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zoom RSS 末尾に「坊」のつく言葉。「ずんべら坊」って化物の一種なの?

<<   作成日時 : 2014/10/30 09:04   >>

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★日本語★
問題:末尾に「坊」のつく言葉はとても多いらしい。辞書を見ても100近くあります。よく聞く言葉では、木偶(でく)の坊、甘えん坊、利(き)かん坊、食いしん坊、通せん坊、けちん坊、立ちん坊、おこりん坊、忘れん坊、暴れん坊、隠れん坊、桜ん坊、裸ん坊、赤ん坊、黒ん坊、本因坊、朝寝坊、世知弁坊(せちべんぼう)、隠坊(おんぼう、隠亡とも)、風来坊、見栄坊、泥坊(泥棒とも)、瓜坊、飴ん坊(アメンボウ、水馬とも)などがあります。ふ〜疲れた。
■世知弁坊とは、「ケチな人」だそうです。「世知がらい」の「世知(世渡りの智恵)」を「弁(わきま)えた」人です。「世故(せこ)」は「世間の事情」だそうです。そこから「せこい」という言葉が生まれたらしい。ちょっとだけ似ていますね。
■「隠坊」は、「死者の火葬・埋葬の世話をし,墓所を守ることを業とした人」だそうです。落語の「黄金餅(こがねもち)」とか「らくだ」にも端役で登場します。瓜坊はイノシシの赤ん坊ですね。
■「ずんべら坊」は、後半部の発音は「のっぺら坊」に近いのですが別物らしい。「ずぼらな人、だらしがない、締まりがない」という意味だそうです。「ずべら坊」とも呼ばれます。なお、辞書によっては、「凹凸がなく、つるつるでのっぺりしている様子」という説明を挙げている例もあります。こちらは化物の「のっぺら坊」にだいぶ近いかな。
■本日は、末尾に「坊」がつく言葉の意味を考えるクイズです。次の言葉の説明のうち、正しいものはどれでしょうか? (正しい記述は無いかもしれませんし、複数かもしれません)
[い]「取られん坊」は、物を取られまいと抱えて放さない様子を意味する
[ろ]「吊るしん坊」は、照る照る坊主のことである
[は]「ずだい坊」は、酔っぱらいのことである
[に]「絵難坊」とは、絵を描くのが上手だがまともに修行をしない、脇道にそれた宗教人である
[ほ]医者坊とは、医師と坊主を兼業している人を指す
(答えはずっと下↓ スクロールして下さい)

























