町人思案橋・クイズ集

アクセスカウンタ

zoom RSS 綱吉の命で中野に御犬小屋ができた日。ホントの目的は動物愛護ではなかったの?

<<   作成日時 : 2013/12/18 08:09   >>

ブログ気持玉 0 / トラックバック 0 / コメント 2

画像
★歴史★
問題:日本の歴史上でいちばん有名な悪法と思われる「生類憐れみの令」は、貞享(じょうきょう)4年(1687年)に始まり、宝永(ほうえい)6年(1709年)に終わったようです*2。まとまったひとつの法令ではなく、散発的に発布された法律の集合が「生類憐れみの令」と呼ばれるらしい。なお、最初の発布は貞享(じょうきょう)2年(1685年)と記したHPも見かけました*3。
■Wikipediaによれば、最初は「殺生を慎め」という程度のものだったらしい。でも、庶民は従わなかったんでしょうかね。元禄(げんろく)9年(1696年)に犬虐待の密告者に賞金30両を出すという大胆な制度が設けられたらしい。10両以上盗むと死刑という時代の30両です。1両=10万円と乱暴に換算すれば300万円。これで世の中に嫌な雰囲気が生まれたようです。みんなが疑心暗鬼になる監視社会になっちゃったのかな。
■1695年の今日、12月18日(元禄(げんろく)8年11月13日)は、東京の中野に御犬小屋が出来た日だそうです。いちばん広い説では100ha、約30万坪もの広大な土地を野犬の保養施設にしたらしい。縦横1kmの正方形の土地とおなじ面積です。現在の中野駅とか中野区役所、サンプラザあたりはみんな入っていたともいわれます。今、中野区には囲町(かこいちょう)という地名が残されています。御犬お囲いの施設に由来する地名らしい。
■御犬様には、1日に白米3合干しイワシ1合、そして味噌が与えられたそうです*3。ちなみに宮沢賢治の「雨ニモマケズ」の理想人は「一日ニ玄米四合ト味噌ト少シノ野菜」を食べるようです。体の大きい分、人間のほうが米の量が多いですね。
■出産の際には専属の犬医者が診察したらしい。散歩も欠かさなかったというのですから、念が入っています。最初4万頭台だった収容犬数は10万頭に届くまで増え、施設は満杯、幕府は近隣の村々に養育費を与えて犬を預けるようになったとか。
■一説には御犬小屋の年間予算は10万両弱だったともいわれます。ちなみに、享保(きょうほう)15年(1730年)の幕府財政のうちわけは、歳入が約80万両、歳出が73万両余りとのこと*4。幕末に向かって財政規模は大きくなっていきます。綱吉の治世のころは、これよりも少し小規模だったと考えられますので、その負担は大きいものだったようです。単純に考えると、幕府財政は赤字になっていた可能性すらあります。
■かの法律を厳守せよとの綱吉の遺言にもかかわらず、6代目をついだ徳川家宣(いえのぶ)はたちまち「生類憐れみの令」を廃止します。世間の評判もさることながら、過大な財政的負担も大きな理由になっていたと思われます。
■さて、中野に大きな犬小屋を設けた目的として、動物愛護の他にちょっと不思議な目的を挙げる説が存在するようです。本日はこれをクイズにします。その目的とは次のどれでしょうか?
[い]犬の糞を火薬製造の原料にするため
[ろ]優れた猟犬を見つけ出すため
[は]中野近辺で皮革製品を作り、オランダに輸出するため
[に]死んだ犬の内臓を漢方薬として利用するため
(答えはずっと下↓ スクロールして下さい)

























★歴史★
正解:[い]犬の糞を火薬製造の原料にするため
説明:これは参考資料*1に掲載されていたものです(131209現在)。「一説によれば、『生類憐れみの令』、『御犬小屋』は幕府による火薬製造事業の隠れ蓑だったそうです」とありました。
■その理由が4つ掲げられています。
---1.輸入すると代価が高いため、火薬の国内生産を検討する必要があった。
---2.糞は火薬の材料となり得ることが知られている。
---3.中でも犬糞は煙硝反応に適した成分を含む。
---4.犬の飼育法は充分確立済みであるばかりか、万単位の頭数確保に際しても、人員や経費の面で他の追随を許さないほど効率的である。
■この説はたいへん面白い。かつて弊クイズでもご紹介しましたが、「鉄砲を発射するのに必要な黒色火薬は、硝酸カリウム(硝石)が60〜70%、硫黄が15〜20%、木炭が10〜20%」だそうです。西洋では、家畜の糞尿、漆喰(しっくい)か木灰、藁などの有機物をまぜ、人が尿をかけてはときどきかき混ぜて1年ぐらい寝かすそうです。これを水に溶かして硝酸カリウムを抽出していたという話があります。つまり、硝石そのものがなくても、なんとか作り出せるものらしい。犬の糞でも大丈夫かもしれません。
■ただし、犬の糞が欲しいのならすぐに入手できます。「伊勢屋 稲荷に 犬の糞」と頭韻を踏んだ文句でも知られるように、江戸の町は犬の糞に満ちあふれた場所だったらしい。ホントに犬の糞が必要ならば、犬の糞一貫(3.75kg)につき金1朱(数千円)を与えるというお触れを出せば済みます。多くの人が臭い物の収集に走り、江戸の町からたちまちケンフンは消えてしまうでしょう。火薬原料の確保と町の美化が同時に行なわれます。
■火薬原料説でとくに問題になるのはお金ですね。年間10万両近くも支出して火薬を作る。どこと戦争を始めるつもりだったのでしょうか。徳川幕府が安定した政権となっていた元禄時代です。そんな無意味な火薬製造のための支出はしないと、少なくとも素人は思いますけど。
◆参考*1:HP「御犬お囲い」
http://homepage3.nifty.com/kdai/about/about02.html
◇*2HP「生類憐れみの令 - Wikipedia」
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%94%9F%E9%A1%9E%E6%86%90%E3%82%8C%E3%81%BF%E3%81%AE%E4%BB%A4
◇*3HP「さんぽみち総合研究所-杉並コース」
http://e-sampo.co.jp/column-suginami1.htm
◇*4書籍「江戸文化歴史検定公式テキスト上級編【江戸博覧強記】」初版32頁、江戸文化歴史検定協会編、ISBN978-4-09-626602-1、小学館
◇*5HP「鉄砲を撃つための火薬はどのようにして得た?」
http://blog.q-q.jp/200705/article_66.html

ぬけられます→歴史雑学クイズ一覧

テーマ

関連テーマ 一覧


月別リンク

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!
ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。
→ログインへ

トラックバック(0件)

タイトル (本文) ブログ名/日時

トラックバック用URL help


自分のブログにトラックバック記事作成(会員用) help

タイトル
本 文

コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
江戸時代というのは、徳川幕府による独裁体制と言えますから、いつ反乱されるかもしれないので、用意だけはしておこうということだったのかも。
ねこのひげ
2013/12/22 08:51
コメントをありがとうございます。

 徳川幕府の財政はもっと逼迫していたのかと思ったら、享保時代でも黒字なんですね。1000兆円の借金を抱える現代日本の政府よりも、はるかに健全な貸借対照表を描いていたようです。
(^^;)
ねこのひげ様<素町人
2013/12/22 21:16

コメントする help

ニックネーム
本 文
綱吉の命で中野に御犬小屋ができた日。ホントの目的は動物愛護ではなかったの? 町人思案橋・クイズ集/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる