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zoom RSS 「風馬牛」とはどんな意味?

<<   作成日時 : 2014/04/03 07:19   >>

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★日本語★
問題:本日は、ちょっと変わった言葉、風馬牛(ふうばぎゅう)の意味についてのクイズです。まずは夏目漱石氏の「三四郎」の一節です。「君があの女と結婚する事は風馬牛だ」。
■この用例だけを手がかりにして、「風馬牛」という言葉の意味を考えてみましょう。下の中からいちばん近いと思われる説明を選んで下さい。(正しい説明は無いかもしれませんし、複数かもしれません)
[い]無関係であるという意味
[ろ]遠距離恋愛であるという意味
[は]意外に感じたという意味
[に]好きにせよという意味
[ほ]予測していたという意味
(答えはずっと下↓ スクロールして下さい)

























★日本語★
正解:[い]が正しい
説明:「風馬牛」は、辞書で引くと次のような意味もあります。「自分とは何の関係もないこと、互いに無関係なこと」。つまり、「君があの女と結婚する事は俺の知ったことではない」という意味らしい。
■そもそもは、「風(ふう)する馬牛も相及(あいおよ)ばざるなり」という文章だったらしい。中国の歴史書「左伝(さでん)」に記された逸話にもとづいているようです*6。北の国、斉(せい)の王様が敵対する国を破り、勢いに乗じて南の国、楚(そ)を討とうと攻め寄せてきたらしい。で、南の国の王様が手紙を書きます。
「君は北海にいてこちらは南にいます。これではあの風馬牛でさえ相及びますまい。あなたがここまで来るとは想定外でした。どうしたというのですか」。
■「日本国語大辞典(小学館)」によれば、「風」は「さかりがついて雌雄が呼び合うさま」だそうです。フェロモンの関係なのかな。フェロモンには揮発性のものがあり、風に乗って異性を誘ったりすると聞きます*7。
■で、「風する馬牛も相及ばざるなり」は、「互いに慕い合ってはるか遠方にまで逸走する牛馬の雌雄でさえもあうことのできないほど両地が遠く離れている」という意味になるらしい。そこから転じて「無関係だ」、「知ったことか」という意味が出てくるらしい。
■漱石氏の「草枕」には次のような用例があるそうです。「帝王の権威を風馬牛し得るものは自然のみであろう。自然の徳は高く塵界を超越して、対絶の平等観を無辺際に樹立している」。ここでは「無視する」と同じ意味のようですね。
■田山花袋の「蒲団」での用例は次のような感じです。「時雄は一時は勝手にしろと思った。放っておけとも思った。けれど圏内の一員たるかれにどうして全く風馬牛たることを得ようぞ」。時雄という男性が嫉妬に苦しんでいる場面だそうです。「圏内の一員なので関心を持たざるを得ない」という意味かな。
■芥川龍之介の「龍村平蔵氏の芸術」という文章の用例です。「現代はせち辛い世の中である。このせち辛い世の中に、龍村平蔵さんの如く一本二千円も三千円もする女帯を織つてゐると云ふ事は或は時代の大勢に風馬牛だと云ふ非難を得るかも知れない」。時代の大勢に無関心だという意味らしい。
■最後は太宰治の「花火」という文章での用例です。「そのまま引きさがって、勝治に向い、チベットは諦めて、せめて満洲の医学校、くらいのところで堪忍(かんにん)してくれぬか、といまは必死の説服に努めてみたが、勝治は風馬牛である」。「とりつくしまもない」という意味なのかな。
■恥ずかしながら、つい最近まで風馬牛という言葉の意味を知らなかった。調べてみると、その他にも多くの有名作家が使っているようです。「草枕」や「三四郎」は読んだはずなのですが、きっと素通りしてしまったのでしょう。飛ばし読みしていたようです。読書感想文がいつも低い評価だったのは、こんなところに遠因があったのかな。
◆参考*1:HP「夏目漱石 三四郎」
http://www.aozora.gr.jp/cards/000148/files/794_14946.html
◇*2HP「夏目漱石 草枕」
http://www.aozora.gr.jp/cards/000148/files/776_14941.html
◇*3HP「田山花袋 蒲団」
http://www.aozora.gr.jp/cards/000214/files/1669_8259.html
◇*4HP「芥川龍之介 龍村平蔵氏の芸術」
http://www.aozora.gr.jp/cards/000879/files/1132_6754.html
◇*5HP「太宰治 花火」
http://www.aozora.gr.jp/cards/000035/files/264_20119.html
◇*6書籍「ことばの散歩道V 日中ことわざ雑記」初版94頁、上野恵司著、白帝社
◇*7HP「雄のマウスの切り札であるフェロモンが含まれているのは涙・唾液・尿・汗のうちどれ? 町人思案橋・クイズ集/ウェブリブログ」
http://blog.q-q.jp/201403/article_20.html
◇「日本国語大辞典(小学館)」

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コメント(4件)

内 容 ニックネーム/日時
『三四郎』も『草枕』も読んでいたはずなんですが・・・・・
この言葉は記憶にありませんな〜(^^ゞ
斉と楚の話も記憶にありますが・・・・
現代の中国の方に教えてやりたい逸話でありますね〜(*^-^*)
ねこのひげ
2014/04/04 02:51
コメントをありがとうございます。

 風馬牛という言葉を読み飛ばしていたお仲間がいてホッとしました。ハハハ。
 それにしても、斉の国の親分は、手紙を読んでどう反応したのでしょうか。納得して引き返したのかな。それとも無視して楚の国と戦ったのでしょうか。ちょっと知りたいですね。
(^^;)
ねこのひげ様<素町人
2014/04/04 10:04
史記によれば、晋の王様は恥ずかしくなってやめて引き返したそうですけどね・・・
でもやっぱり欲しくなってのちに攻め込んだそうで・・・
そのあとも何度も戦いがあったそうで、そのあとに秦が強くなって両方ともいただいてしまうんですがね。
ねこのひげ
2014/04/13 11:34
コメントをありがとうございます。

 ご教示に感謝します。
 とりあえずは引き返したんですね。手紙が効いたようですね。

 余談です。昔、どこの党だか忘れましたけど、外国が攻めてきたら、「『そんな平和的でないことは止めろ』と最前線で叫べばいい」という女性議員がいました。
 彼女は「オバサンではなくオバカサンである」と評されていましたね。
(^^;)
ねこのひげ様<素町人
2014/04/13 23:17

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