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zoom RSS 割れ鍋に「とじぶた」。どんな蓋なの?

<<   作成日時 : 2014/05/15 09:20   >>

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★日本語★
問題:「割れ鍋にとじぶた」。歌留多の「わ」の札に記された決まり文句です。ただし、これはあくまでも江戸や東京でのお話らしい。関西地方では「笑う門には福来たる」だそうです。尾張名古屋の方面では、「若いときは二度ない」になっているらしい。
■「割れ鍋」のほうはなんとなく想像がつきます。「割れる」のですから金属製ではなさそうです。おそらくは縁(ふち)の欠けた土鍋なのでしょう。底まで欠けていると使いものになりません。でも縁ぐらいなら、気をつけて使えばまだまだ使えるのでしょう。もうひとつ考えられるのは、「漏るほどではないけれど、罅(ひび)の入った土鍋」かな。
■では、「とじぶた」のほうにはどんな意味があるのでしょうか? 次の中から選んで下さい。
[い]大きな蓋
[ろ]ぴったり閉じられる蓋
[は]修理済みの蓋
[に]歪(ゆが)んだ蓋
[ほ]ドジなブタ
(答えはずっと下↓ スクロールして下さい)

























★日本語★
正解:[は]修理済みの蓋
説明:「とじぶた」は、「綴じ蓋」と表記するのが一般のようです。「綴じる」はご存知のとおり縫い合わせるの意味があります。ここでは、「こわれたのを修理した蓋の意」だそうです*1。
■「割れ鍋に綴じ蓋」は、ご存知のように似たもの夫婦のことですね。欠陥のある鍋と欠陥のある蓋に象徴されるように、訳ありの人どうしで一緒に暮らす事例を指すようです。高学歴・高収入・高身長な花婿ならば、「割れ鍋」とは呼びません。
■結婚式の披露宴で禁忌(きんき)とされる言葉は、「別れる」とか「切れる」とか「離れる」とかいろいろあるようですが、「割れ鍋に綴じ蓋」もまずいのでしょうね。披露宴では、嘘でも花婿は秀才で親孝行であり、花嫁は心優しく周囲に愛される人物でなければなりません。どうひいき目に見ても割れ鍋に綴じ蓋という事例もありますが、内心でどう思うかはともかく、けっして口に出すことはしない。それが浮き世の義理というものでしょう。
■川柳の句集「柳多留(やなぎだる)」には、次のような作品が収載されているそうです。「とぢ蓋を 見付けて下女は 隙(ひま)をとり」。割れ鍋である下女は、念願の寿退社を果たしたわけですね。
■「割れ鍋に綴じ蓋」は、江戸の前期にはすでに定着していた言葉のようです。正保(しょうほう)2年(1645年)に刊行されたという俳書「毛吹草(けふきぐさ)」にも、「われなべにとぢぶた うしはうしつれ むまはむまつれ」という用例があるそうです。「むま」は馬のことらしい。牛にも馬にも配偶者は現れるものだ…ということなのかな。
■明治の文豪、幸田露伴(ろはん)氏は、この言葉が好きだったのかもしれません。「如何なる賤陋(せんろう)のものにも、世おのづからこれと相従ひ相幇(たす)けて、功を共にし楽を分つものあるを云(いう)。愉快なる佳諺(かげん?)なり」と語っているらしい*1。なお、賤陋は、貧しい家に住む賤しい者を指します。佳諺は辞書には見あたりませんがきっと「優れたことわざ」の意味なのでしょう。
■なお、「われなべ」は「破れ鍋」という表記も見かけました。この場合は金属製の可能性もありますね。鋳掛(いかけ)屋さんに修理してもらった金属製の鍋、あるいは修理前の水の漏れる鍋の意なのかな。
◆参考*1:書籍「日本語話題事典」初版41頁、担当筆者平野雅章、ISBN4-324-01495-7、ぎょうせい
◇辞書「字通」白川静、平凡社
◇辞書「日本国語大辞典」小学館
◇Yahoo! J Dictionaries 大辞泉
◇Yahoo! J Dictionaries 大辞林

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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
読んでみると、蓋のほうが男のようですね。
なんとなく女と思ってましたが・・・・('◇')ゞ
落語や時代劇でも鋳掛屋さんが来て、路地裏に座り込んでしゅうるをする場面が出てきますね。
昨今は見かけませんが、谷中あたりでは包丁研ぎの職人さんが回ってくることがあります。
ねこのひげ
2014/05/18 05:08
コメントをありがとうございます。

 昭和30年代の世田谷区でも、鋳掛け屋さんはいました。路上で作業していました。七輪でコテを熱し、半田を使って何かを修理していましたね。鍋とかではなく、記憶する限りではブリキの雨樋かなんかだったと思うのですが。
 小学校の低学年のころで、何人かで長い時間見学していたら、友達の親が心配して見に来ました。金属である半田が身近な熱で熔けるのがとても面白かった。
 今でも半田ゴテを使うときは、ときどき、あの風景を思い出します。
(^^;)
ねこのひげ様<素町人
2014/05/18 09:52

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