町人思案橋・クイズ集

アクセスカウンタ

zoom RSS 表外の読みの問題。「陸、陵」に共通する表外の読みはどんなもの?

<<   作成日時 : 2016/04/25 08:50   >>

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 1 / トラックバック 0 / コメント 2

画像
★日本語★
問題:表外の読みの「表」とは「常用漢字表」のことです。常用漢字表には掲載されていないけれど、日常的に、あるいはたまに使われる読み。それが表外の読みです。
■題の問題の答えは「おか」だそうです。陸は「おか」と読む例がいくつかあるらしい。たとえば陸稲と書いて「おかぼ」と読みます。陸稲は水田をつくらず、畑でつくる稲です。
◇*HP「おかぼ - Google 検索」(画像)
https://www.google.co.jp/search?q=%E3%81%8A%E3%81%8B%E3%81%BC&hl=ja&rlz=1T4GGHP_jaJP523JP523&biw=1280&bih=626&source=lnms&tbm=isch&sa=X&ved=0ahUKEwjlz6SmubXLAhXHJaYKHZrPD90Q_AUIBigB#imgrc=v9lXUw2wjeNp2M%3A
陸水練(おかズイレン)という言葉もあるらしい。陸上でする水泳の練習ですね。「畳の上の水練」とおなじ意味です。「理屈ばかりで実地の訓練が欠けているため、実際には役に立たないこと」とのこと。現代では、水泳の訓練の中に、ドライ・ランド・トレーニングと呼ばれるものがあります。おもにフォームや手足の動きのタイミングの矯正に使われます。陸水練もまるで無駄ではないのかな。
■さらに銭湯の洗い場は、江戸時代の業界用語で「おか」と呼んだらしい。湯船の中は海か池なのかな。明治に入ってからは陸蒸気(おかジョウキ)が走りました。
■陵という漢字は、あまり「おか」と読む場面を見たことがありません。でも漢和辞書「字通」によれば、「リョウ、みささぎ、つか、おか」という字音・字訓があります。たしかに昔の天皇や豪族の墓…古墳はちょっとしたおかになっています。日本一広い底面積を持つ墓…大仙陵(ダイセンリョウ)古墳もまたちょっと土を盛り上げているようです。
◇*HP「大仙陵古墳 - Google 検索」(画像)
https://www.google.co.jp/search?q=%E5%A4%A7%E4%BB%99%E9%99%B5%E5%8F%A4%E5%A2%B3&hl=ja&rlz=1T4GGHP_jaJP523JP523&source=lnms&tbm=isch&sa=X&ved=0ahUKEwjTyL_oxbXLAhWhGKYKHVzYDAUQ_AUICCgC&biw=1280&bih=626
■では本番に参りましょう。次の5組の漢字はいずれも常用漢字表に掲載されています。かつ、共通する表外の読みをもっています。それぞれどんな読みでしょうか?
[い]愛と賞
[ろ]制と圧
[は]勘と案
[に]安と保
[ほ]威と嚇
(答えはずっと下↓ スクロールして下さい)



























