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zoom RSS 梅に替わって桜が人々の関心を集めるようになったのはいつごろからなの?

<<   作成日時 : 2016/03/05 09:02   >>

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★歴史★
問題:「東風(こち)吹かば 匂ひおこせよ 梅の花 主なしとて 春を忘るな」。ご存知、天神様こと菅原道真(みちざね)の作品ですね。政敵藤原時平(ときひら、しへい)によって太宰府に流される際、梅の木に別れを告げた歌らしい。寛弘(かんこう)3年(1006年)ごろに成立した「拾遺和歌集(しゅういわかしゅう)」という勅撰和歌集に収載されている歌とのこと。歴史書「大鏡(おおかがみ)」にも記されているようですが、こちらは「春な忘れそ」と係り結びになっているそうです。「忘るな」だと軽い命令形。「忘れそ」だと依頼の呼びかけになるらしい。無風流な町人はどっちでもいいじゃんと思いますけど。
■天神様に語りかけられた梅は、京都から大宰府まで飛んでいったらしい。「飛び梅」の伝説が生まれたそうです。グーグル・マップによれば、京都御所から太宰府天満宮までは600km以上あります。電車を乗り継いで10時間前後。クルマでも渋滞無しで8時間弱。この距離を梅が飛行できるかどうか。きっと無理でしょう。10cmの移動だってできそうもないのですから。
■中国では古来、梅の花が花の代名詞として尊ばれて来たらしい。菅原道真はけっして中国カブレ、外来文化カブレではありません。唐とつきあってももう何も学ぶことはないし、止めちゃおうよと遣唐使の廃止を建議したのが菅原道真だったと言われます*1。でも、漢文は得意な人です。なんらかの感化を受けていたのかな。梅が好きだったようです。
■江戸時代以降、日本では花といえば桜です。「花」という題の文部省唱歌でも、墨田河畔の桜が歌われています。「花は桜木、人は武士」という町人としては面白くない決まり文句もあります。
■奈良時代には花は梅という中国風の考え方が通用していたらしい。その後、ある時代から、花は桜という見方が強まったようです。では、桜に対する関心が梅を凌駕したのは、いつごろのことでしょうか。次の中から選んで下さい。
[い]平安時代の前期(「古今和歌集」のころ、913〜914年に成立)
[ろ]平安時代の中期(「拾遺和歌集」のころ、1005〜1007年に成立)
[は]平安時代の後期(「詞花和歌集(しかわかしゅう)」のころ、1151年に成立)
[に]鎌倉時代の前期(「新古今和歌集」のころ、1205年に成立)
[ほ]鎌倉時代の末期(「続千載和歌集(しょくせんざいわかしゅう)」のころ、1320年に成立)
(答えはずっと下↓ スクロールして下さい)

























