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zoom RSS 大家といえば親も同然。江戸時代の大家さんはどんな人なの?

<<   作成日時 : 2014/03/19 08:39   >>

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★歴史★
問題:大家という表記は、「タイカ」、「タイケ」、「オオカ」、「おおや」などと読めます。
■「タイカ」は文字通り大きな家。また、ある分野に秀でた技能や見識を持つ人をいいます。芸術院会員だったり文化勲章をもらっていると「○○の大家」などと呼ばれます。「タイケ」は金持ちの家とか、社会的地位や身分の高い家柄を指すらしい。
■「オオカ」と読むと苗字になるのかな。大家友和投手を思い出します。横浜ベイスターズをふりだしに、MLBのレッドソックス、マリナーズなど10球団近くを渡り歩きました。昨年は富山サンダーバーズに所属していましたが、今年はまたトロント・ブルージェイズ傘下のマイナーリーグに挑戦するようです。典型的なジャーニー・マンなのかな。
■そして「おおや」です。いつの時代に生まれた言葉なのか、「大家といえば親も同然。店子(たなこ)といえば子も同然」という決まり文句があります。血縁はないのに、元は他人なのに一親等の関係になるようですね。でもきっと相続はできないし、介護の義務もないのでしょう。
■江戸時代の大家さんは、現代の大家さんとは少しちがった立場のようです。では、当時の大家さんの説明文として正しいのは次のどれでしょうか? 参考資料*3(書籍「江戸博覧強記」)に記されていた説明を正解とします。(正しい説明はないかもしれませんし、複数かもしれません)
[い]大家さんは、いわゆる「居付き地主」であり、その場所に在住してあまった家屋を貸している
[ろ]大家さんは、不在地主であり、所有する土地に建てた家屋を貸している
[は]大家さんは、借地に建物を建てて貸している
[に]大家さんは、建物の管理を地主から請け負い、家賃の徴収も代行している
(答えはずっと下↓ スクロールして下さい)

























★歴史★
正解:[に]大家さんは、建物の管理を地主から請け負い、家賃の徴収も代行している
説明:大家さんというのは、土地と建物の所有者であり、建物を賃貸しして利益をあげている。そんな風に思っていました。現代の大家さんは、おそらくそんな人が多いのでしょうね。
■江戸時代の大家さんは、単なる雇われ人だったようです。別名を家守(やもり)、家主(いえぬし)ともいうらしい。「家守は、店子から地代・店賃を徴収して地主に納めるほか、店子に町触を伝達したり、店子の転入や転出を把握するなど、店子の管理全般にあたった」*3。参考資料*1にも、廃語と断り書きをつけて、「江戸期に長屋などで家主から借手の世話を任された者」という定義が記されていました。ここでの「家主」は現在の意味でのオーナーなのでしょうかね。
■なお、廃語とは死語に似ていますが、「言葉そのものは使われているけれど意味としては現在は通用しない」という意味あいがあるようです。言葉そのものも使われていないと死語と呼ぶらしい。
■家主という呼び名には所有権のにおいがします。でも、江戸時代の家主は所有権はなかったようです。地主という存在が別にいるらしい。「町屋敷を所持する人」とのこと*3。土地や家屋の所有権は地主のものだそうです。地主の中にもそこに住んでいる居付き地主と不在地主がいるらしい。居付き地主をとくに家持(いえもち)と呼んだそうです。
■江戸時代も初めのうちは居付き地主が多かったようですが、不動産の売買が行なわれるようになると、不在地主が多数派になったらしい。不在地主が多くなると、そもそも地主がになうべき町の運営も家主(大家さん)にまかせられるようになったようです。
■家守、つまり大家さんには、専業の人とほかの生業を兼ねる人がいたようです。収入源は、地主から支給される給金が第一らしい。他には、樽代(転入してきた店子からの祝儀)、節句銭(店子からの五節句の祝儀)、下肥代(しもごえだい)などがあったそうです。
■落語に出てくる貧乏な裏長屋では、家賃はほとんど滞納されちゃうし、祝儀なんて入ってこない。もっぱら「糞取り(ふんどり)」、つまり下肥代だけを目当てにしているなんていうのがあります。三代目桂米朝師の落語「貧乏花見」の枕で語られていました。昔は、近隣の農家が町の人の排泄物を購入したのですね*4。天然有機肥料の原料にしました。その野菜を町の人が食べてカスが排泄される。理想的なリサイクルです。
■それにしても「大家といえば親も同然」というのは、どこから出てきた言葉なのでしょうか。管理を委託されている業者と借家人という関係なのに。ちょっと不思議ですね。
■参考資料*5「家主(いえぬし)さんの大誤算」には次のような記述がありました。少し長いのですが、引用します。
「さらに具体的に言えば、家主は落語でおなじみの『大家といえば親も同然、店子といえば子も同然』と、大家とも呼ばれまた家守または同じ文字を書いて『やもり』とも呼ばれた。またこれらの呼称を一括して「差配」とも「差配人」とも呼んだ(なお地借、すなわち「家持」が地主の代行、つまり家主業務をしたケースもあった)。なぜこの様な存在が『親も同然・子も同然』だったかと言えば、すでに第一図で見てきたように、現在の意味での市民権が無かった地借・店借層の、都市住民としての公的立場を地主(町人) に代わって保証し、または代弁する事が家主の重要な役目だったからに他ならない。いうならば徳川の身分制度時代には、本当の親子関係は私的なものだが、公的な親子関係は家主対店子の間に成立していたのである」。
■江戸の町における市民権は、本来は地主にしかなかったようです。他の者は自らの公的な立場を自分の地主に保証してもらっていたらしい。勝手な想像ですが、たとえば「お恐れながら」と訴訟を起こすとき、本来は地主が付き添って行かねばならないのですが、不在地主の場合には大家さんが付き添った。いざというときに頼らねばならないので、「大家といえば」の表現が生まれた…のかもしれません。
◆参考*1:HP「大家 - ウィクショナリー日本語版」
http://ja.wiktionary.org/wiki/%E5%A4%A7%E5%AE%B6
◇*2HP「大家友和 - Wikipedia」
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A4%A7%E5%AE%B6%E5%8F%8B%E5%92%8C
◇*3書籍「江戸文化歴史検定公式テキスト上級編【江戸博覧強記】」初版160〜161頁、江戸文化歴史検定協会編、ISBN978-4-09-626602-1、小学館
◇*4HP「便所にまつわる謎かけ。「悪態とかけて肥い取りと解く」。その心は? 町人思案橋・クイズ集/ウェブリブログ」
http://blog.q-q.jp/200807/article_27.html
◇*5書籍「家主(いえぬし)さんの大誤算」初版49頁、鈴木理生(まさお)著、ISBN4-385-43169-8、三省堂書店

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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
現代のマンションの管理人のようなものですね。
長屋でのもめ事は、大家さんのところで済ませることが多かったようで、それでダメなら大家が付き添って町役人のところで・・・ということが多かったようですね。
奉行所まではなかなか行かなかったようですね。
役人の人数も少なかったようですしね。
ねこのひげ
2014/03/30 06:47
コメントをありがとうございます。

 大家さんはたしかに今でいえばマンションの管理人さんの立場ですね。
 それにしても、町人と呼べるのが、実は選ばれた人…地主さんだけだったというのは、まるで知りませんでした。ちょっと恥ずかしい。
(^^;)
ねこのひげ様<素町人
2014/03/30 21:58

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