炭素の同位体を使った年代測定はどのぐらい前まで正確に測れるの?

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★科学★
問題:誰も見たわけではないのに、太陽系ができたのは約46億年前だとされています。カンブリア紀は約5億4200万年前から約4億8830万年前とされていますし、ユカタン半島に大隕石が衝突して気候変動が起き、恐竜が絶滅したのは約6550万年前のことだと専門家たちは口を揃えます。
■記録に残されていない先史時代・地質時代の出来事は、科学的な年代測定法を利用して推定しているようです。その代表的な手法では、炭素の同位体を使うようです。
■化学の授業で習ったとおり、炭素は原子核に6つの陽子を含んでいます。中性子も6つあるのが多数派で炭素12と呼ばれます。存在比は98.93%だそうです。中性子がもう1つ余分に入っているのは炭素13と呼ばれ、存在比は1.07%らしい。さらに中性子が2つ余分に入っているのは炭素14と呼ばれます。陽子が6個+中性子が8個あるわけですね。これはごく微量です。炭素原子1兆個に対し1個ぐらいあるとのこと。
■またまた化学の授業を思い出してください。炭素12は12gで6×10^23(アボガドロ数)個の原子が含まれていると習いました。脇を飾る小粒のダイヤモンド0.1カラット、すなわち0.02gのダイヤ(炭素だらけ)の中には、アボガドロ数×(0.02/12)個、10の21乗ぐらいの数の炭素原子が含まれている計算です。
■1兆は10の12乗です。ということは、わずか0.02gのダイヤの中にも、炭素14は10の8乗(億)単位で含まれている勘定になりますね。
■炭素12は安定していますが、炭素14は不安定だそうです。ときどき放射崩壊と呼ばれる変化を見せます。熱を発して窒素14に変化してしまうらしい。
■炭素14が窒素14に変化する確率は、いつでもどこでもおなじだそうです。1億個の炭素14が放射崩壊で半分の5000万個に減るには、5730年かかるとのこと。さらに半分の2500万個に減るには1万1460年かかります。さらに半分の1250万個に減るには1万7190年かかるとのこと。5730年ごとに半分に減るペースだそうです。「炭素14の半減期は5730年である」。専門家たちはそんな言い方をするらしい。
■年代測定をしたい葉っぱの化石があったとします。この葉っぱは生きているうちは、空気を吸って吐いていることから、地球上の他のものとおなじように、1兆個につき1個だけ炭素14が混ざっているそうです。葉っぱが死ぬと、新しい炭素14は入ってこなくなります。枯れたときに持っていた炭素14は、少しずつ放射崩壊していきます。そして5730年後に半分に減ります。
■化石の葉っぱの炭素14が含まれている比率を調べ、もし2兆個につき1個だったら、それは半分に減っていることを示します。おそらくは5730年前に死んだと推定できるらしい。4兆個につき1個だったら4半分に減っています。1万1460年前に死んだと推定できます。
■炭素はすべての生物に含まれているものなので、生物の化石などに対しては年代測定の対象として利用できる例が多いらしい。では、炭素の同位体を利用した年代測定法では、どのぐらい前まで推定が可能なのでしょうか?
[い]5万年前
[ろ]50万年前
[は]500万年前
[に]5000万年前
[ほ]5億年前
(答えはずっと下↓ スクロールして下さい)

























★科学★
正解:[い]5万年前
説明:5万年ですからもの凄い長期間ではあります。でも生物全体の歴史、あるいは地球の歴史からいえば、さほどでもありません。ネアンデルタール人の登場は約20万年前といわれます*3。これは測れません。9万年前には阿蘇山の大噴火があって多くの生物が被害を受けています*2。これも測れませんね。
■なぜ、そこに限界があるのでしょうか。測定機器の感度・精度の問題らしい。平成26年(2014年)現在では、約1000兆個に1個の炭素14を測るのがギリギリのところだそうです。2の10乗が1024です。1兆個につき1個の炭素14から始まり、1000兆個に1個まで減るには、半減期が10回ほどめぐってくることになります。半減期である5730年が10回繰り返されると、5万7300年ですね。でも、少し慎重に考えて、5万年前ぐらいまでは正確なはずとして利用されているらしい。
■当然の疑問が沸いてきます。5万年より昔のことはどうやって測定しているのか。やはり同位体の放射崩壊を利用する測定法を使うようです。ただし、使われるのはアルゴンやカリウム、ウランや鉛とのこと。こちらのほうが費用がかかるのかな。
■もうひとつ、疑問を感じられたかもしれません。それは、炭素14が5730年ごとに半減するならば、どんどん減っていずれはほぼゼロになってしまうはずではないか。窒素14がどんどん増えていくはずではないか。なぜ、大昔も今も炭素14は1兆個に1つ存在するのか。
■この問題には宇宙線が関わっているそうです。「宇宙空間からやってきた高エネルギーの放射線である『宇宙線』が大気中の分子に衝突し、それによって放出された中性子が大気中の窒素14に衝突することで、炭素14 は絶えず新たに生みだされている」とのこと。窒素14は中性子をあびて一定量が炭素14に変化するらしい。もちろん宇宙線の量にも変動はあるようですが、長期間でならせばおおむね炭素14の量は一定している。この仮定を前提として炭素同位体による年代測定は成立しているそうです。
◆参考*1:雑誌「「年代測定」の魔法をひもとく」Newton (ニュートン) 2014年3月号108~113頁、担当編集者赤谷拓和、ニュートンプレス
◇*2HP「ハワイのキラウエア火山は今後どうなる予定なの? 町人思案橋・クイズ集/ウェブリブログ」
http://blog.q-q.jp/201212/article_3.html
◇*3HP「ネアンデルタール人の脳容積は現代人よりも大きかったの? 町人思案橋・クイズ集/ウェブリブログ」
http://blog.q-q.jp/201110/article_14.html

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この記事へのコメント

ねこのひげ
2014年04月13日 11:23
5万年とはいささか少ないですね~
だから時々インチキ詐欺師が出現するんでしょうね~
ねこのひげ様<素町人
2014年04月13日 23:02
コメントをありがとうございます。

 5万年はたしかに意外ですね。少ない感じがします。
 炭素の同位体を使った方法では、かりにあと1000倍ほど機械の精度が向上したとしても、10万年前後までしか測定できない勘定になります。遠い昔を知るには向いていない方法なのかもしれませんね。
(^^;)

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