町人思案橋・クイズ集

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zoom RSS 江戸の町で立小便を禁ずる絵は何が描かれていたの?

<<   作成日時 : 2014/05/22 08:22   >>

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★日本語★
問題:江戸時代の江戸は、いちおう将軍様のお膝元です。町人たちもお行儀よく暮らす…建前ではありました。でも、出物腫れ物所嫌わずという言葉もあります。生理現象を催したら、我慢できる時間は限られています。下腹部の膨満感に耐えきれず、立小便をなさるかたはたいへん多かったようです。
■以前にもご紹介したように、実は江戸城の中でさえ立小便は横行していたそうです。「ここで立ち小便をしないように。もし禁を犯せば小判1枚を徴収しますぞ」という立て札が設けられていた場所があったそうです。前田利常(としつね)という加賀藩2代目藩主は、小判を支払ってそこで垂れたと言われています*1。この人の場合は、馬鹿を装っていた可能性があるので、ほんとに膀胱破裂を恐れたのかどうかはわかりませんけど。
■立小便を防止するためには、江戸城と同様に「小便無用」と書く方法がありました。江戸の町のいたるところに「小便無用」は書かれていたそうです。俳人宝井其角(きかく)の逸話を思い出します。其角は紀文こと紀伊国屋文左衛門の幇間(たいこもち)のようなことをしていたことがあるそうです。ある座敷で店の主人が紀文に短冊を渡して一句お願いできまいかと頼みます。紀文も俳人として知られていたらしい。
■でも、紀文は気分が乗らなかったのでしょうか。「此の所小便無用」と書いたそうです。返された短冊を見て主人は落胆します。少し怒っていたかもしれません。其角はその短冊を受け取って書き足します。「花の山」。雅とはおおよそ縁遠い言葉が見事に俳句に生まれかわりました。さすがは芭蕉の一の子分、失礼、一の高弟である其角です。店の主人も大喜びしたらしい*2。
■閑話休題。立小便防止の目的では、現在でも使われることがありますが、鳥居の絵を描く場合もあります。清浄の場所だから穢すな(けがすな)ということでしょうか。そしてもうひとつ、暮らしの中でよく見られる道具が立小便防止のおまじないとして描かれたそうです。では、その道具とは次のどれでしょうか?
[い]針山(はりやま、裁縫道具)
[ろ]手拭い
[は]杓文字(しゃもじ)
[に]釜
[ほ]鋏(はさみ)
(答えはずっと下↓ スクロールして下さい)

























★日本語★
正解:[ほ]鋏(はさみ)
説明:鋏はどんな意味があったのでしょうか。参考資料*3によれば、不作法なことをしたら男根をチョン切るぞという脅しの意味があったそうです。効果はあったのかな。
■「此の所へ おどけ交じりに 鋏の絵」という川柳があるそうです。「此の所」は、小便無用と書かれる場合の決まり文句なのでしょうね。「おどけ交じり」では、脅しにはならなかったかもしれません。「頼むからここでやらないで」という、被害者側の悲しい願いが伝わってくるようではあります。切羽詰まったときはともかく、ちょっと余裕がある場合は避ける気持ちになるかな。
■「床見世の 小便無用 屋根にあり」。床見世は床屋さん、理髪店です。床屋さんの屋根には鋏の看板が出ていたのでしょう。あんな高いところに「小便無用」があるじゃないかという見立ての面白さですね。
■立小便にまつわる川柳をいくつかご紹介しましょう。「ちんぽうは 腫れ蚯蚓(みみず)は 死んでいる」。ミミズに小便をかけると男根が腫れるという言い伝えがあったようです。腫れを治すにはミミズを洗ってやるといいらしい。でも手遅れだったのでしょうか。すでにミミズは息を引き取っており、ちんぽうは腫れたままのようです。3代目笑福亭仁鶴(にかく)の「不動坊(ふどうぼう)」では、登場人物が屋外で小便をする際に、「ミミズもカエルもごめん」という台詞を吐きます。蛙に小便をかけても祟りがあるようですね。なお、演者によっては、そんな場面のないこともあります。
■「うわばみの 出そうな所へ 鳥居張り」。この句はふたつの解釈ができそうです。うわばみは大蛇のことですから、男根の喩え(たとえ)とみることもできます。男性がつい垂れたくなるような場所、褌(ふんどし)から陰茎をつまみ出しそうな場所に鳥居は張られるものだという意味ですね。もうひとつは、郊外であり、あたりにはいくらでも茂みがある。蛇が出てきそうな場所なのに、なぜか家の塀に鳥居が描かれているという可笑しさかな。
◆参考*1:HP「老中の前でフンドシをはずし、オイナリサンを出して見せた殿様はどこの国の大名なの? 町人思案橋・クイズ集/ウェブリブログ」
http://blog.q-q.jp/200704/article_86.html
◇*2HP「江戸っ子俳人宝井其角(きかく)。紀文の幇間(たいこもち)をしていたことがあるの? 町人思案橋・クイズ集/ウェブリブログ」
http://blog.q-q.jp/201104/article_8.html
◇*3書籍「江戸川柳 『小便』」初版52〜54頁、山本成之助(せいのすけ)著、牧野出版

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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
近所の道路沿いにも小さな赤い鳥居が建っているところがあります。
おしっこをする奴がいるんでしょうね。
ねこのひげ
2014/05/25 11:18
コメントをありがとうございます。

 子供のころ、塀に小さな鳥居が描かれているのを見て、ここでする人が多いということは、見つかりにくい場所なんだろうなと思いました。
 逆効果ではないか…という気もしますけど、被害者のお宅にしてみれば、それどころじゃない、祈るような気持ちで鳥居や鋏を描いたんでしょうね。
 現代なら、監視カメラを目立つところにつけておけば、まずは避けられるかも。ダミーの安いものでも効果がありそうです。
(^^;)
ねこのひげ様<素町人
2014/05/25 20:58

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