町人思案橋・クイズ集

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zoom RSS 江戸時代に流行した謎々、判じ物(はんじもの)。口絵の地名はどこを意味しているの?【6】

<<   作成日時 : 2016/03/17 07:15   >>

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★日本語★
問題:判じ物は、絵で解く謎々です。江戸時代の後期には、天然色の出版物が流行しました。錦絵とも呼ばれます。多色刷りです。明和(めいわ)2年(1765年)ごろに誕生しています。当時、富裕な粋人たちの間で、絵暦を交換する会が流行したらしい。絵暦は、太陰太陽暦の複雑な暦日を絵でわかりやすく表したものだそうです。
◇*HP「絵暦 - Google 検索」(画像)
https://www.google.co.jp/search?q=%E7%B5%B5%E6%9A%A6&hl=ja&rlz=1T4GGHP_jaJP523JP523&source=lnms&tbm=isch&sa=X&ved=0ahUKEwjR5PH75p7JAhXkhaYKHW94BmsQ_AUICCgC&biw=1280&bih=632&dpr=1.5#imgrc=hg58OWuYbbD9HM%3A
■本来、絵暦は字が読めない人のためのものでしたが、通人たちはさまざまな複雑な趣向を凝らした絵暦をつくて遊んだらしい。交換してみんなで面白がるわけですね。
■その際、単色刷りではつまらない。多色刷りの技法が開発されたようです。以後の浮世絵版画は、錦絵が多くなります。葛飾北斎(ほくさい)や喜多川歌麿(うたまろ)など、今でもよく知られる浮世絵作家が活躍します。錦絵の判じ物も多く刷られたようです。
■口絵の判じ物は江戸の地名です。おわかりになるでしょうか。武士らしき人物が焙烙(ほうろく、素焼きの器)に矢を乗せ、下から火で加熱しています。焙烙には矢のほかに特に液体は入っていないらしい。つまり、煎っているようです。矢を煎る。答は入谷(いりや)です。
■入谷は「恐れ入谷の鬼子母神(きしもじん/きしぼじん)」という決まり文句で知られています。でも、江戸時代はうらさびしい場所だったようです。もともとは千束池という水溜まりの底にあったらしい。
■戦国時代に埋め立てられて開墾されたとのこと。地名から察するに、それでも低い場所ではあったのでしょう。江戸時代末期になって朝顔栽培が盛んになります。入谷朝顔市が開かれる場所として知られるようになったらしい。ちなみに鬼子母神は現在の町名でいえば下谷にあるようです。古くは一帯が入谷と呼ばれていたのかな。いずれにせよ、谷だったらしい。
■「煎り矢」の判じ物は、江戸時代の末期、歌川重宣(しげのぶ)という浮世絵師の作品「江戸名所はんじもの」の一部です。歌川重宣は初代歌川広重(ひろしげ)の弟子で2代目を継いだようです。初代広重は、「東海道五十三次」や「名所江戸百景」などの作品集で知られる絵師ですね*1。
■本日も、判じ物のクイズをお送りします。答はみんな江戸の地名です。ほとんどが現在の東京の地名としても残っています。絵とヒントから地名を推理してみましょう。
▼[い]男性がかつぎあげているのは琴柱(ことじ、略してじ)と呼ばれる琴(楽器)の部品です。
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▼[ろ]男性は朝比奈義秀(よしひで)という歴史上の有名人です
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▼[は]女性の顔は宝珠(ほうじゅ)になっています。
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▼[に]白色と水色で表現されているのは滝です。
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▼[ほ]川の流れに火が乗っていたり、平椀(ひらわん)が乗っていたりします。(地名は2箇所)
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(答えはずっと下↓ スクロールして下さい)

























