%E3%82%88%E3%82%8A&hl=ja&rlz=1T4GGHP_jaJP523JP523&source=lnms&tbm=isch&sa=X&ved=0ahUKEwijiqWsn4_LAhUClKYKHQc7DHkQ_AUIBygB&biw=1280&bih=632
■細魚(さより)は秋刀魚(さんま)の仲間だそうですが、少し口先が尖って(とがって)います。最大で40cmほどらしい。3〜5月が旬だそうです。白身の高級魚で寿司や天麩羅、塩焼きなどで食されます。
■細魚(さより)の判じ物は、「さかなのはんじもの」という江戸時代の末期の出版物に収載されたものです。一宝斎国盛(いっぽうさいくにもり)という浮世絵師が弘化(こうか)4年(1847年)〜嘉永(かえい)2年(1849年)ごろに発表した作品らしい。Wikipediaによれば一宝斎国盛は2代目歌川国盛という名前のほうが通っているようです*1。
■では本番です。答はみんな魚や水の中で暮らしている生き物の名前です。中には認知度の低い魚もあるかもしれませんが、ほとんどが今でも漁獲され、家庭や料亭の食卓に登場する魚です。絵とヒントから名前を推理してみましょう。
▼[い]下にある刃物は鉈(なた)らしい
画像

▼[ろ]拷問でしょうか。男性の頬を棒で突いています
画像

▼[は]紺色の甕(かめ)に顔を近づけて何をしているのかな
画像

▼[に]女性の髪型は現代の結婚式でも使われることがあります
画像

▼[ほ]髭の男性は人ではなく神です。日本では1番…かもしれないほど親しまれた神です。運んでいるものにもヒントがあります
画像

(答えはずっと下↓ スクロールして下さい)

























★日本語★
正解:各項目を参照してください
説明:■[い]鉈(なた)は薪割りなどに使います。比較的短く、厚く、幅が広く、そして重い刃物ですね。小学生低学年のころ、これで薪を割らされたことがあります。自分の家ではなかったような気がします。母方の祖父の家だったのかな。昭和30年代にはまだ風呂や煮炊きでガスを使わない家庭がありました。
□上の猪は「い」です。い(猪)+なた(鉈)+濁点=いなだ。いなだはなぜか漢字表記のない魚です。出世魚の途中段階だからでしょうか。関東では、モジャコ(稚魚)→ワカシ(35cm以下)→イナダ(35〜60cm)→ワラサ(60〜80cm)→ブリ(80cm以上)という出世コースらしい*3。関西ではイナダにあたる部分はハマチと呼ばれます。関東でも刺身ではハマチという名前のほうが巾をきかせていますね。
▼イナダ
画像

◇*HP「イナダ - Google 検索」(画像)
https://www.google.co.jp/search?q=%E3%81%84%E3%81%AA%E3%81%A0&hl=ja&rlz=1T4GGHP_jaJP523JP523&biw=1280&bih=632&source=lnms&tbm=isch&sa=X&ved=0ahUKEwjUi4z6p4_LAhVj5KYKHVAgCp0Q_AUIBigB
■[ろ]男性が棒で頬を突かれています。頬に棒。ほお(頬)+ぼう(棒)=ほおぼう≒ほうぼう。竹麦魚(ほうぼう)ですね。
▼竹麦魚(ほうぼう)
画像

□竹麦魚は海底に生息する最大全長40cmほどの魚です。形も似ていますが味もカサゴと似て美味らしい。浮き袋でグーグーと鳴くことができるようです。ホウボウという名前もそこに由来するという説があります*4。
▼竹麦魚の鳴き声

◇*HP「ほうぼう - Google 検索」(画像)
https://www.google.co.jp/search?q=%E3%81%BB%E3%81%86%E3%81%BC%E3%81%86&hl=ja&rlz=1T4GGHP_jaJP523JP523&source=lnms&tbm=isch&sa=X&ved=0ahUKEwjgxY2Nqo_LAhWiGKYKHbdYAJMQ_AUIBygB&biw=1280&bih=632
■[は]紺色の甕(かめ)は染物屋さんの風景らしい。中に入っているのは藍染め用の藍ですね。職人らしき人物は顔を近づけて藍を舐めているようです。うまいのでしょうか。藍を舐める。あい(藍)+なめ(舐め)=あいなめ。鮎魚女(あいなめ)が正解です。
▼鮎魚女(あいなめ)
画像

□30〜40cmぐらいのカサゴ目の魚だそうです。脂の多い白身が旨いそうです。ただし、季節によっては寄生虫がいるので刺身で食べるには注意が必要らしい*5。脂が多いことから、北海道ではアブラコ、関西ではアブラメとも呼ばれるらしい。
◇*HP「あいなめ - Google 検索」(画像)
https://www.google.co.jp/search?q=%E3%81%BB%E3%81%86%E3%81%BC%E3%81%86&hl=ja&rlz=1T4GGHP_jaJP523JP523&source=lnms&tbm=isch&sa=X&ved=0ahUKEwjgxY2Nqo_LAhWiGKYKHbdYAJMQ_AUIBygB&biw=1280&bih=632#hl=ja&tbm=isch&q=%E3%81%82%E3%81%84%E3%81%AA%E3%82%81
■[に]女性の髪型は島田だそうです。正式名称は島田髷(まげ)というのかな。結婚式でよく見かける文金高島田は、島田髷の1種らしい。島田の女性が扱っているのは釣瓶井戸(つるべいど)のようです。略して井。しまだ(島田)+い(井)=しまだい。縞鯛(しまだい)ですね。
▼縞鯛(しまだい)
画像

