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zoom RSS 三字熟語の悪口の問題。「唐変木」はなんと読むの?

<<   作成日時 : 2015/03/02 08:30   >>

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★日本語★
問題:本日は、四字熟語ならぬ三字熟語のクイズです。まずは題の問題、唐変木は「トウヘンボク」と読みます。昔はよく使われた悪口ですね。「大辞泉」によれば、「気の利かぬ人や偏屈な人をののしっていう語」。まぬけと言い換えることができるらしい。
■「唐人の寝言(とうじんのねごと)」という言葉もあって「何を言っているのか、訳のわからない言葉」だそうです。「筋の通らないことを、くどくど言う」場合などにも使われるとか。
■大昔の中国は先進国で見習うべき対象でした。平安時代の前半、菅原道真のあたりからは遣唐使も中止され、江戸時代ぐらいになると単に変わった連中というのが一般の見方になるのでしょうか。まっ、儒学者荻生徂徠(おぎゅう そらい)のように、西の方角へ引っ越したら、「これで少し憧れの中国に近づいた」という変人もいたようですけど(口絵参照)。商売用のPRコメントだったのかな。
■太宰治の「黄村先生言行録」という小説では「唐変木」が次のように使われていました。「…そんなふざけたお話に、まともにつき合っておられますか。酔狂(すいきょう)もいい加減になさい。こっちは大事な商売をほったらかして来ているんだ。唐変木(とうへんぼく)め。ばかばかしいのを通り越して腹が立ちます」。
■歌舞伎の世話物(せわもの、主に町人が主役の芝居)では唐変木はよく使われています。太宰治の作品に使われている所を見ると、昭和の中頃でも使われていたようですね。平成に入ってからはあまり聞かなくなってしまったような気もします。
■では、本番です。次の罵倒語(バトウゴ、悪口)はなんと読むのでしょうか?
[い]朴念仁
[ろ]野暮天
[は]猪口才
[に]鉄面皮
[ほ]安本丹
(答えはずっと下↓ スクロールして下さい)



























★日本語★
正解:各項目を参照してください
説明:[い]朴念仁はボクネンジンと読む
■半島に実在しそうな人物名ですけど、単なる罵倒語のようです。「大辞林」によれば「無口で愛想のない人。ものわかりの悪い人」だそうです。この言葉も最近は使われませんね。
□夏目漱石の「坊ちゃん」では次のように使われていました。「一体中学の先生なんて、どこへ行っても、こんなものを相手にするなら気の毒なものだ。よく先生が品切れにならない。よっぽど辛防強い朴念仁なんだろう。おれには到底やり切れない」。ここでは鈍感な人物という意味で使われているのかな。
[ろ]野暮天はヤボテンと読む
■「大辞林」によれば「(仏教の「〜天」に擬したもので、「天」は程度の高い意を表すという)たいそうやぼなこと。また、その人」ということらしい。摩利支天(マリシテン)とか毘沙門天(ビシャモンテン)に似せた言葉のようですね。弁財天(ベンザイテン、弁天)にも似ているのかな。
□野暮天は戦後も通用した言葉のようです。4代目三遊亭金馬が書いた「落語東京名所図絵」という本の中でも使われていました。「…師匠の作った『石鹸』と云う噺の中に、知ったかぶりした若旦那が町内の若い衆に、矢鱈英語を振り廻し、「おい君達、何かサーカスしたまえ」と云うくだりがある。それを聞いた客が、「師匠、あの英語はサービスしたまえ、と云わなくてはいけません」と注意した。脇で聞いていた私達は、洒落の通らない野暮天だ、と思っていたら、師匠は、「有難う御座いました。一つ俐巧(リコウ)になりました。またよろしく」 と礼を云うのを見て、私達は恥かしい気がしたものです」。
□ボケをまともに受け取ることは野暮天なんでしょうね。この金馬は落語「居酒屋」で知られたほうではなく、その弟子のほうです。NHKの「お笑い三人組」で一龍齋貞鳳(いちりゅうさい ていほう)と江戸家猫八(えどや ねこはち)とともに爆笑をとっていた人です。
□ちなみに師匠の3代目金馬としては、「誤った指摘でもこちらが受け入れれば、相手は傷つかずに済むし、いずれは正しい指摘もしてくれる」と考えているらしい。出来た人ですね。
[は]猪口才はチョコザイと読む
■猪口才は「小生意気なこと。こざかしいこと。また、そのさまや、そのような人」だそうです。最近、警察ドラマで中居正広が演じていた役がチョコザイ君だそうです。現代にも生きのびている言葉なのかな。
□歌舞伎の「菅原伝授手習鑑(すがわらでんじゅてならいかがみ)」の序幕では次のように使われていました。
---桜丸 車は舎人(とねり、役職名、ここでは自分)が預かりもの、命あらば寄って見よ。
---〽寄って見よやと身構えたり。
---清行 ヤア猪口才な、ソレ、搦(から)め取れ。
---〽かゝるを蹴飛ばし刎(は)ね飛ばし、薙(な)ぎ立て/\追うて行く。
□ちなみに桜丸は菅丞相(菅原道真)の味方で善玉です。松王丸・梅王丸と三つ子の1人だそうです。「〽」の部分は太夫(たゆう、ナレーション兼歌手)が歌詞を歌い上げます。それ以外は台詞です。
[に]鉄面皮はテツメンピと読む
■鉄面皮は「恥を恥と思わないこと。厚かましいこと。また、そのさま」だそうです。「鉄で出来た面の皮」の意味らしい。
□「世の中で一番硬いものは何だろう」と大勢で議論した。ある人が石だというと、「石は砕くことができる」。ある人が鉄だというと、「鉄は刻むことができる」。最後の1人がヒゲ男を指差して、「君のヒゲが1番硬いよ。鉄も石もかないはしない」。「どうして」。「ほれ、その面の皮の中から、なんと生えて出る位だ」。この笑い話の題は「鉄面皮」というそうです。
[ほ]安本丹はアンポンタンと読む
■安本丹は「愚か者。阿呆。馬鹿」だそうです。なんとなく万金丹(まんきんたん)に似ており、薬の名前のようですね。辞書によれば「反魂丹(はんごんたん)」になぞらえたとのこと。反魂丹は富山の薬売りが全国に広めた胃腸薬らしい。「安本丹」は、元々は「阿呆太郎」だったのではないかという説があるそうです。そこから薬の名前に似せたわけかな。
□宝暦(ほうれき)13年(1763年)に成立した平賀源内(げんない)の「風流志道軒伝(ふうりゅうしどうけんでん)」の自序には次のような文があるらしい。「夫(それ)馬鹿の名目(ミョウモク、名称)一ならず。阿房(アホウ)あり、雲津久(ウンツク)あり、部羅坊(べらぼう)あり、たはけあり、また安本丹の親玉あり」。馬鹿の呼び方にもいろいろあるぞというわけですね。
□余談です。落語には「反魂香(はんごうこう)」というのがあり、こちらは伊達侯に斬殺されたとされる仙台高尾の元愛人島田重三郎(しまだじゅうざぶろう)がそのお香を炊いて高尾の魂を呼び寄せるというお話です。「反魂」という呼び名からすれば、胃腸薬よりも霊薬のお香のほうがふさわしいのかな。
◆参考*1:辞書「字通」白川静、平凡社
◇辞書「漢字源」藤堂明保、学習研究社
◇辞書「日本国語大辞典」小学館
◇Yahoo! J Dictionaries 大辞泉
◇Yahoo! J Dictionaries 大辞林

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コメント(2件)

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全部読めるという事は、ねこのひげはおっさんという事ですな〜(≧◇≦)
ねこのひげ
2015/03/03 02:50
コメントをありがとうございます。

 なにをおっしゃいますやら。教養が高いということでしょう。
(^^;)
ねこのひげ様<素町人
2015/03/03 10:36

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