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zoom RSS 文章の間違い探し。「他人はいざ知らず、僕は…」は誤った表現なの?

<<   作成日時 : 2014/04/24 08:23   >>

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★日本語★
問題:つい最近、今年の3月〜4月ごろです。「白ゆき姫殺人事件」という映画の宣伝がテレビで流れていました。ごらんになったでしょうか。ちょっと派手な日本語のミスがありました。「(主人公が)殺人犯に祭り上げられた」という表現です。
■日本語にうるさい読者諸兄諸姉は、どこが間違いであるか、すでにおわかりでしょう。「祭り上げる」という言葉を辞書(大辞泉)で引くと、「1.尊いものとしてあがめる。「学問の神様として―・げる 2.周囲の人たちが運動して、いやおうなしに高い地位に就かせる。「委員長に―・げる」 3.おだてあげて特別な処遇と思わせる。「功績者に―・げる」」という意味があるようです。どの意味においても、「犯罪者に祭り上げる」という使い方はできそうもありません。「でっちあげる」とか「仕立てあげる」という言葉と混同したのかな。
■映画制作とかテレビの宣伝制作などは複数の人間がたずさわる作業です。自然とチェック機能が働き、この種の過ちは起きにくいようです。今回はなぜこんな間違いが起きたのでしょうか。ひょっとしたら関係者一同揃って日本語音痴なのかな。まさかね。いずれにせよ、CMの試作品を観て問題を指摘できなかった連中は、日本語のお勉強をやりなおしたほうがいいでしょう。
■さて、題の問題は、以前にもご紹介した、「おかしな日本語 正しい日本語」という本に掲載されていた間違いの例です*1。「他人はいざ知らず、僕は…」は、「いざ知らず」が誤りだそうです。正しくは、「いさ知らず」と濁らないらしい。そういえば百人一首の35番目には「人はいさ 心も知らず ふるさとは…」という紀貫之の作品がありました。こちらも濁っていません。
■ご承知のように、意味としては、「〜はともかくとして」というものです。副詞「いさ」に「知らず」がくっついたものらしい。「(下に知らずなどを伴って)さあ、どうだかわからない」と参考資料*2(Weblio古語辞典)にはありました。
■さらに注意として、「『いざ知らず』などと濁るのは近世以降の誤用。『いざ』は別語」とのこと。で、「いざ」を調べてみると、「いざ鎌倉」、「いざさらば」などという「いざ」は「さぁ」という意味の感動詞です。「人を誘うとき、あるいは行動を起こすときに発する語」らしい。こちらにも注意として、「『いさ』は別語」とありました。
■う〜ん。知りませんでした。お恥ずかしい話ですが、素町人もこのクイズ集で2箇所「いざ知らず」を使っていました。あわてて修正しておきました。どこで使っていたかは、「いさ知らず」で検索するとわかりますが、まぁそこまでしなくてもいいでしょう。
■本日は、「おかしな日本語 正しい日本語」からの誤った表現のクイズです。「いさ知らず」ほどではありませんが、誤りを見つけにくい文章もあります。頑張ってください。次の文章の誤りはどこにあるのでしょうか? いざ挑まん。
[い]「ひと様のことをとやかく言える資格などない」(読売新聞 平成2年6月30日「放送塔」)
[ろ]「中井貴一と佐藤浩市が対照的な役を演じ、それぞれに男のいきざまを感じさせる」(読売新聞 平成13年5月15日「放送塔」)
[は]「まるきり盲目とおなじで、と言いがかりたくなったが言葉にならず…」(高橋のぶ子「光抱く友よ 芥川賞全集」)
(答えはずっと下↓ スクロールして下さい)

























★日本語★
正解:各項目を参照してください
説明:[い]「ひと様のことをとやかく言える資格などない」(読売新聞 平成2年6月30日「放送塔」)
■この文章では「とやかく言える資格」が誤りらしい。以前にもご紹介した「たまにしか会える機会がない」とちょっと似ています*2。可能の意味にこだわりすぎた結果なのかな。「とやかく言う資格」で十分ですね。
[ろ]「中井貴一と佐藤浩市が対照的な役を演じ、それぞれに男のいきざまを感じさせる」(読売新聞 平成13年5月15日「放送塔」)
■この文章では「いきざま(生き様)」が問題視されています。「ざま」という言葉は、「様子やありさまをあざけっていう語」だそうです。たしかに「ざまぁみろ」はそうですし、「なんてざまだ」もそうですし、「そんなざまでは予選リーグも突破できまい」もそうでしょう。
□「師匠のいきざまに心を打たれた」は変なわけですね。「師匠の生き方に心を打たれた」が正しいらしい。「男のいきざま」は「男の生き方」のほうがいいのでしょう。
□幸い、弊クイズでは一度も「いきざま」という言葉を使っていません。検索したら1件だけかかりましたが、引用文でした。やれやれ。ちょっとほっとしました。
[は]「まるきり盲目とおなじで、と言いがかりたくなったが言葉にならず…」(高樹のぶ子「光抱く友よ 芥川賞全集」)
■この文章では、「言いがかりたくなったが」がおかしいですね。意味がわかりにくい。「言いがかりをつけたくなった」という意味でしょうか。それとも「言いかけた」という意味でしょうか。
□参考資料*1は文法の面から誤りを指摘していました。「助動詞の『たい』は動詞および助動詞の
『れる、られる、せる、させる』などの連用形に接続して希望の意を表すが、『言いがかり』は名詞であるから、これに直接『たい』を付けるわけにはいかない」。なるほど。そういうことなのか。じゃ直すとすれば、「言いがかりをつけたくなった」のほうなのかな。
□余談ですが、高樹のぶ子という作者は、この作品で芥川賞を受賞したらしい。現在では選考委員をつとめているようです*3。それほどの人でも、こうした間違いをするんだ。なぜかちょっと嬉しくなってしまいました。
◆参考*1:書籍「おかしな日本語 正しい日本語」、土屋道雄著、ISBN4-7601-2279-6、柏書房
◇*2HP「文章の間違い探し。「たまにしか会える機会がない」は何が間違いなの? 町人思案橋・クイズ集/ウェブリブログ」
http://blog.q-q.jp/201402/article_22.html
◇*3HP「芥川龍之介賞 - Wikipedia」
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%8A%A5%E5%B7%9D%E9%BE%8D%E4%B9%8B%E4%BB%8B%E8%B3%9E
◇辞書「字通」白川静、平凡社
◇辞書「日本国語大辞典」小学館
◇Yahoo! J Dictionaries 大辞泉
◇Yahoo! J Dictionaries 大辞林

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コメント(2件)

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なんだか変な宣伝だと思っておりましたが、そうですよね。祭り上げるではなく、仕立て上げられたでありますよね。
派手に聞こえるというので間違いを無視したのかな?
ねこのひげ
2014/04/27 12:53
コメントをありがとうございます。

 「話題づくりのためにあえて間違えた」という可能性ももちろんあるのでしょうね。
 残念ながらあまり話題にはならなかったようで、映画のほうも大ヒットとはいかなかったらしい。恥をかいただけで終わったのはお気の毒でした。
(^^;)
ねこのひげ様<素町人
2014/04/28 07:57

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