□縞鯛は石鯛の成長途中だそうです。成長して石鯛となったときは全長70cmなんて大きな奴もいるらしい。縞鯛のころには25〜40cmぐらいなのかな。名称どおり縞がはっきりしているそうです。下の写真でみるとコントの囚人服みたいですね。成長するに従って縞は薄くなり、老成するとかすかに残っているという程度になるとのこと*6。
◇*HP「シマダイ - Google 検索」(画像)
https://www.google.co.jp/search?q=%E3%81%BB%E3%81%86%E3%81%BC%E3%81%86&hl=ja&rlz=1T4GGHP_jaJP523JP523&source=lnms&tbm=isch&sa=X&ved=0ahUKEwjgxY2Nqo_LAhWiGKYKHbdYAJMQ_AUIBygB&biw=1280&bih=632#hl=ja&tbm=isch&q=%E3%82%B7%E3%83%9E%E3%83%80%E3%82%A4
■[ほ]日本でいちばん親しまれている神様といえば稲荷様です。東京の町には、いまだに稲荷を祀った小さな社(やしろ)があちこちにあります。農業の神様から出発しましたが、いまやどんな産業分野においても稲荷の神通力は重宝されているらしい。大きなビルの屋上の片隅に稲荷が祀られていたりします。
□図では稲を荷としていますね。この神様は稲荷様らしい。稲荷様の上だけが描かれています。ということで正解は鰡(いな)です。
▼鰡(いな)
画像

□鰡(いな)は出世魚である鯔(ぼら)の発展途上段階だそうです。実は「いな」と「ぼら」は漢字が共通しています。鰡も鯔も「いな」あるいは「ぼら」とどちらにも読めるらしい。混乱してしまうので、この項では鰡は「いな」。鯔は「ぼら」と使い分けることにします。
□関東では、オボコ→→イナッコ→スバシリ→イナ→ボラ→トド。関西では、ハク→オボコ→スバシリ→イナ→ボラ→トドと出世していきます*7。どちらも最後はトドです。「トドのつまり」の語源となった状態ですね。
◇*HP「イナ 魚 - Google 検索」(画像)
https://www.google.co.jp/search?q=%E3%81%BB%E3%81%86%E3%81%BC%E3%81%86&hl=ja&rlz=1T4GGHP_jaJP523JP523&source=lnms&tbm=isch&sa=X&ved=0ahUKEwjgxY2Nqo_LAhWiGKYKHbdYAJMQ_AUIBygB&biw=1280&bih=632#hl=ja&tbm=isch&q=%E3%82%A4%E3%83%8A%E3%80%80%E9%AD%9A
□余談です。「なにやらの 手触りに似た 鰡(いな)の臍(へそ)」という桃色川柳があります。「いなのへそ」は赤ん坊が育つ器官の出入り口に似ているようです。「赤貝の ぐつと奥には いなのへそ」という川柳もあるらしい。写真で見ると、確かにちょっと似ているかな。
◇*HP「ぼらのへそ - Google 検索」(画像)
https://www.google.co.jp/search?q=%E3%81%BC%E3%82%89%E3%81%AE%E3%81%B8%E3%81%9D&hl=ja&rlz=1T4GGHP_jaJP523JP523&source=lnms&tbm=isch&sa=X&ved=0ahUKEwi0mvL9ipjLAhWiFqYKHWnSCFcQ_AUICCgC&biw=1280&bih=608
□なお、鰡(いな)あるいは鯔(ぼら)のへそとは、もちろん臍(へそ)ではありません。隠語辞典によれば、それは魚の肛門括約筋だそうです*8。赤ちゃんが育つ器官の口も肛門も閉めたり開いたりするという機能は共通しているのかな。
◆参考*1:HP「歌川国盛 (2代目) - Wikipedia」
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%AD%8C%E5%B7%9D%E5%9B%BD%E7%9B%9B_(2%E4%BB%A3%E7%9B%AE)
◇*2書籍「江戸の判じ絵」初版28〜33頁、岩崎均史(ひとし)著、ISBN4-09-626131-9、小学館
◇*3HP「ブリ - Wikipedia」
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%96%E3%83%AA
◇*4HP「ホウボウ - Wikipedia」
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9B%E3%82%A6%E3%83%9C%E3%82%A6
◇*5HP「アイナメ - Wikipedia」
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%82%A4%E3%83%8A%E3%83%A1
◇*6HP「イシダイ - Wikipedia」
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A4%E3%82%B7%E3%83%80%E3%82%A4
◇*7HP「ボラ - Wikipedia」(画像)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9C%E3%83%A9
◇*8HP「鰡の臍とは - 隠語辞典 Weblio辞書」(画像)
http://www.weblio.jp/content/%E9%B0%A1%E3%81%AE%E8%87%8D

ぬけられます→日本語雑学クイズ一覧

テーマ

関連テーマ 一覧


月別リンク

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!
ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。
→ログインへ
気持玉数 : 1
面白い

トラックバック(0件)

タイトル (本文) ブログ名/日時

トラックバック用URL help


自分のブログにトラックバック記事作成(会員用) help

タイトル
本 文

コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
江戸時代にはクイズの問題を書いて売るという商売があったようですね。
朝にクイズ問題を売り、夕方に答えを描いた紙を売っていたそうです。
ねこのひげ
2016/06/19 18:53
コメントをありがとうございます。

 面白いですね。江戸時代に生まれていたら、素町人もそんな商いをしていたかもしれません。
(^^;)
ねこのひげ様<素町人
2016/06/19 20:25

コメントする help

ニックネーム
本 文
江戸末期に流行した謎々、判じ物(はんじもの)。口絵の魚はなんという名前なの?【18】 町人思案橋・クイズ集/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる