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zoom RSS 「ルール違反を承知で動いたらしい。確信犯だな」という表現は正しいの?

<<   作成日時 : 2014/08/21 09:14   >>

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★日本語★
問題:厳密に言えば、見出しの表現は間違っているようです。「確信犯」の核心にある意味は、「道徳的、宗教的または政治的信念に基づき、本人が悪いことでないと確信してなされる犯罪」だそうです。法に触れることを承知で犯罪をおかすことは、確信犯とは呼びにくいらしい。犯罪者たちは、殺しや盗みや詐欺が法に触れることを承知しています。こいつらまで確信犯と呼べば、真の確信犯の値打ちが下がってしまいます。
■たとえばオランダやベルギーなどでは安楽死や自殺幇助が条件付きで許されているらしい。オランダ人に許されることがなぜ日本人に許されないのだ。目の前で苦しんでいるこの患者、この家族を救うために安楽死させてやれないものか。そんな悩みを抱えながら最期の注射をうったとすれば、それは確信犯なのかもしれません。
■オランダやドイツなどでは限定的に売春が許されているらしい。オランダ人に許されることがなぜ日本人に許されないのだ。目の前で身もだえしている若い男性を救うために、身体を売ってあげられないものか。そんな悩みを抱えながら、注射をうたせたとすれば…これも確信犯なのかな。
■それはともかく、本日は「厳密に考えたら正しくない文章」を探していただくクイズです。下の5つの文章のうち、日本語のうるさ型にはケチをつけられるかもしれないのはどれでしょうか? (文句を言われそうな文章は無いかもしれませんし、複数かもしれません)
[い]ランナーの暴走を許したのは3塁コーチの越度(おちど)である
[ろ]押し着せの業務規程に反発する
[は]さんざん嘘をつかれて怒り心頭に達した
[に]声を荒げて(あらげて)毒づいた
[ほ]そんな計画では成功はおぼつかぬ
(答えはずっと下↓ スクロールして下さい)

























