食べられてしまうドングリの生き残り戦略。どうやって繁殖していくの?

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★科学★
問題:ほとんどの植物は、大地に根を生やしています。移動は困難です。場合によっては淡水や海水のたまった底に根を生やすものもいます。こちらも動くことはできません。
■固定されているという悪条件がありますので、種子を散布させることは、植物にとっては大きな課題です。生育する範囲を広げるには、種をなるべく広くばらまくしかありません。
■さまざまな方法が開発されてきました。種子をはじき飛ばすのがいます。たとえばかたばみ。クローバーと間違えられることの多い小さな草だそうです。種が成熟すると鞘(さや)から1~2mぐらいは平気で飛び出すとのこと。種子を包む袋に弾力があり、破れるときに種子に力が加わるそうです*2。
■風や水に種子を運んでもらうものもいます。タンポポは風を利用することで知られていますね。キンギョモと呼ばれる水草などは水流を利用して広範囲に種子を散布するようです*3。
■動物にくっついて種子を散布するものもいます。オナモミと呼ばれる草の実は、豆形をした種子の周囲に針がたくさん生えています。超小型のハリセンボンみたいです。針には鉤がついています。子供のズボンにもくっつきますし、野良猫の足にもまつわりつきます。移動したあとで条件のいい地面に落ちることができれば、そこに新しい生育地ができるかもしれません。
■余談です。オナモミとよく似た形・機能を持つ野生ゴボウの実をじっくり観察した人がいます。のちにマジックテープ(面ファスナー)を発明することになったようです*4。
■動物を利用する散布では、食べられることで広くばらまく方法もあります。この方法には2種類あります。果肉はおいしいけれど、肝心の種子の部分は殻などで保護されているので糞とともに排出され、そこで生育する機会が生まれるという方式があります。たとえばサクランボ。あるいは桃などもそうでしょうか。種子の部分は固くてまずいので、食事中に捨てられるものもあります。ブドウやスイカ、リンゴやナシなどもそうなのかな。
■もうひとつ。植物が種子本体を食べてもらうという方式もあります。被食散布と呼ばれるとのこと。ドングリはこの方式だそうです。ドングリの場合、種子を拾い集めて冬の食料にする動物がいます。リスやネズミなどの小型の哺乳類ですね。またカケスなどの鳥類もそうらしい。これらの動物は、食料を備蓄しておく癖があるそうです。貯食性と呼ばれる性格のようです。
■秋になり、ドングリがなって地面にバラバラと落ちます。貯食性のある動物が拾って地下などの食料庫に貯めていきます。もし食べきれなかったら、食料庫から発芽するかもしれません。また食料庫の持ち主が別の捕食者に食べられてしまい、所有者不在になってしまうかもしれません。この場合も、食料庫からの発芽が期待できますね。
■被食散布では種子自体が食べられてしまいます。食べ残された種子だけが生き残ることになります。運悪く全部食べられてしまったら、せっかく一年分のエネルギーを費やして製作した次世代への架け橋は、すべて無に帰するわけですね。
■では、ここで問題です。ドングリの親たちは、生き残る機会を増やすために、どんな工夫をしているのでしょうか?
[い]食べられる量を越えるほどにたくさんのドングリをつくる
[ろ]ドングリの豊作・凶作を意図的につくる
[は]ドングリの表面に植物性アルカロイドを含ませ、時間が経たないと食べられないようにする
[に]むやみに固いドングリをいくつか混ぜて、必ず生き残れるようにする
(答えはずっと下↓ スクロールして下さい)

























★科学★
正解:[ろ]ドングリの豊作・凶作を意図的につくる
説明:食べきれないほどのドングリを毎年つくったとしても、「食糧事情がよくなったぜ」と動物たちが集まってくるだけですね。ドングリの親、ブナとかクヌギなどの木はやがて疲れてしまうでしょう。
■で、何年かに一度、豊作の年をつくるようです。貯食性の動物たちは、その年も必死になって食料庫に貯め込んでくれるようです。地表にはほとんど残らず、大部分が地下に運ばれます。でもその量は、とても食べきれないので、そこから発芽する機会が増えます。
■何年かに1回だけの豊作なので、動物がやたらと集まってくることもなく、次の豊作の年にはまたおなじ作戦が使えるようです*1。
◆参考*1:書籍「おもしくてためになる植物の雑学事典」初版54~55頁、大場秀章( おおば ひであき)監修、ISBN4-534-03199-8、日本実業出版社
◇*2HP「はじける種 カタバミ|NHK for School」
http://www2.nhk.or.jp/school/movie/clipbox.cgi?TB_iframe=true&das_id=D0005400777_00000
◇*3HP「種子散布」
http://www.biol.tsukuba.ac.jp/~algae/BotanyWEB/dispersal.html
◇*4HP「人工衛星Q&A|衛星の基礎知識|人工衛星を開発するJAXA第一衛星利用ミッション本部」
http://www.satnavi.jaxa.jp/basic/q_and_a/common/a6.html

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この記事へのコメント

ねこのひげ
2013年12月28日 11:19
うちの柿の木も一年ごとに実をたくさんつけるときとほとんどつけないときがありますね。
そういう意図があったんですね。
木も意思があるのでは?
ねこのひげ様<素町人
2013年12月29日 09:16
コメントをありがとうございます。

 そんな意図があるのかどうか、聞けるものなら柿の木に聞いて見たいですね。「俺のは単なる気まぐれさ」なんて答えかもしれませんけど。
(^^;)

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