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zoom RSS ちょうど100年前の流行語。劣悪文学とはどんな本を指していたの?

<<   作成日時 : 2014/07/31 07:25   >>

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★日本語★
問題:いまから100年前といいますと、大正3年(1914年)ですね。7月の末からは第一次大戦が始まり、幸いにも主戦場でなかった日本は、景気上昇のキッカケがつかめたのかもしれません。12月には赤煉瓦造りの東京駅が開業します。最近、改装していましたが、駅の古い建物は100年も前に完成したようです。Wikipediaによれば、「中央停車場は皇居(宮城)の正面の原野に設定され、『東京駅』と名付けられた」とのこと(140731現在)*2。
■原野という言葉は言いすぎかもしれません。人の手が入っていない、あるいは未開拓の土地ということは考えにくい。江戸城の真ん前です。江戸時代から一等地でしょう。区画整理はされているけれどたまたまそのとき建物はなくて雑草の生えている空き地。あるいは原っぱだったのかな。
■では、この年の流行語の問題です。大正3年(1914年)の流行語に関する下記の説明で、正しいものはどれでしょうか? (正しい説明は無いかもしれませんし、複数かもしれません)
[い]「劣悪文学」とは、次第に勢いを増してきた共産主義者たちのプロレタリア文学のことである
[ろ]「カチューシャ」の原作はトルストイの「復活」であり、芸術座の帝劇公演の題目だった。主演の松井須磨子(すまこ)が歌う「♪ゴンドラの唄」は大ヒット曲となった
[は]「天佑(てんゆう)」は元老の井上馨(かおる)が第一次世界大戦の開戦の際に叫んだと言われている
[に]「ナッチョラン」は「♪ナッチョラン節」から流行った言葉で、長く流行した
[ほ]「流行歌」はコロムビアレコードが発売したレコードに記されていた言葉で、この年から定着した
(答えはずっと下↓ スクロールして下さい)

























★日本語★
正解:[は]と[に]が正しい
説明:[い]「劣悪文学」とは、次第に勢いを増してきた共産主義者たちのプロレタリア文学のことである(×)
■正しくは、「劣悪文学とは、猥褻な文学のことである」だそうです。この年の上半期、猥褻を理由に発売禁止処分を受けた小説は70件あったらしい*1。当時は厳しかったのでしょうけれど、それにしても多いな。
□「禁演落語」という本によれば、「三枚起請(さんまいきしょう)」とか「明烏(あけがらす)」、「品川心中」、「付き馬」、「居残り佐平次」など、現代の人からするといったいどこがいけないのかさっぱりわからない演目が、戦争中には禁演に指定されたらしい*3。戦時下にふさわしくないという理由だったようですが、為政者の我儘(わがまま)なのか、それを恐れた自主規制なのか。
[ろ]「カチューシャ」の原作はトルストイの「復活」であり、芸術座の帝劇公演の題目だった。主演の松井須磨子(すまこ)が歌う「♪ゴンドラの唄」は大ヒット曲となった(×)
■ほとんどの部分は正しいようです。間違っているのは、中で歌われる歌の名前です。主演の松井須磨子が歌ったのは「♪カチューシャの唄」という題名だったらしい。「カチューシャかわいや わかれのつらさ」という歌詞は流行語にもなったらしい。

□松井須磨子は「♪ゴンドラの唄」も歌っています。こちらは「その前夜」という舞台劇の劇中歌で、大正4年(1915年)だったらしい。出だしの歌詞、「♪命短し 恋せよ乙女」という一節はよく知られています。黒澤明の名作「生きる」という映画の中では志村喬(たかし)演ずる主人公が口ずさんでいましたね。

[は]「天佑(てんゆう)」は元老の井上馨が第一次世界大戦の開戦の際に叫んだと言われている(○)
■「天佑」は天の助けという意味ですね。人気女優天海祐希嬢の略称ではありません。字がちょっと違うか。
□井上馨には、いろいろ悪い評判もあるようです*4。「天佑」なんて正直すぎる言葉を吐いちゃうから、誤解されるのでしょうか。たしかに日本にとっては天佑でした。もっと救われたのはアメリカであり、第一次世界大戦の軍需景気で世界一の経済大国としての地歩を築いたわけですね。
[に]「ナッチョラン」は「♪ナッチョラン節」から流行った言葉で、長く流行した(○)
■「♪ナッチョラン節」は、ちょっとしたコミックソングですね。YouTubeで歌が聴けます。1番の歌詞は下のようなものらしい。
---青島(チンタオ)よいとこと誰(た)が言うた
---後禿げ山前は海
---尾のない狐が出るそうな
---僕も二三度騙された
---ナッチョラン ナッチョラン
尾のない狐はきっと女狐なのでしょうね。
□柳家金語楼(きんごろう)という喜劇人は、もともと落語家で大正11年(1922年)に除隊したあとで「噺家の兵隊(落語家の兵隊とも)」で売り出したそうです*5。たしか「♪ナッチョラン節」の3番を歌っていて叱られるという話が出てきました。
---下士官の側(そば)行きゃメンコ臭い(?、煙草臭いの意味らしい)
---伍長勤務は生意気で
---粋な上等兵にゃ金がない
---可愛い新兵さんには暇がない
---ナッチョラン ナッチョラン
昔の流行はなかなか息が長いですね。

[ほ]「流行歌」はコロムビアレコードが発売したレコードに記されていた言葉で、この年から定着した(×)
■正しくは、ニッポノホンレコードという会社が発売したレコードに記されていた言葉のようです。演歌師神長瞭月(かみなが りょうげつ)の「流行歌・松の声」という歌だったらしい。「流行歌」という言葉が
使われた嚆矢(こうし、最初)だそうです。このレコードは売れたとのこと。「流行歌」という言葉もはやったそうです。上京した女学生が転落していく様子を歌ったものだったらしい。「あぁ夢の世や、夢の世や」という文句が人気を集めたそうです。

◆参考*1:書籍「20世紀のことばの年表」初版42〜43頁、加藤迪男(みちお)編、ISBN4-490-10567-3、東京堂出版
◇*2HP「東京駅 - Wikipedia」
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%9D%B1%E4%BA%AC%E9%A7%85#.E6.AD.B4.E5.8F.B2
◇*3書籍「禁演落語」文庫初版、小島貞二(ていじ)編著、ISBN4-480-03721-7、筑摩書房
◇*4HP「明治の元勲井上馨(かおる)命日。金に汚い大立て者はどんな破廉恥事件の容疑者だったの? 町人思案橋・クイズ集/ウェブリブログ」
http://blog.q-q.jp/201009/article_1.html
◇*5HP「柳家金語楼 - Wikipedia」
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%9F%B3%E5%AE%B6%E9%87%91%E8%AA%9E%E6%A5%BC

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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
そういえば、バカンスというフランス語もザ・ビーナツの『恋のバカンス』から使われるようになり定着したそうでありますね。
ねこのひげ
2014/08/03 10:37
コメントをありがとうございます。

 「♪恋のバカンス」は懐かしいですね。バカンスという言葉がここから流行りだしたとは知りませんでした。
 バカンスと語源は一緒かもしれません。バケーションという英語のほうは、「♪V・A・C・A・TION」という弘田三枝子嬢の唄から流行したのかな。
(^^;)
ねこのひげ様<素町人
2014/08/03 17:15

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