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zoom RSS 上田敏(びん)「海潮音」からの読み問題。「黒鶫」はなんと読むの?

<<   作成日時 : 2014/03/31 09:52   >>

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★日本語★
問題:上田敏は、明治から大正にかけて活躍した文学者です。翻訳家としてとくに名を馳(は)せました。東京帝国大学英文科卒業だそうです。講師だった小泉八雲(パトリック・ラフカディオ・ハーン)に英語力を絶賛されたらしい。「英語を以て自己を表現する事のできる一万人中唯一人の日本人学生である」。ベタ褒めですね。卒業後は小泉八雲の後継者として帝大の講師もつとめたようです*1。
■「海潮音」など優れた作品を残しましたが、大正5年(1916年)、腎疾患のためわずか41歳で亡くなっています。あまりに早い死でした。
■以前にも1回、翻訳詩集「海潮音」からの漢字・熟語の読み問題を出題しました*2。今回は2回目です。なにしろ、雅(みやび)な言葉の宝庫なので、ついつい惹かれてしまいます。諦めておつきあいくだされば幸甚(こうじん、幸い)です。
■例題の読みは、黒鶫(くろつぐみ)です。日本にも来る渡り鳥だそうです。英語ではblackbirdだそうです。ビートルズファンには、同名の曲が懐かしいかも。アガサ・クリスティのファンは、名探偵ポワロの「24羽の黒鶫」を思い出すのでしょうか。
■では、さっそくクイズに取りかかりましょう。次の漢字・熟語の読みはなんでしょうか? 青空文庫の「海潮音」の読みを正解にしています。
[い]阿古屋珠
[ろ]栗鼠
[は]蟒蛇
[に]邂逅
[ほ]暴戻
(答えはずっと下↓ スクロールして下さい)



























