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zoom RSS 明治の犯罪用語。「むすめし」とはどんな意味なの?

<<   作成日時 : 2015/07/16 09:19   >>

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★日本語★
問題:方言は地域で生まれ育った言葉で、風土が反映してなかなか面白い言葉があります。同様に隠語は業界で生まれ育った言葉であり、業界の文化が反映されています。
■本日は明治時代の犯罪用語、つまり犯罪業界の隠語のクイズです。まずは題の問題の答から。「むすめし」は、土蔵破りの盗賊を指す言葉らしい。「娘師」なのかな。「ムスメ」が土蔵を指すようです。「色白娘」は白塗りの土蔵。「色黒娘」は黒塗り土蔵とのこと。物品がたくさん入っている土蔵は「孕み(はらみ)娘」などと呼ぶらしい。
■初めての土蔵を破るのは「ミヅアゲ」。これは芸者の水揚げを連想させますね。辞書によれば、「芸妓遊女が初めて客と寝所にて接すること」です。防犯意識が低く、容易に破れる土蔵は「安産」と呼ぶらしい。なかなか破れないのは「難産」です。
■では本題です。次の隠語の説明のうち、正しいものはどれでしょうか? (正しい記述は無いかもしれないし複数かもしれません)
[い]「ドウロクが踊る」は、警戒中の警察官に見つかって追い掛けられることである
[ろ]「ナス」とは巾着のことであり、「ヨイチ」は財布のことである
[は]「シンガマリ」は、入れ物は立派なのに中身の金銭がちょっとしか入っていない状態を指す
[に]「オダイジ」とは、医者のことで掏摸のいちばんのカモだった
[ほ]「ハキダメ」とは、駅の構内のことで、掏摸(すり)にとっては格好の仕事場だった
(答えはずっと下↓ スクロールして下さい)

























★日本語★
正解:[ろ]が正しい
説明:[い]「ドウロクが踊る」は、警戒中の警察官に見つかって追い掛けられることである(×)
■「ドウロク」は被害者のことらしい。「長太」とも呼ばれたようです。「踊る」は見つかって怒り出すことのようです。
□たいていの場合は、そこに仲裁に入る人間がいます。「スイトリ」と呼ばれるらしい。おおむね掏摸の親分格の人物だそうです。興奮する被害者をいさめて、「品物が返ったら、荒立てないがようがす。掏摸を仇(あだ、仕返し)をしますから」なんて言うらしい。なんとかごまかしちゃうわけですね。でも警察がその場にいれば、うまくはいきませんけど。
□掏摸仲間では「欲を離れよ」というらしい。もし見つかったら、どんなに札がいっぱい入っていても財布ごと捨ててしまえ。証拠がなければ、文句のつけようもありません。明治時代には、指紋の採取や照合も思うようにはいかなかったようです。
[ろ]「ナス」とは巾着のことであり、「ヨイチ」は財布のことである(○)
■「ナス」と「ヨイチ」です。つい那須与一を連想します。「平家物語」や「源平盛衰記」の記すところによれば、弓の名人です。元暦(げんりゃく)2年(1185年)の屋島の合戦で、「平家が舟に掲げた扇の的を一矢で射落とす」という伝説を残した人ですね。
□実際には、「ナス」は形が似ているかららしい。昔の女性の多くは巾着にお金を入れていたようです。巾着切り(=スリ)という言葉もありますね。
□「ヨイチ」のほうは、「与市兵衛」から来ているらしい。歌舞伎「仮名手本忠臣蔵(かなでほんちゅうしんぐら)」の5段目、山崎街道の場で斧定九郎(おの さだくろう)に50両入りの財布を奪われるおかるの実父、早野勘平(かんぺい)の岳父です(口絵参照)。
[は]「シンガマリ」は、入れ物は立派なのに中身の金銭がちょっとしか入っていない状態を指す(×)
■正しくは、「シンガマリ」とは「金円を多分に所持する」ことらしい。つまり、大当たりのカモがシンガマリだったようです。ちなみに「カバン」は「バンカ」。これはテレビ業界と同様でひっくり返しただけですね。カバンを切るのは「バラス」。「バンカをばらしたら意外なシンガマリだったぜ」なんて喜ぶのでしょうかね。
[に]「オダイジ」とは、医者のことで掏摸のいちばんのカモだった(×)
■正しくは「オダイジ」とは刑事のことだそうです。語源は不明。ちなみに巡査は「ボウ」。明治の初めには、巡査は6尺棒を持っていたとか。約180cmです。短めの槍みたいだな。
□しばらくするとこれが4尺に変更になったようです。約120cm。こちらは長めの木剣みたいですね。
□警部は「ブケイ」。警視庁は「キョク」。警察署を「ムロタ」。監獄に行くことを「ムシエカマル」。カマルは罷る(まかる)をひっくり返した言葉だそうです。「(刑)務所へ罷る」から「ムシエカマル」が生まれたのかな。懲役に行くことを「外国行き」と呼んでいたとのこと。
[ほ]「ハキダメ」とは、駅の構内のことで、掏摸(すり)にとっては格好の仕事場だった(×)
■正しくは「ハキダメ」は鉄道馬車や圓太郎馬車のことらしい。内部はとても汚かったそうです。当時としては高い金をとっていたでしょうに、中はあまり掃除しなかったのかな。汽車のスリは「箱師」だそうです。
◇*HP「鉄道馬車 - Google 検索」(画像)
https://www.google.co.jp/search?q=%E9%89%84%E9%81%93%E9%A6%AC%E8%BB%8A&hl=ja&rlz=1T4GGHP_jaJP523JP523&source=lnms&tbm=isch&sa=X&ved=0CAcQ_AUoAWoVChMI6_37rqzexgIVQcamCh1Q0gVy&biw=1280&bih=632&dpr=1.5
□いま子供をジャリと呼びます。これはスリの隠語から来たのかもしれません。士族は「ガタ」。職人は「ニンショク」。老人を「ヘンコオ」。老婦は「チリ」だそうです。
◆参考*1:HP「むすめしとは - 隠語辞典 Weblio辞書」
http://www.weblio.jp/content/%E3%82%80%E3%81%99%E3%82%81%E3%81%97
◇*2書籍「明治百話」初版27〜36頁、篠田鑛三(こうぞう)著、角川書店
◇「日本国語大辞典(小学館)」
◇Yahoo! J Dictionaries 大辞泉
◇Yahoo! J Dictionaries 大辞林

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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
色々な隠語がありますね。
周りの人に聞かれても困らないために使っていたんでしょうね。
いまの女学生も盛んに隠語を使っておりますが・・・これもかな?
ねこのひげ
2015/07/20 07:27
コメントをありがとうございます。

 業界ごとに隠語はあるようですね。上方落語などによれば、昔は店ごとに隠語があったのかもしれません。やはり一番の目的は、商売の舞台裏を客に見せないことなのでしょうね。
 現代の放送・広告・芸能業界の場合には、周囲に情報漏洩するのを防ぐというよりは、単なる「嬉しがり」で使う場合も多々ある。という話を他ならぬその業界の人から聞いたことがあります。
(^^;)
ねこのひげ様<素町人
2015/07/20 08:52

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