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zoom RSS 「明日卒園式に行く」という文章のどこにイチャモンがつけられるの?

<<   作成日時 : 2014/01/23 08:38   >>

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★日本語★
問題:日本語は難しい。半世紀以上も日本語で文章を書いてきましたが、完全な文章を書いたことがない。流れが悪かったり、 論理や論点が不鮮明だったり、言葉遣いや漢字、ときにはテニヲハを間違えたり。さまざまな失敗をします。で、批判されます。欠点を指摘されるのはちょっと嫌です。でもそういった意見は実は親切であり、ありがたいこと…と受けとめるべきなんでしょうね。器が小さいのでなかなかそうもいかないのですが。
■参考資料*1の「おかしな日本語 正しい日本語」という書籍は、他人の言葉遣いの誤りを指摘している本です。とても親切であり、ありがたい指摘なのでしょう。とはいえ一種の悪口です。嫌味な内容になりがちな企画です。でも読んでいると納得できてしまう。不思議な力がありました。
■本日は、参考資料*1で見つけた、言葉遣いに対するさまざまな難癖といいますか、イチャモンについてのクイズです。まずは題の問題から。この文章では「卒園」という言葉が問題なんだそうです。いまは卒園という言葉を平気で使うのですが、そもそもそんな言葉遣いは間違いだと著者は主張しています。保育園とか幼稚園の卒業式に行くと言うのが正しいそうです。なぜでしょうか。
■「卒」という漢字は、漢和辞書「字通」によれば「ソツ、しぬ、おわる、ついに」といった字音・字訓があります。卒園では保育園や幼稚園が経営不振で閉園するように感じられます。卒業ならば修業が終わることになります。小学校から大学院まですべて卒業であり、卒小・卒院などとは呼びません。中学校を終える思春期の子供たちが卒中を発症したら大変ですし。
■では本番です。下の言葉遣いはそれぞれ間違ったところがありますが、どこがいけないのでしょうか?
[い]「鍋島直茂ほどの武将も狐に鼻をつままれた面持だった」
[ろ]「別に悪い人でも乱暴な男でもなささうだけれど、ちよつと気のおけないところがあるのよ」
[は]「弁慶」という時代ものを、清水の舞台からとびおりたつもりで描き…」
(答えはずっと下↓ スクロールして下さい)

























★日本語★
正解:各項目を参照してください
説明:
[い]「鍋島直茂ほどの武将も狐に鼻をつままれた面持だった」
■この文章は遠藤周作氏の「宿敵」という小説らしい。角川文庫にあるそうです。
□正しくは、「狐につままれた面持だった」とすべきだそうです。「狐につままれる」は、「狐に化かされる。また、意外な事が起こって何が何だかわからず、ぽかんとする」という意味とのこと。辞書には例として「狐につままれたような顔」という句が掲載されていました。
□嫌われる・厭がられるという意味の「鼻をつままれる」。あるいは、真っ暗で一寸先も見えないという意味の「鼻をつままれてもわからない」という決まり文句と「狐」の決まり文句がごっちゃになってしまったのでしょうか。遠藤氏ほどの大作家でも、こうした言葉遣いをしてしまうことがあるようですね。
[ろ]「別に悪い人でも乱暴な男でもなささうだけれど、ちよつと気のおけないところがあるのよ」
■正しくは「…ちょっと気が許せないところがあるのよ」というべきだそうです。
□「気の置けない」という言葉は間違った使われ方をする決まり文句番付では大関か関脇ぐらいの位置を占める大物です。本来の意味としては「相手に気づまりや遠慮を感じさせないさま」です。打ち解けられる人、多くの場合家族や親友や恋人は「気の置けない人」です。ところが、逆に「気づまりである」という意味に解する人が少なくありません。
□文化庁・平成18年度(2006年度)・「国語に関する世論調査」によれば、「その人は気が置けない人ですね」という例文を「相手に気配りや遠慮をしなくてよいこと」と正しく受け止める人が42.4%。「相手に気配りや遠慮をしなくてはならないこと」と誤った解釈をする人が48.2%だったそうです。誤解派が多数派です。現状では拮抗していますが、若い人ほど誤解派が多いそうで、今後は多数派の解釈が正解となっていく可能性も否定できません。いやだな。
□[ろ]の文章は、徳田秋声(しゅうせい)という作家の「仮装人物」という作品中のものらしい。「現代文学大系」に収載されていたとのこと。青空文庫にもありました*4。徳田秋声は、明治4年(1871年)に生まれ、昭和18年(1943年)に亡くなっています。そんな昔から「気の置けない」は誤解されやすい言葉だったのかな。
[は]「弁慶」という時代ものを、清水の舞台からとびおりたつもりで描き…」
■これは、手塚治虫氏の「ぼくはマンガ家」という文にあった表現らしい。角川文庫で読めるようです。
□正しくは、「…清水の舞台からとびおりるつもりで描き…」だそうです。言われてみれば、「飛び降りたつもり」と過去形にするのはちょっと変なのかな。
□Wikipediaによれば、清水の舞台から飛び降りた事件は、元禄(げんろく)7年(1694年)から元治(げんじ)元年(1864年)まで170年間に234件があったらしい。生存率は85.4%とありました。意外に高いですね。木の枝などに引っかかるのかな。なお、生存率の数字から推測するに、2人以上が一緒に飛び降りた例もあるようです。
◆参考*1:書籍「おかしな日本語 正しい日本語」、土屋道雄著、ISBN4-7601-2279-6、柏書房
◇*2HP「文化庁 | 文化庁月報 | 連載 「言葉のQ&A」」
http://www.bunka.go.jp/publish/bunkachou_geppou/2011_12/series_09/series_09.html
◇*3HP「清水の舞台はなんのために設けられたの?」
http://blog.q-q.jp/201207/article_6.html
◇*4HP「図書カード:仮装人物」
http://www.aozora.gr.jp/cards/000023/card1699.html
◇*5HP「常用漢字表:文部科学省」
http://www.mext.go.jp/b_menu/hakusho/nc/k19811001001/k19811001001.html
◇辞書「字通」白川静、平凡社
◇Yahoo! J Dictionaries 大辞泉
◇Yahoo! J Dictionaries 大辞林
◇辞書「日本国語大辞典」小学館

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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
気が付かないで使っていて、いつの間にかそれが本当になってしまうこともあるようで・・・
「嘘も百回言えば本当になる』なんて言い方もありますな。

清水の舞台から飛び降りて願いが叶うなら誰も苦労はしませんな〜
ねこのひげ
2014/01/26 07:45
コメントをありがとうございます。

 ある男優さんと女優さんの壊れてしまったご夫婦の息子さんが、男優さんとの親子関係がないという噂話が流れていましたね。
 この場合にはDNA鑑定で客観的事実がわかってしまいます。つまり何回嘘をついても鑑定結果の前には無駄だということですね。

 歴史上の話については嘘を繰り返す場合があります。鑑定しにくいからなのでしょう。
 歴史という学問は、一応人文科学のうちに含まれるようではありますが、実は科学ではないと悪口をいわれるのも、客観的事実で裏付けされていない主張がのさばっているからなのでしょう。
(^^;)
ねこのひげ様<素町人
2014/01/26 12:06

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