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zoom RSS 「歌よみに与ふる書」からの読み問題。「韜晦」はなんと読むの?

<<   作成日時 : 2014/09/29 09:27   >>

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★日本語★
問題:「歌よみに与ふる書」は、明治の文学者、正岡子規(しき)の短歌論だそうです。明治31年(1898年)2月から10回にわたって「日本」という新聞紙上に連載されたらしい。
◇*HP「日本新聞 明治 正岡子規 - Google 検索」(画像)
https://www.google.co.jp/search?q=%E6%AD%A3%E5%B2%A1%E5%AD%90%E8%A6%8F&hl=ja&source=lnms&tbm=isch&sa=X&ei=iYIlVKnjI8bY8gWukILABg&ved=0CAYQ_AUoAQ&biw=1536&bih=820#hl=ja&tbm=isch&q=%E6%97%A5%E6%9C%AC%E6%96%B0%E8%81%9E%E3%80%80%E6%98%8E%E6%B2%BB%E3%80%80%E6%AD%A3%E5%B2%A1%E5%AD%90%E8%A6%8F&imgdii=_
■正岡子規はその前年から寝たきりだったらしい。脊椎カリエスだったようです。結核菌によって骨が冒されてしまう病気とのこと。
■それまでは俳句の近代化に心を傾けていた子規は、この短歌論で短歌の改革に注力する決意を表明したそうです。死期を悟った子規は、悔いのないように心の丈(たけ)をあかしておこうと思ったのかな。
■「歌よみに与ふる書」では、奈良時代の「万葉集」を高く評価しているそうです。「万葉への回帰と写生による短歌」を提唱しているとのこと。平安中期の「古今集」については「くだらぬ集にて有之候(これありそうろう)」とボロクソに言っているらしい。
■「古今集」の選者であり三十六歌仙にも名を連ねる紀貫之(つらゆき)は「下手な歌よみ」と切って捨てているようです。鎌倉時代初期の「新古今和歌集」については「少しマシ」としているようです。でも選者の藤原定家(ていか、さだいえ)は、「ご自身の作品にはろくなものがない」と悪口を放っています。定家は、百人一首の編者としても知られていますね。
■当然ながら、当時の短歌界からは、猛反発を受けたそうです。でも、さまざまな議論が巻き起こるきっかけを作っただけでも、子規には大きな功績があるのでしょう。明治韻文界の風雲児は、4年後の明治35年(1902年)9月19日に亡くなっています。そのとき、親友の夏目漱石はロンドンに留学中で鬱状態にあったようです。
■さて、見だしの問題、「韜晦」は「トウカイ」と読みます。「自分の本心や才能・地位などをつつみ隠すこと」だそうです。もう1つ、「姿をくらます」という意味もあるらしい。前者でいえば、水戸のご隠居は韜晦しているのかな。劇の終了間際になると必ず携帯型の証拠を提示し、身分を明かすようですけど。
■「歌よみに与ふる書」では、「古来凡庸の人と評し来りしは必ず誤(あやまり)なるべく、北条氏を憚(はばか)りて韜晦(とうかい)せし人か、さらずば大器晩成の人なりしかと覚え候」。これは源実朝(さねとも)について褒めている部分です。「北条氏に遠慮して馬鹿の振りをした人なのか」と言っているようです。
■では、本題に入りましょう。下の熟語は、それぞれなんと読むでしょうか? 読みは青空文庫の「歌よみに与ふる書」の振り仮名を正解としています。
[い]余唾
[ろ]糟粕
[は]讒謗
[に]祈晴
[ほ]造詣
(答えはずっと下↓ スクロールして下さい)



























