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zoom RSS 中世ヨーロッパの「針刺し」という仕事は何のために行なわれたの?

<<   作成日時 : 2013/11/02 09:08   >>

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★歴史★
問題:日本にはあまりなかったようですが、中世のヨーロッパには「針刺し」という不思議な職業が存在したそうです。イングランドやドイツに専門の針刺し師がいたそうですし、スコットランドでは針刺し業者の公認の組合が組織されたとのこと。
■ではこの「針刺し」の対象となったのは、次のどれでしょうか?
[い]悪い血がたまって病気になった患者
[ろ]元気すぎて親が手を焼いている子供
[は]魔女の疑いがかけられた女性
[に]乳の出の悪い乳牛
[ほ]肩こりや腰痛に悩む中年の男女
(答えはずっと下↓ スクロールして下さい)

























★歴史★
正解:[は]魔女の疑いがかけられた女性
説明:[ほ]肩こりや腰痛に悩む中年の男女だと面白かったのですが、どうも鍼(はり)と針は違うようですね。
■中世ヨーロッパでは、暗い闇の中から魔女がたびたび地上にあらわれて悪さをしました。地上というよりは、人々の心の中にあらわれたというほうが正しいのかな。
■参考資料*1によると、中世ヨーロッパでは、魔女の疑いをかけられた者は、「針刺し」という身体検査が行なわれたそうです。魔女には身体に魔女の目印があるらしい。シミ・イボ・ホクロ・瘤などだそうです。見た目はウサギ・カエルの足・クモ・イヌ・ネズミなどに似たものらしい。
■こうした目印は、悪魔が主催する集会で構成員として認められる儀式で悪魔の爪によってつけられたものです。ヤクザでいえば親分から盃を頂戴する場面なのかな。
■女性の場合、乳房や陰部などに刻まれるとのこと。魔女の疑いをかけられ、審判されるときには、役人の前で全裸にされます。さらに全身の毛を剃られるらしい。ちょっと桃色の雰囲気になってきました。
■魔女の目印には痛みの感覚がないそうです。傷つけられても血も体液も出ないとされていたらしい。で、それらしき痕跡が見つかったら大きな針を刺して、その印が魔女の目印なのか、単なるホクロなのかを調べたそうです。
■これらは迷信の強い地方でのみ行なわれたのではありません。たとえば1633年(寛永(かんえい)10年)の魔女裁判では、イングランド国王チャールズ1世という王様は、自ら侍医を伴って尋問に立ち会い、魔女の目印を探したとのこと。このときには30人以上の容疑者が逮捕されているそうです。王様は30人以上の乳房や陰部をごらんになったのかな。被疑者が若く美しい女性ばかりなら楽しい作業かもしれませんが、そうではないんでしょうねぇ。ご苦労様でした。
■針刺しは最初は医者の仕事でしたが、魔女裁判の件数が増えるにしたがい専門職の者が登場したとのこと。高い技術を持った者、つまり見つける件数の多い者は、高い料金を取ったりしたそうです。料金は、有罪となった魔女たちの財産が没収され、その中から支払われたらしい。
■中には、手品の小道具のように、皮膚に突き立てると針が柄の中に入ってしまう仕掛けのついた道具を使うイカサマ針刺し師もいたそうです。1650年(慶安(けいあん)3年)に、ニューカッスルの役人たちは、針刺し師に1人の魔女を見つけるごとに20シリング(1ポンド)を支払うと言ったらしい。ある針刺し師は、14人の魔女と1人の魔男(まおとこ?)の発見に成功しています。
■ある軍人が疑問を抱き、1人の女性の判定について再検査を要求します。針刺し師は証人たちの前に女性を立たせ、彼女の腿に針を突き刺して見せます。でも血は流れません。
■軍人は、恐怖心と羞恥心のために彼女の身体が反応しなかったのかもしれないと思い、彼女を自分の前に連れてこさせます。自分の針を刺してみたところ、出血したそうです。当たり前ですね。彼女は解放されたそうです。
■針刺し師はそれまでの報酬を受け取るとさっさとニューカッスルを去ります。天網恢々疎にして漏らさず。やがて詐欺師だったことがばれて捕まります。絞首刑の宣告を受けたらしい。告白によれば、最高では1人あたり3ポンドの報酬が得られたらしい。詐取するために、いつわって220人ほどの人を死においやったとのこと。ひでえ話ですね。
■なお、1ポンドはいまでこそ150円前後ですが、今から50年ほど前、1960年ぐらいには1008円の固定相場だったそうです。ドルは360円でしたね。100年ほど前の1900年前後では1ポンドが10円(当時の)だそうです。この年、我が国における教員の初任給が11円だったらしい*2。11円はかなりギリギリの生活を強いられそうですが、なんとか暮らしていける程度のお金なのでしょう。ちなみに明治39年(1906年)に渋民尋常高等小学校の代用教員に採用された石川啄木の月給は8円だったそうです。
■それよりさらに250年ほど前、1650年の1ポンドはいくらでしょうか。現在の日本の貨幣価値でいえば数十万円だろうと思われますが、確かではありません。
■参考資料*4によれば、1680年(延宝(えんぽう)8年)の1シリングは、労働者1日分の日当だそうです。20シリングは20日分の日当に相当します。現在の東京都では最低賃金が時間あたり850円ぐらい。8時間労働なら7000円弱です。当時の労働者の日当が現在日本の7000円相当とすれば20シリング=1ポンドは14万円相当でしょうか。このぐらいの金で人殺しをするのはなんだか悲しいな。
◆参考*1:書籍「図説拷問全書」文庫初版178〜181頁、秋山裕美(ひろみ)著、ISBN4-480-03799-3、筑摩書房
◇*2HP「いまならいくら?(明治、大正、昭和の消費者物価)」
http://chigasakiws.web.fc2.com/ima-ikura.html
◇*3HP「百円銀貨が発行された日。昔の百円の価値はどれぐらいなの?」
http://blog.q-q.jp/201012/article_10.html
◇*4HP「ヨーロッパの近世」
http://homepage3.nifty.com/~sirakawa/Coin/E026.htm

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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
こういう職業があったとは知りませんでした。
最初は服や絨毯を縫うときに針を刺していく仕事かと思いましたよ。
まさか、人の体に刺すとは・・・(~_~;)
ねこのひげ
2013/11/04 08:08
コメントをありがとうございます。

 日本も迷信の多い国だったでしょうけれど、中世欧州の魔女狩りほどひどいものはないような気がしますね。

 インチキ針刺しが活躍した時代は、日本では江戸時代の最初のほうで、明暦の大火などがあったころに近いですね。大火事が頻発する日本において、元凶捜しに占いを活用したとか、透視能力のある者を使ったというお話は聞きません。

 幕府が推奨した儒教のおかげで、「怪力乱神を語らず」という姿勢が身についていたのかな。
(^^;)
ねこのひげ様<素町人
2013/11/04 09:27

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