★日本語★
正解:各項目を参照してください
説明:[い]愛と賞に共通する表外の読みは「めでる」
■めでるは「美しさを味わい感動する」という意味と、「いつくしみ、愛する。かわいがる」という意味、そして「褒める、感心する」という意味があるらしい。たとえば中秋の名月をめでるといえば1番目の意味でしょう。玄宗皇帝が楊貴妃をめでるといえば2番目かな。
□「この村に寺が1つあり、住職の僧は7日間断食して雨乞いの祈祷をした。はたして7日目に大雨があって田畑をうるおした。領主はそれを賞でて僧に金銭と米穀を賜わったが、僧は全然受けとろうとしない」。この文では、3番目の意味で使われています。ちなみにこの文章は司馬江漢(しばこうかん)の作品を現代語訳したものだそうです。司馬江漢は江戸時代の洋風画家・蘭学者・随筆家です*3*4。
[ろ]制と圧に共通する表外の読みは「おさえる」
■制と圧では制圧(セイアツ)という熟語ができます。どちらも「おさえる」という表外の読みがあるようです。
□「制」に「おさえる」という読みがある事例は、教科書にはあまり登場しません。島崎藤村(とうそん)の「千曲川のスケッチ」では使われていました。「私は笑わずにいられなかった。学士も笑を制えかねるという風で…」*5。
□「圧」に「おさえる」という読みがある事例も、そんなには見かけませんね。毛沢東(もうたくとう)は使っていました。「東風が西風を圧えなければ、西風が東風を圧える」。この言葉は元々は「紅楼夢(こうろうむ)」という清朝末期の長編小説に登場する言葉らしい。当時は大家族で妻妾が同居していたようですが、本妻に力があれば妾たちはひっこむし、妾が勢いをもてば本妻はひっこむ。すべてものごとは一方がよくなれば一方は悪くなる。両方が栄えることはない…といった意味らしい。毛沢東によれば、東風は社会主義圏を意味しているらしい。西風は資本主義圏なのでしょうね。
[は]勘と案に共通する表外の読みは「かんがえる」
■勘と案では勘案(カンアン、あれこれを考え合わせること)という熟語ができます。どちらも「かんがえる」という読みがあるそうです。
□「勘」はどちらかといえば推論ではなく直感にもとづくものかと思っていました。意外にも「かんがえる」という読みもあるらしい。「デジタル大辞泉」を「かんがえる」で検索すると「考える、勘える」という項が引っかかります。
□あまり使用例は見かけませんが、参考資料*6には次のような記述がありました。「「勘弁」の古い言葉の意味は「勘え弁える(かんがえわきまえる)」だった。漢字の「勘」は「考える」という意味があり、「弁」は「議論する」で、漢字の「勘弁」は「考え論じて決める」である」*6。
□「案」は思案・考案という熟語を造るぐらいですから、「かんがえる」と言う意味がありそうですね。でも残念ながら「案える」という読みで使われている場面は見つかりませんでした。漢和辞書「字通」によれば「アン、つくえ、かんがえる」という字音・字訓があります。
[に]安と保に共通する表外の読みは「やすんずる」
■安と保では安保(アンポ、安全保障の略)という熟語ができます。国を安全・安心な状態に保つ意味ですね。
□「安」を「やすんずる」と読む例はたくさんあります。そのうちの1つ、夏目漱石の「吾輩は猫である」では次のように使われていました。「…だからどんな人間でも生れるときは必ず赤裸である。もし人間の本性が平等に安んずるものならば、よろしくこの赤裸のままで生長してしかるべきだろう」。人間不平等起源論みたいな一節です。
□「保」をやすんずると読む例は、あまり多くはありません。荘子(ソウシ)という中国の哲学者の言葉を集めた本「荘子(ソウジ)」では次のように使われていました。「督(ほど)に縁うて(したがうて)以て経(つね)と為さば、以て身を保んずべく、以て生を全う(まっとう)すべく、以て親を養うべく、以て年を尽くすべし」*7。督は善に偏らず悪に偏らずという状態らしい。人間は善に偏っても悪に偏っても危ないということかな。
[ほ]威と嚇に共通する表外の読みは「おどす」
■威と嚇では威嚇(イカク)という熟語ができます。どちらも「おどす」という表外の読みがあるようです。
□威すは現代文でも使われます。「鎧の縅(おどし)とは小札(こざね)を色糸や色革などで貫いて綴じることを意味する「緒通し」が語源といわれ、敵を「威す」意味を含めさせて「縅」の字をあてるようにしたといわれる」*8。
□嚇すは「下等百科事典」という明治から大正にかけての本のなかで次のように使われていました。「凶器のことをドスと云ふ。嚇すのオを略したのだとのことである。兇器を懐中せるを、ドスを呑んでると云ふのである」*9。
◆参考*1:HP「文化庁 | 常用漢字表の内閣告示等について | 「常用漢字表」(平成22年内閣告示第2号)」
http://kokugo.bunka.go.jp/kokugo_nihongo/joho/kijun/naikaku/pdf/joyokanjihyo_20101130.pdf
(pdfファイルを開こうとすると警告が表示されます。文化庁の頁です。ウイルスに感染している可能性はかなり低いと思われますが、自己責任で開いて下さい)
◇*2HP「常用漢字の表外読み(音訓) 一覧表・検索」
http://www16.atpages.jp/kanjikentei/hyogaiyomi.html
◇*3書籍「杉田玄白平賀源内司馬江漢 日本の名著22」文庫初版457頁、芳賀徹(とおる)責任編集、、中央公論社
◇*4HP「親しみの持てる才人司馬江漢。江戸っ子なのになぜ支那人風の名前なの? 町人思案橋・クイズ集/ウェブリブログ」
http://blog.q-q.jp/200708/article_25.html#comment
◇*5HP「島崎藤村 千曲川のスケッチ」(青空文庫)
http://www.aozora.gr.jp/cards/000158/files/1503_14594.html
◇*6書籍「「茶柱が立った」と聞いて、江戸の旦那は腰を抜かす」新書初版230頁、古川愛哲(あいてつ)著、ISBN978-4-408-10877-3、実業之日本社
◇*7書籍「中国古典選12 荘子(内編)」文庫初版140頁、福永光司(みつじ)著、朝日新聞社
◇*8書籍「「日本語話題事典」初版736頁、担当筆者江幡潤(えばたじゅん?)、ISBN4-324-01495-7、ぎょうせい
◇*9書籍「下等百科辞典」復刻本初版106頁、尾佐竹猛(おさたけ たけき)著、礫川全次(こいしかわ ぜんじ)校訂・解題、ISBN4-8265-0276-1、批評社
◇辞書「字通」白川静、平凡社
◇辞書「漢字源」藤堂明保、学習研究社
◇辞書「日本国語大辞典」小学館
◇Yahoo! J Dictionaries 大辞泉
◇Yahoo! J Dictionaries 大辞林

ぬけられます→日本語雑学クイズ一覧

テーマ

関連テーマ 一覧


月別リンク

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!
ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。
→ログインへ
気持玉数 : 1
なるほど(納得、参考になった、ヘー)

トラックバック(0件)

タイトル (本文) ブログ名/日時

トラックバック用URL help


自分のブログにトラックバック記事作成(会員用) help

タイトル
本 文

コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
ねこのひげも、子供のころ夏につるす蚊帳の上で泳ぐマネをしては怒られてました。
訓練になっていたんですかね〜
ねこのひげ
2016/05/01 14:00
コメントをありがとうございます。

 蚊帳の上で泳ぐマネは素町人もやりました。やはり怒られました。昔の蚊帳は、とても大切なものだったのでしょうね。
(^^;)
ねこのひげ様<素町人
2016/05/01 23:08

コメントする help

ニックネーム
本 文
表外の読みの問題。「陸、陵」に共通する表外の読みはどんなもの? 町人思案橋・クイズ集/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる