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zoom RSS 「男の子が申し出て、係員をあっけにとらせた」はどこが誤りなの?

<<   作成日時 : 2014/03/27 08:40   >>

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★日本語★
問題:日本語の間違い探しクイズです。「上気した男の子が申し出て、係員をあっけにとらせた」(毎日新聞昭和53年9月5日「記者の目」)。さて、どこが間違いなのでしょうか?
■「呆気(あっけ)にとられる」という表現は確かにあります。でも、「呆気にとる」という表現はありません。その使役形である「呆気にとらせる」もありえないようです。この場面では、「係員は呆気にとられた」とすれば済みます。あるいは「係員を呆れさせた」でもいいようです。
■余談ですが、カナ漢字変換装置のATOKで「あっけにとらせる」と入力して変換しようとすると、「『あっけにとられる』の誤用」と教えてくれます。成熟したデジタル機器は親切ですね。「あっけにとらせた」という記事が書かれた昭和53年ですと、まだまだ手書きで原稿を書いていたのかな。ちなみに東芝が世界初の日本語ワープロJW-10を発表したのが同年。発売は翌昭和54年(1979年)2月だったようです。
■本日は、「おかしな日本語 正しい日本語」からの日本語の間違い探しクイズです。さっそく挑戦してみましょう。次の文章の誤りを指摘してください。(誤りのない文章が含まれているかもしれませんし、誤りの箇所は複数かもしれません)
[い]「ブロアは彼の頭を見た。そして頭をうなずかせた」(アガサ・クリスティー「そして誰もいなくなった」(ハヤカワ文庫))
[ろ]唯一無二の善きものの所有を願うのあまり、そのほかのあらゆるものは無くもがなと思いこむ(「ゲーテ全集」第八巻)
[は]「船の動きが予め予測できるだけこちらのほうがまだましというものだ」(楡周平「クーデター」)
[に]「ヘリコプターならありえるかもしれませんが」(「週刊文春」平成13年7月12日号)
[ほ]「すっかりぼろぼろになったその3 冊は今も大切に手元にある」(吉本ばなな「キッチン」)
(答えはずっと下↓ スクロールして下さい)

























★日本語★
正解:各項目を参照してください
説明:[い]「ブロアは彼の頭を見た。そして頭をうなずかせた」(アガサ・クリスティー「そして誰もいなくなった」(ハヤカワ文庫))
■「うなずく」は「わかった、承知した」という時に首(頭) を縦に振ることです。「首をうなずかせた、頭をうなずかせた」という表現は聞ききませんね。使役の意味だとすれば、無理矢理うなずかせるような場面では使われるのかもしれません。「銃をつきつけ、うなずかせた」ならわかります。そういう場面以外だと、誤りになります。
□「ブロアは彼の頭を見た。そして、うなずいた」。これで十分でしょう。
[ろ]唯一無二の善きものの所有を願うのあまり、そのほかのあらゆるものは無くもがなと思いこむ(「ゲーテ全集」第八巻)
■名詞に「の」を付けて、たとえば「怒りのあまり」とか「喜びのあまり」と表現することはあります。でも、動詞の終止形に「の」を付けて「怒るのあまり、喜ぶのあまり」とは言わないようですね。「願うのあまり」の「の」は不要らしい。
□WORD2013の校正機能でも、「願うの」の下には赤い波線が表示されました。誤った表現ではないかとプログラムも心配しているようです。
□なお、「無くもがな」は、「無ければいいのに」という意味らしい。「もがな」は願望や希望を表すようです*2。
[は]「船の動きが予め予測できるだけこちらのほうがまだましというものだ」(楡周平「クーデター」)
■「おかしな日本語 正しい日本語」の著者によれば、「予め予測」は重複表現であり、「予め」は不要ということです。たしかにそうなのでしょう。
□でも素町人は、重複表現は罪が軽いと思っています。ムキになって排除するほどのものではない。第一に誤りではありません。「馬に乗馬した」。「馬から落ちて落馬した」。たしかに文の流れは悪くなるかな。でも、ときには誤解を防ぐという効果があるかもしれません。「お金を入金する」。人一倍丁寧なわけですよね。芸術性の問題はわかりかねますが、われら一般人が作文するときには、そんなに恐れなくてもいいでしょう。
[に]「ヘリコプターならありえるかもしれませんが」(「週刊文春」平成13年7月12日号)
■これは「得る」という漢字の読みの問題なのかな。「ありえる」が問題視されています。正しくは「ありうる」。こちらのほうが落ち着きますね。「ありえる」ではディズニー映画「リトル・マーメイド」の主人公みたいです。
□「ありえない」の反対語だから「ありえる」。そう考える人が多いのかもしれません。
□「考え得る」の場合ですと、「考ええる」の表記も見慣れないし、発音もしにくい。だから「考えうる」にほぼ統一されているようです。「ありえる」もなるべく排除して「ありうる」に統一したほうが、すっきりするのかな。
[ほ]「すっかりぼろぼろになったその3 冊は今も大切に手元にある」(吉本ばなな「キッチン」)
■これは、最初に読んだとき、何が間違いなのかわかりませんでした。でも、少し落ち着きの悪さは感じました。「に」という助詞が連続するのがいけないのかな…とも思いました。
□参考資料*1の指摘は、末尾の「ある」が問題というものでした。「大切に」を受ける言葉としては不適当らしい。書き直せば、「すっかりぼろぼろになったその3 冊は今も大切に手元に保管してある」。なるほどね。これなら引っかかりません。
□「ある」は補助動詞として、たとえば「しまう(仕舞う)」という動詞について「大切にしまってある」のように使われることが多いわけですね。「大切に」を直接「ある」で受けて「大切にある」とは言えないようです。間に位置を示す句「手元に」とか「引き出しに」とかを入れても、不自然であることに変わりはないようです。
◆参考*1:書籍「おかしな日本語 正しい日本語」、土屋道雄著、ISBN4-7601-2279-6、柏書房
◇*2HP「現代に生き残る文語表現、「あらずもがな」、「言わずもがな」ってどんな意味なの? 町人思案橋・クイズ集/ウェブリブログ」
http://blog.q-q.jp/200908/article_6.html
◇辞書「字通」白川静、平凡社
◇辞書「日本国語大辞典」小学館
◇Yahoo! J Dictionaries 大辞泉
◇Yahoo! J Dictionaries 大辞林

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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
アガサ・クリスティは200億冊の本が世界で販売されたそうで、ギネス記録だそうです。
ねこのひげ
2014/03/30 06:23
コメントをありがとうございます。

 200億冊は凄いですね。ミリオンセラーではなく、ビリオン(10億)セラーも遙かに超えているのかな。
 そのうちの数冊は素町人の担当分です。でも面倒くさがりなので、DVDなどで眺めるほうが楽です。読まずに放置している本がどこかにあります。
(^^;)
ねこのひげ様<素町人
2014/03/30 21:16

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