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zoom RSS 若山牧水(ぼくすい)の文、「山寺」の読み取り問題。「先刻」はなんと読むの?(センコクに非ず)

<<   作成日時 : 2015/06/29 08:50   >>

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★日本語★
問題:若山牧水を御存知だろうと思います。明治18年(1885年)に生まれた歌人です。
■旅と酒を好んだことで知られています。1日1升ほどは飲んでいたらしい。肝硬変を患(わずら)っていたようです。原因と結果が明らかですね。亡くなったのは、昭和3年(1928年)9月17日、愛してやまなかった千本松原のある静岡県沼津においてです。秋の彼岸前なのに、死後しばらくたっても腐敗が進まなかったらしい。医師は「生きたままアルコール漬けになったのでは」と驚いたそうです*1。
■若山牧水の歌は、凡人の想像以上に人々に好かれているようです。「若山牧水Official Web Site」によれば、全国で288もの歌碑と9つの文学碑が建っているらしい*3。歌碑と文学碑の違いは何かな。歌碑は歌だけ。文学碑は説明付きなのかな。
■若山牧水のよく知られた歌は次のようなものです。
---幾山河(いくやまかわ) 越えさり行かば 寂しさの 終(は)てなむ国ぞ 今日も旅ゆく
---白鳥は 哀しからずや 空の青 海のあをにも 染まずただよふ
---白玉の 歯にしみとほる 秋の夜の 酒はしづかに 飲むべかりけり
---妻が眼を 盗みて飲める 酒なれば 慌て飲み噎(む)せ 鼻ゆこぼしつ
■前2つは国語の教科書に掲載されているような作品です。でも後ろの2つのほうが、酒飲みには共感しやすいな。
■本日は、若山牧水の散文「山寺」からの読み取り問題です。気取りが無く、わかりやすい平易な文章です。読み方にちょっと特徴があって、「先刻」には「さっき(原文ではさつき)」とか、「転居(原文では轉居)」には「ひっこし」と振り仮名があります。センコクとかテンキョといった漢語風の読みを避けているかのようです。
■では、その癖を考慮に入れつつ、次の熟語、漢字の読みを考えて下さい。
[い]既う
[ろ]概略(ガイリャクに非ず)
[は]燻る
[に]吝嗇(リンショクに非ず)
[ほ]眞實(シンジツに非ず)
(答えはずっと下↓ スクロールして下さい)



























★日本語★
正解:各項目を参照してください
説明:い]「既う」はもうと読む
■もうは副詞です。意味は説明不要でしょう。
□原文では次のように使われていました。「やがてはどうせ私も既う(もう)長い事は無いし、いつか一度思ふ存分飮んで見度(みた)いと思つてゐたが…」。不思議なことにこの「山寺」という文章では、「もう」が6回使われていますが、「既う」という表記は1箇所だけ。残りはすべて平仮名でした。表記の統一なんて細かいことは、大正・昭和初期の編集者は考えなかったのかな。
□ちなみに、「既う」という表記は、昔はごく普通だったらしい。岡本綺堂(きどう)の「近松半ニの死」という文章や歌舞伎の脚本集、「落語の落(おち)」という本など、ちょっと調べただけでたくさん見つけることができました。
[ろ]「概略(ガイリャクに非ず)」はあらましと読む
■あらましは「だいたいのこと」ですね。「ほとんど」ともおなじような意味かな。
□原文では次のように使われていました。「その概略(あらまし)をば晝間(ひるま)峠の茶屋で其處(そこ)の爺さんから聞いて來たのであつたが…」。尾崎紅葉(こうよう)の「金色夜叉」でも使われているらしい。「その消息をさへ知らせざりしかど、陰ながら荒尾が動静の概略(あらまし)を伺ふ(うかがう)ことを怠らざりき…」。
[は]「燻る」はいぶると読む
■燻るは「よく燃えないで煙がたくさん出る」ことです。「けぶる」とか「くすぶる」に似ていますね。燻製にするときも、「肉を燻る」と表現するのかな。
□原文では次のように使われていました。「照るともなく、曇るともなく、燻(いぶ)り渡つた一面の光である」。お天気が中途半端な様子を表しているのかな。
[に]「吝嗇(リンショクに非ず)」はけちと読む
■吝嗇は「物惜しみすること」ですね。「もったいない精神」は立派です。でも過度に物惜しみして人間関係を壊すのはかえって損になりそうです。
□原文では次のように使われていました。「大體(だいたい)こちらのお住持が餘り(あまり)に吝嗇(けち)だから斯(こ)ういふ事にもなるのだといふ」。他の作家の例を探してみました。織田作之助(さくのすけ)という名作「夫婦善哉(めおとぜんざい)」を書いた小説家は、「吝嗇家」と表記して「けちんぼ」と読ませているようです。
[ほ]「眞實」はまったくと読む
■眞實は「全然」とおなじです。こちらは必ずしも否定の表現を伴わないのかな。
□原文では次のように使われていました。「爺さんの喜び樣は眞實(まつたく)見てゐるのがいぢらしい位ゐ(くらい)で、私のさす一杯一杯を拜む樣(おがむよう)にして飮んでゐる」。酒飲みの牧水が宿泊した山寺の寺男がまた酒飲みだったというお話のようです。
◆参考*1:「若山牧水 - Wikipedia」
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%8B%A5%E5%B1%B1%E7%89%A7%E6%B0%B4
◇*2HP「若山牧水 山寺」(青空文庫)
http://www.aozora.gr.jp/cards/000162/files/43447_16076.html
◇*3HP「牧水歌碑 ≪ 若山牧水 -Official Web Site-」
http://www.bokusui.jp/category/monument/
◇*4HP「盗人(ぬすびと)上戸ってどんな酒飲みなの? 町人思案橋・クイズ集/ウェブリブログ」
http://blog.q-q.jp/201209/article_16.html
◇*5HP「「白玉の 歯にしみとおる 秋の夜の〜」という歌を残して逝ったのは誰だっけ? 町人思案橋・クイズ集/ウェブリブログ」
http://blog.q-q.jp/200610/article_40.html

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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
古い本を見つけて読もうとすると苦労することがありますね。
わずか100年程度なのに辞書を片手に・・・(^^ゞ
ねこのひげ
2015/07/05 04:23
コメントをありがとうございます。

 おっしゃるとおり、まさしく文化の断絶です。なるべく昔の本が容易に読めるよう、いまの時代からでも少しずつ努力しなければなりません。
 さもないと、大陸中国や半島南部の国のように、あたかも根無草のような、道徳観・倫理観のない人間だらけになってしまいます。
(^^;)
ねこのひげ様<素町人
2015/07/05 12:03

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