★歴史★
正解:[い]平安時代の前期(「古今和歌集」のころ、913〜914年に成立)
説明:奈良時代に成立した「万葉集」では、全部で約4500首あるうち、植物が詠み込まれた歌が1500首前後あるそうです*2。1番多く詠われたのが萩で142首。梅の花を詠んだ歌が119首あるとのこと。桜は46首、薄(すすき)が44首、柳36首、紅花(べにばな)29首、撫子(なでしこ)・藤(ふじ)がともに26首、卯の花(うのはな)24首と続くらしい*3。
■なお、植物が詠み込まれた歌はもっと多くて1700首前後という説もあります。また、花の歌の番付は、松・藻・稲・葦・菅・梓・麻・茅など、花の目立たぬ植物を除いた順位だそうです*3。
■平安時代前期の「古今和歌集」では、人気が逆転しています。1111首といわれる総数のうち、梅を詠んだ歌は約20首、桜は約50首らしい*4。
■精神世界だけでなく、現実世界においても梅と桜は逆転したらしい。平安時代の初め、紫宸殿(ししんでん、ししいでんとも)の南の庭には、右近の橘(うこんのたちばな)とともに左近の梅が植えられていたらしい。天徳(てんとく)4年(960年)、村上天皇の治世に内裏が火災にあいます。梅も焼けてしまいました。再建時には桜に植え替えられたとのこと。以後は左近の桜で今日に至っているらしい*4。
◇*HP「左近の桜 - Google 検索」(画像)
https://www.google.co.jp/search?q=%E5%B7%A6%E8%BF%91%E3%81%AE%E6%A1%9C&hl=ja&biw=1280&bih=626&site=webhp&source=lnms&tbm=isch&sa=X&sqi=2&ved=0ahUKEwjLrcbOmqjLAhXF26YKHWjjDmEQ_AUIBygC
■首位は奪われたものの、梅は根強い人気がありました。弊クイズでもご紹介した鶯宿梅(おうしゅくばい)の逸話もあります*5。江戸時代でも「十徳(じっとく)を 着たる隠居の 梅見かな」という川柳だか俳句だかわからない句のように、梅見の習慣も続いていたようです。十徳は男性の上着の1種だそうです。「江戸時代には医師・儒者・茶人などの礼服」だったらしい。
◇*HP「十徳 - Google 検索」(画像)
https://www.google.co.jp/search?q=%E5%8D%81%E5%BE%B3&hl=ja&rlz=1T4GGHP_jaJP523JP523&source=lnms&tbm=isch&sa=X&ved=0ahUKEwjGzIiTm6jLAhVkGKYKHTREBzMQ_AUICCgC&biw=1280&bih=626
■余談です。梅も桜も原産地には諸説あり、はっきりしないようです。ただし、桜の代表格ともいえる染井吉野については、江戸時代に日本原産種の江戸彼岸系の桜と大島桜の交配で生まれたと言われます。日本産の園芸品種とWikipediaには紹介されていました*8。近所の国で、染井吉野は自分の国の原産だと主張している人たちもいるようですが。
◆参考*1:HP「遣唐使 - Wikipedia」
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%81%A3%E5%94%90%E4%BD%BF
◇*2HP「『万葉集』「萩」最も多く読まれた花 「大伴家持」最多収録 | わかればいいのに I wish I knew」
http://seethefun.net/%E6%96%87%E7%B3%BB%E5%AD%A6%E5%95%8F/6053/
◇*3HP「梅と桜」
http://www.tcct.zaq.ne.jp/bpbuv603/umetosakura1.html
◇*4書籍「日本史こぼれ話 古代・中世 続編」新書初版76〜77頁、笠原一男/児玉幸多編、ISBN4-634-80750-1、山川出版社
◇*5HP「かよわい女性が愛する梅の木を天皇に返還させた和歌とは? 町人思案橋・クイズ集/ウェブリブログ」
http://blog.q-q.jp/201502/article_20.html
◇*6HP「ウメ - Wikipedia」
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A6%E3%83%A1
◇*7HP「サクラ - Wikipedia」
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B5%E3%82%AF%E3%83%A9
◇*8HP「ソメイヨシノ - Wikipedia」
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%BD%E3%83%A1%E3%82%A4%E3%83%A8%E3%82%B7%E3%83%8E
◇*9HP「広い公園のソメイヨシノが一斉に咲き始める理由はなに? 町人思案橋・クイズ集/ウェブリブログ」
http://blog.q-q.jp/201203/article_20.html

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コメント(2件)

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ソメイヨシノは1本の木から接ぎ木して作られたクローンなので、全国のソメイヨシノのがいっぺんに枯れるときが来るという話がありましたが・・・それ以降聞かない所を見ると間違っていたんですかね?

問題とは関係ありませんが、日本の苗字が世界で一番多いらしいですね。
中國なんかよりはるかに数があるそうです。
ねこのひげ
2016/03/06 16:20
コメントをありがとうございます。

 全国のソメイヨシノが同じDNAだとは聞きますけれど、そのDNAの中に枯れるプログラムが設定されているという話は、どうでしょうか。素人の感想では、「生き物らしくない」お話に聞こえますけど。
 
 日本の苗字は10万を超えているというお話ですね。人口が日本の半分ほどであるイギリスでは1万余りの苗字があるという話も聞きます。
 ただし、最近は移民の増大もあり、苗字も増えている可能性がありますけど。
(^^;)
ねこのひげ様<素町人
2016/03/07 07:59

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