★日本語★
正解:[ろ]と[は]、[に]、[ほ]が厳密にいえば間違いを含んでいる
説明:[い]ランナーの暴走を許したのは3塁コーチの越度(おちど)である(正しい表現)
■「おちど」は、現在では「落ち度」と記されることが多いようです。でも昔は「越度」と表記したらしい。本来の読みは「おつど」だそうです。「通行許可証(手形)を持たず、関所を通らずに間道を抜ける罪」のことを越度と呼んだらしい。そこから違法行為一般や過失の意味として使われるようになったらしい。「言海」という昔の辞書には、「常ニ落度ナド借書ス」とあるらしい。「(正しくはないけれど)しばしば『落度』と表記されるよ」という意味かな。
□ネットの「大辞林」も「大辞泉」も「越度」を見だしとして立てているようです。「越度」を使った場面は見たことがありませんけど、どこかでは生きているのかもしれません。
[ろ]押し着せの業務規程に反発する(誤った表現)
■「押し着せ」ではなく、本来は「お仕着せ」と書くべきらしい。「昔、商家や武家などで、主人が使用人などに季節に応じて衣服を与えることや、その衣服を『しきせ』といったところから来た言葉」だそうです。「四季施」、「為着せ」などとも書いたとのこと。
□立場上、ありがたく頂戴する意味から「お」をつけて呼んでいたようです。今では、「一方的に決められた事柄、決まりきったものを指すようになった」らしい。
[は]さんざん嘘をつかれて怒り心頭に達した(誤った表現)
■正しくは、「怒り心頭に発した」と表現すべきらしい。怒りの出発点が「心頭」なのであって、到達点ではないそうです。
□「心頭」というのは、「心、心の中、心の底」という意味らしい。心の底から怒りがこみ上げてくるのが、「怒り心頭に発した」という表現なんですね。
□「心頭」という言葉は、「心頭滅却すれば火もまた涼し」という決まり文句にも使われています。この決まり文句を吐いたのは、快川禅師(かいせんぜんじ)というお坊さんだったとか。天正(てんしょう)10年(1582年)、武田勝頼(かつより)が滅亡したとき、侵攻してきた信長軍に生意気な態度をとったため、恵林寺(えりんじ)という寺ごと燃やされちゃったらしい。死の直前に吐いた名文句だと伝えられるのですが、この逸話には後世の作り話説もあるようです。
[に]声を荒げて(あらげて)毒づいた(誤った表現)
■正しくは、「荒らげて(あららげて)」だそうです。「あららか」(荒々しいこと)という言葉から、文語の「あららぐ」、現代語の「あららげる」が派生したとのこと。似たような仕組みで、「やわらか」から「やわらぐ」、「やわらげる」が生まれたそうです。
□でも「声を荒げて(あらげて)」という表現はもう一般化しちゃっているかもしれませんね。文化庁は、「ひろい(ひろ)」→「ひろげる」から、「あらい(あら)」→「あらげる」という類推も成り立たないことはない…としているそうです。
[ほ]そんな計画では成功はおぼつかぬ(誤った表現)
■正しくは、「おぼつかない」だそうです。「食べない」の「ない」は動詞について打ち消しの意味を表す助動詞だそうです。「ぬ」に言い換えて「食べぬ」とか「喰わぬ」と言っても構わないらしい。そういえば「構わない」も「鎌輪奴」、失礼「構わぬ」と言い換えられますね*3。
□「おぼつかない」は、「はかない」とか「情けない」とおなじで、ひとつの形容詞だそうです。「ない」だけを「ぬ」とすることはできません。「はかぬ」とか「情けぬ」と言わないのと同じです。弊クイズでは、以前にも一度「おぼつきません」という表現は間違いとご紹介していました*2。
□「おぼつかぬ」といった表現は、語呂を整える場合に使われるのかな。俳句や短歌その他の韻文なら苦し紛れに「おぼつかぬ」と言ってしまうのも情状酌量の余地があるかもしれません。古賀政男(まさお)の名曲「♪影を慕いて」の歌詞には「月にやるせぬわが思い」という部分があるとか。「やるせぬ」は「おぼつかぬ」と同様に文法的には間違いであり、本来なら「やるせない」とすべきなのでしょう。
□韻文以外、普通の散文で「おぼつかぬ」と書くのは、自分を賢く見せよう、格好をつけようとして失敗しただけらしい。たいへん見苦しい結果になります。注意しなきゃ。
◆参考*1:書籍「日本語「日めくり」一日一語」中公新書初版、読売新聞校閲部著、ISBN4-12-150090-3、中央公論新社
◇*2HP「選挙演説中の言葉の誤り。「ご声援ありがとう」は公職選挙法違反なの? 町人思案橋・クイズ集/ウェブリブログ」
http://blog.q-q.jp/200907/article_5.html
◇*3HP「模様の名前の読みかた。「亀甲」はなんと読むの? 町人思案橋・クイズ集/ウェブリブログ」
http://blog.q-q.jp/201005/article_7.html
◇辞書「日本国語大辞典」小学館
◇Yahoo! J Dictionaries 大辞泉
◇Yahoo! J Dictionaries 大辞林

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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
時が経つにつれて、誤った表現でも正しいと取られるようですね。
昔とまるっきり違う意味で使われている格言もありますね。

お仕着せ・・・江戸時代は使用人はタダ働き同然で、そのかわり衣食住を保障されていたようですね。
将軍が季節の着物を褒美として家来に下賜するということもあったようで、家来たちはありがたく頂戴するわけですが、金の方がよかったでしょうね。
ねこのひげ
2014/08/24 07:56
コメントをありがとうございます。

 将軍からの下賜の品ですと、献残屋に売ってしまうわけにもいかないのでしょうね。バレたら改易させられちゃうかもしれませんし。やっぱり現金がいいですよね。
(^^;)
ねこのひげ様<素町人
2014/08/24 14:50

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