★日本語★
正解:各項目を参照してください
説明:[い]余唾はヨダと読む
■「余唾」はどの辞書にも掲載されていませんでした。ひょっとしたら人名であり、800年以上も生きているというジェダイ・マスターを指すのかな。
□「歌よみに与ふる書」では次のように使われていました。「強(あなが)ち人丸(ひとまろ)・赤人(あかひと)の余唾(よだ)を舐(ねぶ)るでもなく、固(もとより貫之(つらゆき)・定家(ていか)の糟粕(そうはく)をしやぶるでもなく、自己の本領屹然(きつぜん)として山岳(さんがく)と高きを争ひ日月と光を競ふ処、実に畏(おそ)るべく尊むべく、覚えず膝(ひざ)を屈するの思ひ有之(これあり)候」。
□人丸は歌の聖人と呼ばれる柿本人麻呂ですね。赤人は山部赤人かな。ここも実朝をベタ褒めしている部分です。他の多くの歌人は柿本人麻呂や山部赤人のやりかたを真似ているだけなのかな。それを「余唾を舐る、あまったつばをなめる」という非衛生的な表現で非難しているのかもしれません。
[ろ]糟粕はソウハクと読む
■「糟粕」は、「酒のかす」だそうです。もうひとつの意味は「良いところを取り去った残り」とのこと。
□「歌よみに与ふる書」では前項[い]で示すとおり、「余唾」と並んで対句のように使われていました。「…貫之・定家の糟粕をしゃぶる」。これも凄い表現ですね。「余唾を舐る」と同様に、先人たちの手法を模倣するばかりの歌人たちを非難しているのかも。
[は]讒謗はザンボウと読む
■「讒謗」は、「人をあしざまに言うこと」だそうです。わが国では明治8年(1875年)に讒謗律(ザンボウリツ)という言論統制令が公布されているようです。自由民権運動が始まり、当然ながら政府あるいは要人の批判がたくさん出てきます。これに対抗するために「人を誹謗(ひぼう)する文書類」を取り締まったらしい。いま、韓国において産経新聞のソウル支局長が「大統領の悪口を書いた」として禁足をくらっているとか。かの国の精神風土は、いまだに19世紀なのかな。
□「讒」という漢字は常用漢字表には掲載がありません。漢和辞典「字通」によれば「ザン、そしる」という字音・字訓があります。「無実をもって人を讒毀(ザンキ、そしり害する)する」という意味らしい。「讒言」という熟語を作ります。「でっち上げの密告」ですね。梶原景時(かげとき)が源頼朝に讒言したために兄は弟を殺したとも言われています。
□「謗」という漢字も常用漢字表には掲載がありません。漢和辞典「字通」によれば「ボウ、そしる」という字音・字訓があります。こちらは単純な悪口の意味らしい。「誹謗」という熟語をつくります。「悪口を言い中傷すること」だそうです。
□「歌よみに与ふる書」では次のように使われていました。「かく申さば、讒謗(ざんぼう)罵詈(ばり)礼を知らぬしれ者と思ふ人もあるべけれど、実際なれば致方(いたしかた)無之候」。「罵詈」は、「口汚くののしること」だそうです。「しれ者」は「痴れ者、馬鹿者」でしょう。「このように言えば、酷い悪口であり礼を失した者と思われるかもしれないけれど、事実だから仕方ないじゃん」という意味らしい。
[に]祈晴はキセイと読む
■「祈晴」は「雨が降り続いて困る時に空が晴れるように神に祈ること」らしい。
□「歌よみに与ふる書」では次のように使われていました。「初三句は極めて拙(つたな)き句なれども、その一直線に言ひ下して拙き処、かへつてその真率(しんそつ)偽(いつわ)りなきを示して、祈晴(きせい)の歌などには最も適当致しをり候」。
□褒められている「てるてる坊主の代替品の歌」は次のような作品だそうです。「時により すぐれば民の なげきなり 八大竜王(はちだいりゅうおう) 雨やめたまへ」。八大竜王は仏教関係者の共同幻想らしい。幻想の中では、八大竜王氏は降水量の管理責任を負っているとのこと。「すぐれば」は「過ぐれば」なのかな。稚拙ともいえるほど単純な歌だけれども、飾りがないぶん率直さがあらわれて、目的にかなっている…と褒めているようです。
[ほ]造詣はゾウケイと読む
■「造詣」は、「その分野についての広く深い知識や理解」だそうです。「すぐれた技量」も造詣と呼ぶことがあるらしい。
□「歌よみに与ふる書」では次のように使われていました。「…ただ「世の中は」の歌の如く、古意古調なる者が万葉以後において、しかも華麗を競ふたる新古今時代において作られたる技倆(ぎりょう)には、驚かざるを得ざる訳にて、実朝の造詣(ぞうけい)の深き今更申すも愚かに御座候」。
□ここでも、実朝の技量が褒められています。その作品は百人一首にも取り上げられた「世の中は つねにもがもな なぎさ漕ぐ 海人(あま)の小舟(おぶね)の 綱手かなしも」。「世の中は常に変わらずにあってほしいなあ。漁師の小舟が綱に引かれていく、その景色の愛しさよ」という意味らしい*3。
□正岡子規には傑作に見えるのでしょうが、凡人にはどこがいいのかわかりません。まぁ、そこが凡人たる所以(ゆえん)ですね。諦めるしかないのかな。
◆参考*1:HP「正岡子規 歌よみに与ふる書」(青空文庫)
http://www.aozora.gr.jp/cards/000305/files/2533_16281.html
◇*2HP「文化庁 | 常用漢字表の内閣告示等について | 「常用漢字表」(平成22年内閣告示第2号)」
http://www.bunka.go.jp/kokugo_nihongo/kokujikunrei_h221130.html
◇*3HP「小倉百人一首 音声つき 世の中は」
http://ogura100.roudokus.com/uta93.html
◇辞書「字通」白川静、平凡社
◇辞書「漢字源」藤堂明保、学習研究社
◇辞書「日本国語大辞典」小学館
◇Yahoo! J Dictionaries 大辞泉
◇Yahoo! J Dictionaries 大辞林

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コメント(4件)

内 容 ニックネーム/日時
あれだけの優れた歌人が『古今集』『百人一首』になぜあんな下手な歌を選んだのか?それが謎であると書いている人がいましたね。
そこから、秘密が隠されていて、なんらかの秘密が隠されているとか宝の山の秘密がとかと書いていましたが・・・・
まあ、当時と今では、感性の違いがあるからだとねこのひげは思うのでありますがね。
ねこのひげ
2014/09/30 08:32
コメントをありがとうございます。

「下手な歌」が選ばれる理由としては、情実とか圧力とか賄賂とかを想像してしまいます。下種の勘繰りでしょうか。
(^^;)
ねこのひげ様<素町人
2014/09/30 10:02
贈り物をして入れてもらうという方が正しいようですね。
いまでも似たような話がありますからね。
○○展に入選・・・ウン万円とか・・・
宝などの秘密が隠されている方が面白いですけどね。
ねこのひげ
2014/10/05 07:03
コメントをありがとうございます。

 展覧会の主催者がお金儲けに熱心で、作品の優劣よりは「贈り物」の多寡に関心を抱いている…なんて噂をときどき耳にしますね。

 客観的に評価しやすい自然科学の世界ですら、情実による出世はあると聞きます。
 ましてや「採点競技」であり、主観によっていくらでも評価が変わる芸術の世界では、いろいろ妖しい出来事があるのでしょう。
(^^;)
ねこのひげ様<素町人
2014/10/05 11:56

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