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zoom RSS 徳富健次郎「みみずのたはこと」からの読み問題。「儂」はなんと読むの?

<<   作成日時 : 2014/08/25 10:52   >>

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★日本語★
問題:明治から昭和にかけて生きた小説家徳富蘆花(ろか)の代表作は「不如帰(ほととぎす、フジョキ)」(明治32年(1899年))でしょうか。芝居・映画・講談・漫才・覗き械(のぞきからくり)、その他の芸能でも頻繁に取り上げられました。主人公浪子の「あああ、人間はなぜ死ぬのでしょう! 生きたいわ! 千年も万年も生きたいわ!」という台詞は、昔の人なら誰でも知っていたようですね。明治の大軍人、大山巌(いわお)・捨松(すてまつ)夫妻の家庭がモデルに使われたとも言われます。
■青空文庫には、徳富健次郎の随筆「みみずのたはこと」(大正2年(1913年))がおさめられていました。小説など虚構の場合は蘆花、実話の場合は健次郎の名前を使ったのかな。
■今回は淡々とした文章からの読み問題です。見だしの問題、「儂」という漢字は、30万字ほどある文章の冒頭1番最初に出てくる文字です。「わし」と読みます。「儂の村住居(むらずまい)も、満六年になった」というのが最初の文章です。
■「儂」という漢字は、常用漢字表には掲載がありません。漢和辞典「字通」によれば「ノウ、ドウ、われ、きみ、かれ」という字音・字訓があります。一人称のこともあれば二人称・三人称に使われることもあるらしい。なかなか融通無碍(ユウズウムゲ、自由)な漢字のようです。
■では、「みみずのたはこと」からの読み問題です。下の熟語は、それぞれなんと読むでしょうか?
[い]風采
[ろ]掏摸
[は]麁末
[に]大束
[ほ]飛白
(答えはずっと下↓ スクロールして下さい)



























