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zoom RSS 表外の読み。「愛い」はなんと読むの?

<<   作成日時 : 2014/01/27 07:47   >>

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★日本語★
問題:ご存知のように、常用漢字表に掲載されている漢字の、表には掲載されていない読みを表外の読みと呼びます。多くの場合は訓読みですね。多くの場合は、漢字の意味を知っていると推測がつく読みです。
■題の問いの答えは、「うい」です。「愛いやつ」などと使われますね。お殿様が手下に言う場面を見たことがあります。客が女郎に言ってもよさそうな言葉ではありますが、そんな使われ方は見たことがないな。
■本日は、漢検1級の問題集から拾い集めた表外の読みの問題です。表外の読みに関する次の説明で正しいのはどれでしょうか? (正しい選択肢はないかもしれませんし、複数かもしれません)
[い]「圧」という漢字は、「へ」とも読む
[ろ]「違」という漢字は、「か」とも読む
[は]「栄」という漢字は、「はや」とも読む
[に]「延」という漢字は、「は」とも読む
[ほ]「火」という漢字は、「ふ」とも読む
(答えはずっと下↓ スクロールして下さい)



























★日本語★
正解:[い]、[ろ]、[は]、[に]が正しい
説明:[い]「圧」という漢字は、「へ」とも読む(○)
■「へ」と読むのは、「圧し折る」という場合のようです。「首を圧し折る」とか「バットを圧し折る」など、荒っぽい場面が想像されます。その他、「押し合い、圧し合い」という場合にも「へ」と読むようです。
□「圧」という漢字は、常用漢字表では「アツ」という音読みだけです。漢和辞書「字通」では「アツ、オウ、エン、おさえる、しずめる」という字音・字訓があります。
□「壓」という漢字が旧字だそうです。「土」を除いた部分は、「犬を生け贄にして呪禁(ジュゴン)を施し、清め祓う」という意味があるそうです。呪禁は人魚に似た哺乳類ではなく、「まじないを唱えて物の怪などの災いをはらう」という意味らしい。
□呪力で悪いことが起こらないように押さえ込むことを「壓」といい、物理的な力で押さえ込むことを「圧」といったようです。現代では、呪力のほうはあまり使われなくなっていますね。実効性が疑われているのかな。たしかに、ノロウイルスの蔓延を防ぐには、呪力よりも手洗いや塩素系消毒剤の力を借りるほうが確実かもしれません。
[ろ]「違」という漢字は、「か」とも読む(○)
■これは難しい。「斜違い」は「はすかい」と読むそうです。「筋違い」は「すじかい」と読むらしい。そんな場合には、「違」は「か」と読めるわけですね。
□江戸城の外郭門の1つに「筋違門(すじかいもん)」というのがあったそうです。神田須田町1丁目といいますから、秋葉原の近く、昔の交通博物館の向かいあたりらしい。中山道を押さえる重要な門だったとのこと*3。五代目古今亭志ん生の落語「黄金餅」でも、黄金の詰まった死体を運ぶ道筋の紹介で、「…そのころ、堀様と鳥居様というお屋敷の前をまっ直ぐに、筋違(すじかい)御門から大通り出まして、神田須田町へ出て…」と、チラッと紹介されています。
□「違」という漢字は、常用漢字表では「イ、ちが(う)、ちが(える)」という音読み・訓読みがあります。漢和辞書「字通」では「イ、めぐる、たがう」という字音・字訓があります。
□「違」という漢字の「韋」という部品は、現在では「なめしがわ」という意味があるそうです。そもそもは「口」という城郭を表す部品の上下に左行・右行の足を描いたものらしい。たしかに、口の上下に似たような形の部品が置かれています。「(城郭の外側を)めぐる」という意味らしい。さらに上下に異なる方向にめぐるので「たがう」という意味も生まれた…と説明されていました。
[は]「栄」という漢字は、「はや」とも読む(○)
■「口々に話題にしてさわぐ」という意味の「もてはやす」。「持て囃す」とも書きますが、ネットの「大辞林」によれば、「持て栄す(持て栄やす)」とも表記するようです。