★日本語★
正解:各項目を参照してください
説明:[い]「取られん坊」は、物を取られまいと抱えて放さない様子を意味する(×)
■正しくは「遊女に金品をまきあげられる客」だそうです。「取られてなるものか」と思いつつ遊里に足を運び、結局手練手管(てれんてくだ)に負けて奪われちゃうのかな。
□「取りん坊」という言葉もあるそうです。こちらは「遊女から金をまきあげる客」の意味です。落語の「文違い(ふみちがい)」に登場する色男のようですね。女郎の間夫(まぶ、愛人)になり、高い薬を使わないと失明だなどと仮病を使って大金をむしりとります。
□最初は加害者を示していた「取りん坊」でしたが、転じて「取られん坊」とおなじ意味になったそうです。被害者側ですね。言葉の意味が転ずることはよくありますが、こうも正反対に転じちゃうのは笑えます。
□さらに転じて、素見(すけん、冷やかし)の客という意味にもなったらしい。寛政(かんせい)3年(1791年)の本には、「往古(おうこ、昔)吉原にてはとりんぼうと云(いう)、今は素見といふ、そこで女郎はすかんといふか」と記されているらしい*1。意味の変わりかたの早い「取りん坊」という言葉は、18世紀末には、すでに素見の意味でも死語になりつつあったようです。
[ろ]「吊るしん坊」は、照る照る坊主のことである(×)
■正しくは「既製服」の意味だそうです。「店頭につるして売られていることから」とのこと。たしかに我々でも「吊るし」という言葉は使いますね。
[は]「ずだい坊」は、酔っぱらいのことである(○)
■「ひどく酔った人。よっぱらい」という意味と、「性悪者」という意味があるそうです。「頭大坊」とも書くらしい。川柳に「づだい坊な 仲居養ふ 母も有る」という句があるそうです。飲まされればいくらでも飲んでつぶれる仲居は、母を養う責任があるための深酒とのこと*2。ホントは親孝行な娘さんなのかな。いまでもそんなホステスが銀座や赤坂にいたりするのかな。
[に]「絵難坊」とは、絵を描くのが上手だがまともに修行をしない、脇道にそれた宗教人である(×)
■正しくは「他人の描いた絵を見て非難する人」だそうです。「絵に難癖をつける奴」ですね。平安時代の末期に、どんな名画でも必ずどこかに欠点を見つけて非難した絵難坊と呼ばれる人物がいたらしい。仮にその意見が正しかったとしても、なんでも否定する人は嫌われますね。絵難坊もあまり好かれなかったと思われます。世渡りが上手くない人です。
□逆に、心にもないお世辞を平然と言える人は、楽に泳いでいくことができます。多くの場合は可処分所得も増えます。でも、いつもお世辞を心掛けていると、ついには自分の本心を見失うこともあるらしい。どちらにせよ、渡世はなかなか簡単ではありませんね。
[ほ]医者坊とは、医師と坊主を兼業している人を指す(×)
■医者と坊主が兼業だったら笑えますね。白衣で「ご臨終です」といったあとにすぐ袈裟(けさ)に着替えて読経を始めるというのは凄い。まっ、これはあんまりなので、「医者坊」の2つ目の意味としては「不可能なこと」という意味があったようです。元禄時代の流行語らしい。
◇*HP「袈裟 - Google 検索」(画像)
https://www.google.co.jp/search?q=%E8%A2%88%E8%A3%9F&hl=ja&rlz=1T4GGHP_jaJP523JP523&source=lnms&tbm=isch&sa=X&ei=hn1RVI7KJYXwmAXzqIKQAQ&ved=0CAgQ_AUoAQ&biw=1280&bih=663&dpr=1.5#imgdii=_
□医者坊の最初の意味は「医者」です。多くの医者が頭を剃っていたらしい。それで「坊」という接尾語がついたようです。
□医者が頭に毛のない人が多かったので、坊さんが遊里に行くときには医者に化けることが多かったそうです。「醫は醫なり 山のお客は 山と知れ」という川柳が「末摘花(すえつむはな、江戸時代の桃色句集)」にあるそうです。いくら化けてみても、すぐに化けの皮は剥がれたわけですね。「山」は坊さんです。お寺には必ず山号があります。上野の寛永寺は東叡山(とうえいざん、東の比叡山の意とか)。金閣寺(鹿苑寺)は北山(ほくざん)だそうです。で、坊さんは、遊里においては山とかヤマサンと呼ばれたらしい*4。
◆参考*1:書籍「江戸語大辞典」初版724頁、前田勇編、ISBN 4-06-265333-8、講談社
◇*2書籍「江戸雑俳上方娘の世界」初版243〜244頁、鈴木勝忠(かつただ)著、ISBN4-89522-218-7、三樹書房
◇*3書籍「川柳末摘花詳釈上」初版66頁/96〜97頁、岡田甫(おかだはじめ?)著、有光書房
◇*4HP「江戸時代の女遊び。ヤマサンと呼ばれたのはどんな人物なの? 町人思案橋・クイズ集/ウェブリブログ」
http://blog.q-q.jp/201410/article_2.html
◇辞書「日本国語大辞典」小学館
◇Yahoo! J Dictionaries 大辞泉
◇Yahoo! J Dictionaries 大辞林

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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
ねこのひげは広島出身ですが、子供のころ『ずんべら坊』は、後の方の「凸凹がなく、つるつるでのっぺりとしている」という意味で使われていた記憶があります。
地方によって多少、意味が違っていたんでしょうね。
ねこのひげ
2014/10/31 02:25
コメントをありがとうございます。

 言葉は時代によっても変わるようですし、地域によっても変わるようですね。数十年前の広島ではのっぺら坊に近い意味だったわけですか。
 素町人は物心ついてからは横浜、東京、大阪、京都に住んだことがありますが、「ずんべら坊」という言葉を会話中で頻繁に聞くことはなかったと思います。死語になりかけていたのかな。
(^^;)
ねこのひげ
2014/10/31 10:15

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