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zoom RSS 文章の間違い探し。「たまにしか会える機会がない」は何が間違いなの?

<<   作成日時 : 2014/02/27 08:20   >>

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★日本語★
問題:以前にもご紹介した、「おかしな日本語 正しい日本語」という本に掲載されていた間違いの例です*1。「たまにしか会える機会がない」は、文法としては間違っていないのかもしれません。でも、なんとなくすっきりしない。「可能」を表したいという気持ちが先走っています。全体と部分で表現が重なっています。「たまにしか会う機会がない」。あるいは「たまにしか会えない」。これで十分ですね。
■似たような例がいくつもあるらしい。
「踏み切れる勇気」→「踏み切る勇気」
「歌など歌っていられる余裕」→「歌など歌う余裕」
「正しく書ける能力」→「正しく書く能力」
いずれも、後者のほうがすっきりしています。
■本日は、同書からの出題です。次の文章にある誤りを探し、正しい表現に訂正してください。(誤りはないかもしれませんし、複数箇所あるかもしれません)
[い]「実質的な懲罰の重さを味合わせるのが筋というもんじゃ」(『自由』平成13・1月号 )
[ろ]「うずくまったところを、さらに足げりにしたという」(『読売新聞』平成11・7・18「生徒取り違え体罰」
[は]「ガラス越しに週末のその交差点を足しげく行き来する人の波がよく見えた」(楡周平『Cの福音』)
[に]「いの一番に援助の手をさしのべてくれた日本の善意に、足で砂をかけるような行為はとれない」(『知識』平成3・1)
[ほ]「荊州へ攻め入るには、いずれにしても足手まとい、まず先に、新野を叩きつぶしておくのは無駄ではありますまい」(吉川英治歴史時代文庫『三国志』(4))
(答えはずっと下↓ スクロールして下さい)

























★日本語★
正解:各項目を参照してください
説明:
[い]「実質的な懲罰の重さを味合わせるのが筋というもんじゃ」(『自由』平13・1 )
■この文章では、「味合わせる」という言葉が誤りのようです。「味合わせる」が成立するには、「味合わす」という動詞が存在することが前提らしい。でも、調べてみても「あじあわす」という動詞は見つかりません。本格の辞書「日本国語大辞典(小学館)」にも立項されていないようです。
□「(相手に)味わってもらいたい」という意味であれば、「あじわわせる」とするしかないようです。これは「あじわう」という動詞の未然形に使役の助動詞「せる」を付けたものらしい。しかし、どちらにせよ、あまりピンと来る表現ではない。すっきりしません。「実質的な懲罰の重さを思い知らせるのが筋というもんじゃ」としたほうがいいような気がしますね。
[ろ]「うずくまったところを、さらに足げりにしたという」(『読売新聞』平11・7・18「生徒取り違え体罰」
■この文章では、「足げりにした」が少し不自然です。「足蹴(あしげ)にする」という決まり文句があります。酷い仕打ちや扱いをすることですね。どちらかといえば比喩として使われる言葉です。この表現に引きずられて「足蹴りにした」と書いてしまったのかな。
□ネットで見られる「大辞林」(第三版)には、「足蹴り」を「(格闘技で)足で相手を蹴ること」という説明がありました。ホントにそんな言葉があるのでしょうか。ちょっと疑わしい。格闘技の業界用語なのかもしれませんが、一般には通用しないと感じます。人間が蹴る場合には、足を使うしかありません。わざわざ「足蹴り」という単語を使うまでもありません。
□回して蹴るから回し蹴り。飛んで蹴るから飛び蹴り。膝で蹴るから膝蹴り。これらの言葉の存在価値ははっきりしています。でも足蹴りはね。知らない人は、足「を」蹴るローキックのようなものと間違えるかもしれません。
□「足で蹴る」で十分でしょう。「うずくまったところを、さらに足で蹴ったという」。すっきりしています。ちなみに「日本国語大辞典(小学館)」には「足蹴り」は立項されていません。ネットで見られる「大辞泉」にも立項されていないようですね。
[は]「ガラス越しに週末のその交差点を足しげく行き来する人の波がよく見えた」(楡周平『Cの福音』)
■この文章では、「足繁く(しげく)」が間違いです。「受付嬢が美人なので、営業マンたちはA社に足繁く通った」。こんな表現ならわかります。「足繁く」は「(おなじところへ)たびたび行くさま」だそうです。主語は1人もしくは特定少数の者なのかな。不特定多数の人が「足繁く」というのは聞いたことがありません。
□「ガラス越しに週末のその交差点を行き来する人の波がよく見えた」。このほうがはるかにすっきりしています。筆者は「多くの人が頻繁に」という意味を表したかったのかもしれません。でもそれは「人の波」という表現で十分だと思われます。
[に]「いの一番に援助の手をさしのべてくれた日本の善意に、足で砂をかけるような行為はとれない」(『知識』平3・1)
■この文章では、「足で砂をかける」が誤りのようです。正しくは、「後足(あとあし)で砂をかける」らしい。
□「後足で砂をかける」は、「恩義のある人を裏切るばかりか、去りぎわにさらに迷惑をかけることのたとえ」だそうです。犬や猫の動作に由来するらしい。連中は脱糞後に後ろ足で砂をかけるようです。その仕草は、人間が汚い物に唾を吐きかける時のように見えるらしい。やられた側は大変不快です。で、さんざん世話になっておきながら恩を忘れ、去り際に迷惑をかけるような行為を「後足で砂をかける」と表現したらしい。
[ほ]「荊州へ攻め入るには、いずれにしても足手まとい、まず先に、新野を叩きつぶしておくのは無駄ではありますまい」(吉川英治歴史時代文庫『三国志』(4))
■この文章では、「足手まとい」が間違いです。「足手まとい」は、「手足にまつわりついて自由な活動の妨げとなること」だそうです。たとえば子どもが足手まといだからと施設に預けちゃう人がいます。さらには女房が足手まといだからと捨てちゃう人もいます。虞美人は敗走する項羽の足手まといにならぬように自ら命を絶った…とも言われます。いずれにせよ、足手まといになるのは身内とかごく身近にいる者です。遠くの地の敵とか城などには使わないようです。
□書きかえてみました。「荊州へ攻め入るには、新野が危険な要素になる。まず先に叩きつぶしておくのは無駄ではありますまい」。あまりこなれた文ではありません。でも、少なくとも誤りは含んでいないと思われます。
◆参考*1:書籍「おかしな日本語 正しい日本語」、土屋道雄著、ISBN4-7601-2279-6、柏書房
◇辞書「字通」白川静、平凡社
◇辞書「日本国語大辞典」小学館
◇Yahoo! J Dictionaries 大辞泉
◇Yahoo! J Dictionaries 大辞林

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文章の間違い探し。「他人はいざ知らず、僕は…」は誤った表現なの?
●●●★日本語★●●● 問題:つい最近、今年の3月〜4月ごろです。「白ゆき姫殺人事件」という映画の宣伝がテレビで流れていました。ごらんになったでしょうか。ちょっと派手な日本語のミスがありました。「(主人公が)殺人犯に祭り上げられた」という表現です。 ■日本語にうるさい読者諸兄諸姉は、どこが間違いであるか、すでにおわかりでしょう。「祭り上げる」という言葉を辞書(大辞泉)で引くと、「1.尊いものとしてあがめる。「学問の神様として―・げる 2.周囲の人たちが運動して、いやおうなしに高い地位に... ...続きを見る
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