★日本語★
正解:各項目を参照してください
説明:■[い]馬鹿でかい、大きな琴柱(ことじ)です。「琴などの弦楽器のこま」は、「じ」とも呼ばれたらしい。現代のネット上の「大辞林」などにも立項されています。で、大きな「じ」→「おうじ」=王子です。仕掛けは単純ですね。ちなみに琴柱は下の画像のようなものです。最近では合成樹脂製が主流なのかな。
▼王子(おうじ)
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◇*HP「琴柱 - Google 検索」(画像)
https://www.google.co.jp/search?q=%E7%90%B4%E6%9F%B1&hl=ja&rlz=1T4GGHP_jaJP523JP523&source=lnms&tbm=isch&sa=X&ved=0ahUKEwi3i_fokJ_JAhVENqYKHaXBBbQQ_AUIBygB&biw=1920&bih=948&dpr=1
□王子は北区にあります。落語「王子の狐」の舞台となる王子稲荷神社が有名です。大晦日に狐が集まり、連れだって正月の挨拶をするらしい*3。仲間内の名刺交換会ではなく、稲荷神社の神様に対して年の無事を祈りにいくようです。
◇*HP「〒114-0002 東京都北区王子 から 〒114-0002 東京都北区王子 - Google マップ」
https://www.google.co.jp/maps/dir/%E3%80%92114-0002+%E6%9D%B1%E4%BA%AC%E9%83%BD%E5%8C%97%E5%8C%BA%E7%8E%8B%E5%AD%90/%E3%80%92114-0002+%E6%9D%B1%E4%BA%AC%E9%83%BD%E5%8C%97%E5%8C%BA%E7%8E%8B%E5%AD%90/@35.711824,139.681119,12z/data=!4m13!4m12!1m5!1m1!1s0x6018926380943189:0xf6b36e52e04458b4!2m2!1d139.7371967!2d35.7573621!1m5!1m1!1s0x6018926380943189:0xf6b36e52e04458b4!2m2!1d139.7371967!2d35.7573621?hl=ja
■[ろ]男性は朝比奈義秀(よしひで)という歴史上の有名人です。鎌倉時代初期の武将で、和田義盛(よしもり)の息子さんです。大力無双の豪傑だったらしい。豊臣秀吉の名前の由来になったとされています*4。信長に義秀という名前を示唆され、上下をひっくり返して秀義にし、さらに当時の足利将軍義昭(よしあき)の「義」の字を憚って(はばかって)「吉」にしたとか。能・狂言・人形浄瑠璃・歌舞伎などにも取り上げられる武将だそうです。
□朝比奈義秀の上半身で「あさ」、手には将棋の「歩」の駒を持っています。「あさ」+濁点+「ふ」+濁点=麻布です。
▼麻布(あざぶ)
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□麻布は今でこそ高級住宅街ですが、江戸時代は田舎と見られていたようです。江戸という町の重心は、江戸城より東側にあったらしい。当時の最大の繁華街、両国も浅草も、みんな東側です。西側である青山、麻布、渋谷、新宿などは、すべてド田舎ですね。
◇*HP「麻布, 東京都 から 〒106-0045 東京都 麻布 - Google マップ」
https://www.google.co.jp/maps/dir/%E9%BA%BB%E5%B8%83,+%E6%9D%B1%E4%BA%AC%E9%83%BD/%E3%80%92106-0045+%E6%9D%B1%E4%BA%AC%E9%83%BD+%E9%BA%BB%E5%B8%83/@35.6564539,139.6988856,13z/data=!3m1!4b1!4m13!4m12!1m5!1m1!1s0x60188b9fb0026cf9:0xffd2e000a0c92120!2m2!1d139.733905!2d35.656459!1m5!1m1!1s0x60188b9fb0026cf9:0xffd2e000a0c92120!2m2!1d139.733905!2d35.656459?hl=ja
■[は]宝珠というのは、お寺さんなどで使われる飾りの一種です。ガラスや水晶、貴石、貴金属などで作られるものらしい。
◇*HP「宝珠 - Google 検索」
https://www.google.co.jp/search?q=%E5%AE%9D%E7%8F%A0&hl=ja&rlz=1T4GGHP_jaJP523JP523&source=lnms&tbm=isch&sa=X&ved=0ahUKEwiJn7uPl5_JAhXGhaYKHRc0BsoQ_AUIBygB&biw=1920&bih=912
□橋の欄干などに使われる擬宝珠(ぎぼし)は、宝珠に擬した(模した、似せた)飾りですね。
◇*HP「擬宝珠 欄干 - Google 検索」
https://www.google.co.jp/search?q=%E5%AE%9D%E7%8F%A0&hl=ja&rlz=1T4GGHP_jaJP523JP523&source=lnms&tbm=isch&sa=X&ved=0ahUKEwiJn7uPl5_JAhXGhaYKHRc0BsoQ_AUIBygB&biw=1920&bih=912#hl=ja&tbm=isch&q=%E6%93%AC%E5%AE%9D%E7%8F%A0%E3%80%80%E6%AC%84%E5%B9%B2
□宝珠は単純に「たま」とも呼ばれます。女性は乳房をつまんで乳汁を出しています。授乳期なのかな。女性の顔というか頭は宝珠=「たま」です。「たま」+「乳」=たまち。田町となるらしい。なお、乳首の場合のように、乳は「ち」とも読みます。「血」とおなじ発音です。乳汁の原料は血液だそうですが、昔の人も知っていたのかな。
▼田町(たまち)
