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zoom RSS 「女中は遠慮そうに答えた」。どこが間違いなの?

<<   作成日時 : 2015/07/23 08:43   >>

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★日本語★
問題:多くのかたが気付かれたことでしょう。題の問題は、「遠慮そうに」という表現が不自然ですね。
■接尾語の「そう」は「ということだ」の意の場合は「早いそうだ」とか「行くそうだ」のように形容詞や動詞の終止形につくらしい。でも「それらしいようだ」の意の場合は、「暖かそうな」とか「愉快そうな」、「降りそうな天気」のように、形容詞・形容動詞の語幹や動詞の連用形につくそうです。
■「遠慮」に直接「そう」をつけるのは無理らしい*1。正しくは「遠慮深そうに」、「遠慮がちに」とすべきなのかな。
■例文は松本清張(せいちょう)氏が「二重葉脈」という作品の中で使っているようです。松本清張氏は「渡された場面」という小説でも「…信子は茶を出したあと、遠慮そうに小寺にきいた」と、「遠慮そう」を使っているとのこと。癖かな。だとすれば悪癖でしょうか。
■さて、本日は、日本語の間違いを見つけていただくクイズです。次の文章の中にある間違いを探してください。
[い]「関羽のまえに立っては、斧にむかう螳螂(とうろう)のようなものにしか見えなかった」
[ろ]「汚名ばん回のため全庁員が一層奮闘することを誓います」
[は]「フロストは思わず汗ばんでいた」
(答えはずっと下↓ スクロールして下さい)

























★日本語★
正解:各項目を参照してください
説明:[い]「関羽のまえに立っては、斧にむかう螳螂のようなものにしか見えなかった」は斧にむかう蟷螂が誤り
■「荘子(そうじ)」という書物に、「蟷螂(とうろう)の斧」というお話が紹介されています。カマキリが大きな車に、斧に似た前足を振り上げて向かっていきます。でもかなうはずもなく、潰されて即死しちゃいます。自分の力量をわきまえず、自分よりはるかに強い者に立ち向かう。「蟷螂の斧」にはそんな意味があるらしい。
□カマキリが斧に向かうというお話はあまり聞きません。筆者はなにかを勘違いしたのかな。ちなみにこの筆者は「宮本武蔵」や「三国志」で知られる吉川英治(えいじ)氏だそうです。
[ろ]「汚名ばん回のため全庁員が一層奮闘することを誓います」は汚名ばん回が誤り
■これはときどき目にする事例ですね。汚名を挽回されても困ります。「名誉挽回のため…」ならわかりますけど。「汚名返上」とか「汚名を雪ぐ(すすぐ)ため」でもいいらしい。
□ついでにいいますと、「ばん回」という交ぜ書き表記もよくないですね。これは昭和43年(1968年)1月11日付の毎日新聞の記事だそうです。
□「これからは犯人の背後関係の捜査に全力をあげて汚名ばん回したい」という新聞記事も例示されていました。昭和49年(1974年)8月17日付の朝日新聞の記事とのこと。どちらも「おかしな日本語」を使い、かつ「交ぜ書き表記」を使うという二重の欠陥記事です。やれやれ。
[は]「フロストは思わず汗ばんでいた」は思わずが誤り
■「思わず吹き出す」とか「思わず目を見張った」といった表現はよく目にします。思わずは、「意識しないである行為をするさま」とのこと。「汗ばむ」のは意識とは無関係な生理現象です。「思わず」はなじみません。
□「思わず胸くそが悪くなった」という事例もあげられていました。これも妙ですね。2つの事例は創元推理文庫のR・D・ウィングフィールドという作家の「クリスマスのフロスト」という作品に含まれたものらしい。
□余談です。意識とは無関係な生理現象といえば、「瞳をとじる」ことも同様です*2。眩(まぶ)しいときには反射的に瞳孔が閉じます。暗いときには勝手に開きます。当人が意識的に操作することはできないようです。
□瞳孔の開閉にかかわる神経は自律神経の一種らしい。ここでいう自律は、神経が自分で律している、制御しているという意味だそうです。神経の持ち主である当人の意識とは無関係らしい。所有者から見れば不随意なようです。所有者が随意に制御できるのは目蓋/瞼(まぶた)の開閉ですね。
□荒井由実孃の名曲「♪瞳を閉じて」は、正しくは「♪目蓋/瞼を閉じて」とすべきなのでしょう。同様に平井堅君の作品は「♪目蓋/瞼をとじて」とすべきなのかな。生理学としての正しさは詩としての語感の良さを損なう(そこなう)ようですけど。
◆参考*1:書籍「おかしな日本語 正しい日本語」初版42〜43頁、土屋道雄著、ISBN4-7601-2279-6、柏書房
◇*2HP「「瞳を閉じる」ためにはどんな食品を食べるといいの? 町人思案橋・クイズ集/ウェブリブログ」
http://blog.q-q.jp/200806/article_2.html
◇辞書「字通」白川静、平凡社
◇Yahoo! J Dictionaries 大辞泉
◇Yahoo! J Dictionaries 大辞林
◇辞書「日本国語大辞典」小学館

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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
語感の良さから使っているのかもしれませんね。
新しい言語というのはこうして生まれてくるのかもしれませんね。
ねこのひげ
2015/07/26 05:34
コメントをありがとうございます。

 DNAの異常から病気が生まれることもあれば、突然変異で新しい競争力を持った種が生まれることもあるようですね。
 同様に、新しい言葉もちょっとした間違いから生まれる可能性もあるのかな。
(^^;)
ねこのひげ様<素町人
2015/07/26 23:36

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