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zoom RSS 因幡の白兎と大国主命の描かれた漆器。古い時代のものなの?

<<   作成日時 : 2014/06/20 06:37   >>

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★科学★
問題:骨董好きのあなたは、あるとき、フリーマーケットで面白い漆器を見つけます。重箱のようです。側面には、大国主命と因幡の白兎が描かれています。蓋の端っこで漆がごくわずかですが剥がれています。少し保存状態はよくないのですが、白い漆で描かれた白い兎はちゃんと白く見えますし、大国主命もなかなか凛々(りり)しくいい男に描かれています。箱もついています。
■箱には明和丙戌(めいわへいじゅつ、ひのえいぬ)と記されています。明和3年のことらしい。西暦でいえば1766年です。250年近く前の道具なのかな。6万円というのをなんとか3万5000円に値切り、購入してきました。家で眺めると、あまり見かけない絵柄なのに飽きの来ない素晴らしい意匠です。
■入手後2ヶ月ほど、友人知人に披露しましたが、どの人もあまり関心を示しません。「なかなかいいじゃないか」。この程度の反応が最高です。なかには、偽物じゃないのと疑う人までいます。あなたは内心面白くありません。250年も経過している素晴らしい作品なのに、この良さがわからないなんて。あきめくらどもめ。
■ついにあなたは決心します。「なんでも鑑定団」に出品を申し込み、物の値打ちを知らない連中の鼻をあかしてやろう。では、その結果はどうなるのでしょうか? 次の中からいちばん確率の高い結末を選んで下さい。
[い]わりと最近の作品で保存状態が悪いのでせいぜい3500円
[ろ]保存状態が悪いので買ったときとおなじ3万5000円
[は]デザインが珍しいので10万円
[に]名人の作品なので20万円
[ほ]江戸時代には極めて稀少な作品なので100万円以上
(答えはずっと下↓ スクロールして下さい)

























★科学★
正解:[い]わりと最近の作品なのでせいぜい3500円
説明:う〜ん、残念でした。目がなかったのはあなたのほうだったようです。でも、鑑定団は書類選考の段階で落とされたので、全国的な恥をかかなくて済んだのは不幸中の幸いでした。
■この作品はせいぜい数十年前までの古さしかないそうです。なぜわかるのか。白い漆だそうです。赤い漆は縄文時代や弥生時代の遺跡からも発掘されることがあるらしい。以前にご紹介したのでは、6000年前の赤漆塗りの櫛が残されているという話でした*2。
■黒い漆も古くからあるらしい。ところが、白い漆というのは昔はなかったそうです*1。因幡の白兎のころはもちろん、明和年間(1764年〜1772年)にもありません。ここ数十年の話らしい。
■漆は「ウルシオールなどのフェノール系のモノマーが乾燥に伴って空気中の水分や酸素などと反応して重合固化(じゅうごうこか)する」ものだそうです。同時に顔料とも反応するらしい。顔料のもつ色調は大きく変化してしまうとのこと。
■ちなみにモノマーとは、「同じ種類の小さい分子が互いに多数結合して巨大な分子、すなわち高分子となるとき、その小さい分子をモノマー(単量体) という」とのこと。モノマーが多数結合した高分子はポリマーと呼ばれるそうです。こちらのほうがよく耳にするような気がします。
■漆の着色に使われるのは、ウルシオールと反応しないものばかりが選ばれるそうです。赤は硫化水銀(銀朱(ぎんしゅ))、黄色は硫化砒素(石黄(せきおう))、黒は炭素の粉末(煤)などだそうです。
■白の着色料は胡粉(ごふん、鉛白(えんぱく)や炭酸カルシウム)だったようです。これらは、漆膜と反応して変色してしまうとのこと。
■白が使えないため、漆の工芸家たちはたいへん苦労したようです。卵の殻を貼り付けて鶴や白鳥を表現したりしたこともあったらしい。一般には、銀蒔絵(まきえ)や銀箔を使って白の代用とすることが多かったらしい。
■問題の重箱は、江戸時代の作品として考えるとインチキです。でも骨董品は自己満足できればそれでいいのかもしれません。相場とか他人の評価など無視して、遠く出雲の伝説に思いを馳せ、豊かな時間を過ごせれば、十分に値打ちはある。そう考えればいいのでしょう。
◆参考*1:書籍「化学トリック=だまされまいぞ」新書初版34〜39頁、山崎昶著、ISBN978-4-06-257608-6、講談社
◇*2HP「今日は櫛の日。ところで、現存する日本最古の櫛は何時代のものなの? 町人思案橋・クイズ集/ウェブリブログ」
http://blog.q-q.jp/201009/article_4.html

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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
価値とは、なんじゃろか?の世界ですからね。
いまは値段が高いことに価値を見出しているんでしょうけど・・・
朝鮮半島で、ふつうに食器として使われていたものに価値を付けたのは信長さんですがね。
家来に報酬としてやる土地がなかったので、つけた屁理屈だったんですけどね(*_*)
ねこのひげ
2014/06/22 10:13
コメントをありがとうございます。

 面白い話ですね。信長はさすがに知恵者だな。
 永楽通宝を旗印にしていましたけど、経済のわかる指導者だったようですね。
(^^;)
ねこのひげ様<素町人
2014/06/22 19:16

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