★日本語★
正解:各項目を参照してください
説明:
[い]阿古屋珠はあこやだまと読む
■阿古屋はそもそもは地名だったらしい。2箇所あるようです。ひとつは知多半島の東海岸の古地名です。もうひとつは山形市郊外の千歳(ちとせ)山の古称とのこと。
□おそらくは知多半島の東海岸で採れた貝が阿古屋貝なのでしょう。最初は食用だけだったのかもしれません。でも、たまに貝殻の間に異物が混入すると、それを核として真珠層が形成されます。で、真珠ができるわけですね。偶然に異物が混入して出来た真珠のことを阿古屋珠と呼んだようです。
□御木本幸吉(こうきち)氏は、異物をわざと混入させ、真珠を養殖することに成功したようです。阿古屋貝にとっては迷惑な話ですが、おかげで、我が国は真珠の輸出でだいぶ潤ったらしい。
□「海潮音」では、ガブリエレ・ダンヌンチオという詩人の「燕の歌」に登場します。「けふは野山も新妻(にひづま)の姿に通ひ、わだつみの波は輝く阿古屋珠(あこやだま)」。「わだつみ」は、海の神様のことであり、転じて海そのものも指すそうです。ここでは海原という意味のようです。
<strong[ろ]栗鼠はりすと読む
■栗鼠は齧歯類の小さな動物ですね。モモンガやムササビ、プレーリードッグなども仲間だそうです。木の実を好んで食べるようです*4。
□「なんでも鑑定団」を観ていたら、昔の鉄砲の飾りには葡萄(ぶどう)に栗鼠の図柄がよく使われると専門家が言っていました。梅に鶯(うぐいす)、竹に虎、鹿に紅葉(もみじ)みたいな名コンビらしい。
□葡萄と栗鼠は、「武道に律す」という駄洒落だそうです。「律す(る)」は、「ある基準によって、物事を考えたり、処理したりする」という意味があります。また、「定める。規定する」という意味もあります。ここでは前者の意味なのかな。現代の人間にはいまひとつピンと来ません。
□「海潮音」では、やはり「燕の歌」で、「弥生来にけり、如月(きさらぎ)は 風もろともに、けふ去りぬ。 栗鼠(りす)の毛衣(けごろも)脱ぎすてて、…」と使われていました。春になったし毛皮のコートはもういらないという意味なのかな。
[は]蟒蛇はうわばみと読む
■「蟒蛇」は大蛇のことだそうです。昔は「オロチ」と呼んでいたのですが、15世紀ごろから蟒蛇が優勢になってきたらしい。ポルトガル語と日本語の日葡辞書(ニッポジショ、慶長(けいちょう)8年(1603年)成立)には、大蛇(ダイジャ)、オロチ(ヲロチ)、ウワバミすべてが記載されていました。ついでにクチナワ(口のついた縄状のもの)という古い言葉もありました。ポルトガル人はずいぶん蛇に関心を抱いているな。
□大酒飲みのこともウワバミと呼びます。大蛇が獲物を丸呑みする様子からそんな表現が出たともいわれます。神話で、須佐之男命(すさのおのみこと)に退治されたヤマタノオロチが、酒が大好物で飲まされて成敗された故事に由来するという説もあるらしい。
□「海潮音」では、ルコント・ドゥ・リイルという詩人の「象」という作品で使われていました。「たまたま見たり、蟒蛇(うはばみ)の夢も熱きか円寝(まろね)して、 とぐろの綱を動せば、鱗(うろこ)の光まばゆきを」。
[に]邂逅はわくらばと読む
■「邂逅」は「カイコウ」と素直に読むこともできます。偶然の出会い、巡り会いのことだそうです。
□詩に使われる「わくらば」という言葉としては、「病葉」という表記が知られています。病気で枯れた葉っぱです。その昔、仲宗根美樹(みき)という歌手が「川は流れる」というヒット曲を放ちました。冒頭の歌詞が、「♪病葉を 今日も浮かべて 街の谷 川は流れる」というものだったそうです。ちょっといい歌詞ですね。こちらを先に覚えた者としては邂逅を「わくらば」と読むのはなかなかなじめません。
□「海潮音」では、ルコント・ドゥ・リイルという詩人の「真昼」という作品で使われていました。「また、邂逅(わくらば)に吐息なす心の熱の穂に出でゝ、」。
[ほ]暴戻はボウレイと読む
■「暴戻」は、「荒々しく、道理に反する行いをすること」だそうです。昔は「暴戻な独裁者」が多かったのでしょうね。現代でもいるのかな。朝鮮半島にはいるようですね。
□「戻」という漢字は、漢和辞書「字通」では「レイ、もとる、つみ、いたる、もどる」という字音・字訓があります。「もとる」というのは「道理に背く」とか「ねじ曲がる、ゆがむ」という意味らしい。「職業倫理にもとる行為」とは、たとえば医者が患者の秘密を漏らしたりすることらしい。たいへんよろしくない行為です。「戻」という漢字は無色透明で中性なのかと思いきや、妙に黒くて後向きな意味を持つ漢字なんですね。
□「海潮音」では、ルコント・ドゥ・リイルという詩人の「大饑餓」という作品で使われていました。「醜悪(しゆうお)、獰猛(どうもう)、暴戻(ぼうれい)のたえて異なるふしも無し」。意味は不明ですが、なんとなく調子が良くて、読めてしまいます。
◆参考*1:HP「上田敏 - Wikipedia」
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%B8%8A%E7%94%B0%E6%95%8F
◇*2HP「上田敏の名著「海潮音」の読み問題。「円」の詩的な読み方はなんなの? 町人思案橋・クイズ集/ウェブリブログ」
http://blog.q-q.jp/200907/article_2.html
◇*3HP「文化庁 | 常用漢字表の内閣告示等について | 「常用漢字表」(平成22年内閣告示第2号)」
http://www.bunka.go.jp/kokugo_nihongo/kokujikunrei_h221130.html
◇*4HP「食べられてしまうドングリの生き残り戦略。どうやって繁殖していくの? 町人思案橋・クイズ集/ウェブリブログ」
http://blog.q-q.jp/201312/article_19.html

◇辞書「字通」白川静、平凡社
◇辞書「日本国語大辞典」小学館
◇Yahoo! J Dictionaries 大辞泉
◇Yahoo! J Dictionaries 大辞林

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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
blackbirdより黒鶫のほうが味がありますね。
blackbirdでは烏を連想させます。
浅田真央の優勝に暴戻している国がありますね〜"(-""-)"
ねこのひげ
2014/04/01 02:45
コメントをありがとうございます。

 浅田真央選手に対する韓国の反応に中国のネットユーザーが多数の批判を寄せている…という記事を見かけました。
 なぜ韓国人はあんなに子供じみているのでしょうか。教育のせいなのかな。理解に苦しみます。
(^^;)
 
ねこのひげ様<素町人
2014/04/01 09:26

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