★日本語★
正解:各項目を参照してください
説明:[い]風采はフウサイと読む
■「風采」は、「容姿・服装・態度などの、人の見かけ上のようす」です。「風采の上がらない男」などと表現されます。女性にはあまり使われないような気がします。
□「采」という漢字は、常用漢字表では「サイ」という音読みだけです。漢和辞典「字通」によれば「サイ、とる、いろ」という字音・字訓があります。もともとは「木の実を採取する」という意味があったらしい。
□「みみずのたはこと」では、次のように使われていました。「然し(しかし)店硝子(みせがらす)にうつる乃公(だいこう、自分)の風采(ふうさい)を見てあれば、例令(たとえ)其れが背広(せびろ)や紋付羽織袴であろうとも、着こなしの不意気さ、薄ぎたない髯顔(ひげがお)の間抜け加減、如何(いか)に贔屓眼(ひいきめ)に見ても――いや此では田舎者扱いさるゝが当然だと、苦笑(にがわらい)して帰って来る始末」。どこかで初対面の店員さんなどに軽く馬鹿にされたのでしょうか。自分の姿を卑下しているようにも聞こえます。
[ろ]掏摸はすりと読む
■「掏摸」は、「人が身につけている金品を、その人に気づかれないように、すばやく盗み取ること」ですね。「巾着切り(きんちゃくきり)」とも呼ばれます。巾着は「口をひもで締める小さな袋」です。皮や布で作ります。財布として利用されていたわけですね。昔の掏摸は、刃物で巾着の脇腹を切って内臓を取り出したのかな。
□「掏」という漢字は、常用漢字表には掲載がありません。漢和辞典「字通」によれば「トウ、とりだす、する、すりとる」という字音・字訓があります。「摸」という漢字も、常用漢字表には掲載がありません。漢和辞典「字通」によれば「モ、ボ、さぐる、とる、うつす」という字音・字訓があります。麻雀のツモは「自摸」と書きますね。自分でとるからかな。
□「みみずのたはこと」では、次のように使われていました。「鵜(う)の目、鷹の目、掏摸(すり)の眼、新聞記者の眼、其様(そん)な眼から見たら、鈍如(どんより)した田舎者の眼は、嘸(さぞ)馬鹿らしく見えることであろう」。新聞記者と掏摸を同列に並べています。羽織ゴロ、新聞記者はあまり好きではなかったのかな。
[は]麁末はそまつと読む
■「麁末」はいまなら「粗末」と書きます。「作り方などが、大ざっぱなこと。品質などが上等でないこと」ですね。
□「麁」という漢字は常用漢字表には掲載がありません。漢和辞典「字通」にも掲載はありませんでした。ATOKの辞書によれば「ソ、あらい」という読みがあるらしい。「漢字源」によれば、「鹿」という漢字を3つ重ねる漢字…「麤」の異体字だそうです。
□「みみずのたはこと」では、次のように使われていました。「引越した年の秋、お麁末(そまつ)ながら浴室(ゆどの)や女中部屋を建増した」。
[に]大束はおおたばと読む
■「大束」は、「大ざっぱなこと、大まか」という意味だそうです。また、「偉そうな態度をすること」も大束と表現するらしい。
□「みみずのたはこと」では、次のように使われていました。「牧師は玉川の近くで千歳村(ちとせむら)だと大束(おおたば)に教えてくれた」。
□そういえば、徳富蘆花は、現在の芦花公園のあたりに住んでいたわけですね。蘆花恒春園(こうしゅんえん)というのが正式な名称らしい。交通量の多い環状8号線の脇にある公園です。近辺は、「儂の村住居(むらずまい)…」という表現からはだいぶ様変わりしました。静かな住宅街ではありますが、村とはとても呼べません。
[ほ]飛白はかすりと読む
■「飛白」は、「絣(かすり)の模様、またその織物」だそうです。「ヒハク」とも読むらしい。漢字の書体のひとつで刷毛状の筆でわざとかすれ書きにしたものも、飛白と呼ぶそうです。
□「みみずのたはこと」では、次のように使われていました。「…尊名は初めてだと、飛白(かすり)の筒袖羽織、禿(ち)びた薩摩下駄(さつまげた)、鬚髯ひげもじゃ/\の彼が風采(ふうさい)と、煤竹(すすたけ)色の被布(ひふ)を着て痛そうに靴(くつ)を穿(は)いて居る白粉気も何もない女の容子(ようす)を、胡散(うさん)くさそうにじろじろ見て居た」。
◆参考*1:HP「徳冨健次郎 みみずのたはこと」
http://www.aozora.gr.jp/cards/000279/files/1704_6917.html
◇*2HP「文化庁 | 常用漢字表の内閣告示等について | 「常用漢字表」(平成22年内閣告示第2号)」
http://www.bunka.go.jp/kokugo_nihongo/kokujikunrei_h221130.html
◇辞書「字通」白川静、平凡社
◇辞書「漢字源」藤堂明保、学習研究社
◇辞書「日本国語大辞典」小学館
◇Yahoo! J Dictionaries 大辞泉
◇Yahoo! J Dictionaries 大辞林

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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
現在ではかなり使われなくなった言葉が出てきますね。
名人と言われた掏摸は掏った巾着を持主が気が付かない間に持主の懐に戻していたそうです。
持主は名人の掏摸に掏られたことを茶会などで自慢したとか。
なんともおおらかな時代でありました。
ねこのひげ
2014/08/31 08:45
コメントをありがとうございます。

 落語の枕によれば、持ち主が気づかないうちに巾着を返しておくだけでなく、中に領収書を入れておく奴がいるとか。
 ホントにそんなことをしたら証拠の指紋を残し、「現行犯じゃないと捕まらない」というせっかくの特権を放棄することになります。
 領収書説はきっと落語家の駄話なのでしょう。でも、ひょっとしたら居たのかなとも思ってしまいます。
(^^;)
ねこのひげ様<素町人
2014/08/31 20:05

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