□「栄」という漢字は、常用漢字表では「エイ、さか(える)、は(え)、は(える)」という音読み・訓読みがあります。「見栄え」という場合は「は(え)」、「赤いネクタイが青い上着に栄える」という場合には「は(える)」という読みになるようです。漢和辞書「字通」では、「エイ、はな、さかえる」という字音・字訓があります。旧字は「榮」です。榮倉奈々嬢の姓にも使われていますね。「庭の照明(庭燎、にわび)の明るくはなやぐ意を草木に及ぼしてその花をいう」とのこと。そこから景気のいい意味が派生していったのかな。
[に]「延」という漢字は、「は」とも読む(○)
■「延え縄(延縄)」という場合には、「は」と読むそうです。延え縄はマグロなどを獲る漁法の1つです。幹になる縄を海中に浮かせて伸ばしていきます。場合によっては100kmを越えるような長さにするらしい。幹の縄から一定の距離をあけて枝の縄を海中に垂らしていきます。縄の先には餌をつけた針をつけておくのかな。
□「延」という漢字は、常用漢字表では「エン、の(びる)、の(ばす)、の(べる)」という音読み・訓読みがあります。漢和辞書「字通」では「エン、はかみち、のびる、のばす、つらなる」という字音・字訓があります。
□「はかみち」とは墓所に通じる道の意味らしい。古墳などでは玄室と呼ばれる部屋に遺骸や遺骨を納めるそうですが、そこに通じるトンネルが「はかみち」とのこと。そこからなぜ「延びる」という意味がうまれたのかはわかりません。掘るのが大変で完成予定日に間に合わず、竣工式が延期につぐ延期だったからでしょうか。きっと違うな。
[ほ]「火」という漢字は、「ふ」とも読む(×)
■「火」を「ふ」と読む事例は参考資料*1には記されていませんでした。
□「火」という漢字は、常用漢字表では「カ、ひ、ほ」という音読み・訓読みがあります。「ほ」は「火影」などの場合に使われます。漢和辞書「字通」では「カ、ひ」という字音・字訓だけが掲載されていました。
□当て字では、「こ」という読みがあります。どんな場面で使われるのか、おわかりでしょうか。これは難しいですね。「火燵(こたつ、炬燵とも)」という場面です。
□昔の火燵は炭団(タドン)や炭を使ったそうです。布団などの燃えやすいものと火が近い場所にあったのですから、なかなか危険な状況でした。現代では電気式でめったに火事にはなりません。切り替わったのは、素町人が子供のころ、昭和30年代かな。
□暖めるエネルギーは変わっても、火燵のなかは見えないという事情はかわりません。火燵のなかで好いた者どうしが手を握り合ったりするのは、昔も今もおなじなのでしょう。床暖房などに比べれば原始的な設備ですが、同時に色っぽい設備でもありますね。
◆参考*1:書籍「本試験型 漢字検定1級試験問題集09年版」成美堂出版編集部編、ISBN978-4-415-20421-5、成美堂出版
◇*2HP「文化庁 | 常用漢字表の内閣告示等について | 「常用漢字表」(平成22年内閣告示第2号)」
http://www.bunka.go.jp/kokugo_nihongo/kokujikunrei_h221130.html
◇*3書籍「江戸文化歴史検定公式テキスト上級編【江戸博覧強記】」初版61頁、江戸文化歴史検定協会編、ISBN978-4-09-626602-1、小学館
◇辞書「字通」白川静、平凡社
◇辞書「日本国語大辞典」小学館
◇Yahoo! J Dictionaries 大辞泉
◇Yahoo! J Dictionaries 大辞林

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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
時代小説を読んでいると「憂い奴じゃ」という表現が出てきて、これはなんだっけ?と思ったことがありますが。
志村さんのバカ殿様がよく使ってますね。
ねこのひげ
2014/01/28 01:51
コメントをありがとうございます。

 「愛い奴」というのは殿様だけが使う言葉なのかもしれませんね。以前に弊クイズでちょっと触れました「役割語」にも該当するのかな。
(^^;)
ねこのひげ様<素町人
2014/01/28 22:39

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