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□山手線田町駅周辺は現在はビジネス街です。江戸時代には東海道に沿って細長い町並だったらしい。薩摩藩の下屋敷があったようです。それで品川へも多く遊びに行っていたのかな*5。
◇*HP「田町駅 から 田町駅 - Google マップ」
https://www.google.co.jp/maps/dir/%E7%94%B0%E7%94%BA%E9%A7%85/%E7%94%B0%E7%94%BA%E9%A7%85/@35.711824,139.681119,12z/data=!3m1!4b1!4m13!4m12!1m5!1m1!1s0x60188bb408dcbf5b:0x3d3b4cf5d047c154!2m2!1d139.7476565!2d35.6457976!1m5!1m1!1s0x60188bb408dcbf5b:0x3d3b4cf5d047c154!2m2!1d139.7476565!2d35.6457976?hl=ja
■[に]滝を浴びているのは火事装束に身を包んだ千組の纏持ち(まといもち)です。纏持ちは、この火事は我々が担当すると宣言する役目です。江戸には、い組〜ん組まで48組の火消しがいたらしい。このうち「へ組/ら組/ひ組/ん組」の4組は「百組/千組/万組/本組」に置き換えて使用されたようです。へ組は臭そうだし、ら組は摩羅(まら、陰茎)を連想させるし、ひ組は火みたいだし、ん組はおしまいに通じて縁起が悪い。そんな理由で忌避されたらしい。
□千組の纏持ちが滝に打たれている。せん(千)+たき(滝)≒せんだぎ。千駄木というわけらしい。
▼千駄木
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□千駄木は現在の文京区にあります。Wikipediaによれば、下級ではありますが武家屋敷が多かったらしい。厳密にいえば下町とのこと。現在では谷中・根津と並んで下町情緒を残した一角として脚光を浴びていますね。
◇*HP「〒113-0022 東京都文京区千駄木 から 〒113-0022 東京都文京区千駄木 - Google マップ」
https://www.google.co.jp/maps/dir/%E3%80%92113-0022+%E6%9D%B1%E4%BA%AC%E9%83%BD%E6%96%87%E4%BA%AC%E5%8C%BA%E5%8D%83%E9%A7%84%E6%9C%A8/%E3%80%92113-0022+%E6%9D%B1%E4%BA%AC%E9%83%BD%E6%96%87%E4%BA%AC%E5%8C%BA%E5%8D%83%E9%A7%84%E6%9C%A8/@35.7242244,139.7498312,16z/data=!4m13!4m12!1m5!1m1!1s0x60188dce57f5b253:0x1851a3f438adfed7!2m2!1d139.7581383!2d35.7268018!1m5!1m1!1s0x60188dce57f5b253:0x1851a3f438adfed7!2m2!1d139.7581383!2d35.7268018?hl=ja
■[ほ]川の流れに火が乗っているので氷川。平椀(ひらわん)が乗っているので平川。とても単純明快です。ただし、氷川と平川がどこにあるのか。よくわかりません。氷川神社というのはたまに見かけます。Wikipediaの氷川神社の項によれば、現在の23区内だけで13箇所もあるらしい。そのうちのどこかなのでしょうか。
□平川もよくわかりません。地名としてはあまり聞きません。神田川のかつての呼称が平川だったという話は聞きます。ただし、改名されたのは17世紀中らしい。幕末の判じ物で神田川の旧称が問われるのは不自然かもしれません。平川ってどこにあるのでしょうね。
▼氷川と平川
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◆参考*1:HP「歌川広重の「江戸名所百景」に描かれた風景。現在のどこの町なの? 町人思案橋・クイズ集/ウェブリブログ」
http://blog.q-q.jp/201503/article_9.html
◇*2書籍「江戸の判じ絵」初版28〜33頁、岩崎均史(ひとし)著、ISBN4-09-626131-9、小学館
◇*3HP「「日本三大稲荷神社の1つ」といわれる神社は8社もあるの? 町人思案橋・クイズ集/ウェブリブログ」
http://blog.q-q.jp/200907/article_37.html
◇*4HP「羽柴秀吉の「秀吉」という名前の由来。誰の名前をもらったの? 町人思案橋・クイズ集/ウェブリブログ」
http://blog.q-q.jp/201205/article_9.html
◇*5HP「「いろは茶屋」ってどんな場所なの? 町人思案橋・クイズ集/ウェブリブログ」
http://blog.q-q.jp/200909/article_34.html

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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
判じ物は面白いですね。
谷中に住んでいた時、谷中霊園を通って階段を下りて入りやの朝顔市を観に行きました。
王子神社にも散歩がてら行きました。
すっかり繁華街となっていて狐さんに出会う余地はなかったです。
ねこのひげ
2016/03/20 07:10
コメントをありがとうございます。

 谷中と入谷のコンビにちょっとだけ似ているのが雑司ヶ谷です。共通点は霊園の近所に鬼子母神があること。雑司ヶ谷のほうはあまり下町っぽくないのですが。
(^^;)
ねこのひげ様<素町人
2016/03/20 09:23

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