「ら抜き表現」を専門家が最初に記録したのはいつごろのこと?

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★日本語★
問題:ATOKなどの仮名漢字変換装置では、「みれる」と入力して変換しようとすると、「ら抜き表現」と警告が発せられます。なかなか親切な仕掛けです。Windows8に付属するMS IME 2012にはそんな仕掛けはないようです。ここが舶来品と国産品の違いなのかな。
■最近の若者の中には、日本語に弱く、それでいて国産品を使わない人たちがたくさんいるようです。彼らは、招待状の往復葉書に、「これる/これない、どちらかに丸をつけてください」なんて書くとのこと。残念ながら、生まれ育ちが見えてしまうような言葉遣いです。
■ら抜き表現は、ある程度前から専門家によって指摘され、正式には好ましくない表現だといわれてきたようです。では、日本語に詳しい人たちが、ら抜き表現を最初に問題視した記録は、次のいつごろにあらわれるのでしょぅか?
[い]江戸時代
[ろ]明治時代
[は]大正時代
[に]昭和時代
[ほ]平成時代
(答えはずっと下↓ スクロールして下さい)

























★日本語★
正解:[は]大正時代
説明:参考資料*1によると、大正13年(1924年)に出版された「標準日本文法」という本があるそうです。松下大三郎(だいざぶろう?)という文法学者の筆になるものらしい。この本の中で注意されているとのこと。これ以前の指摘もあるのかもしれませんが、広くは知られていないようです。
■「標準日本文法」には、「起キレル」、「受ケレル」、「来レル」という言い方は、「平易な説話にのみ用い、厳粛な説話には用いない」と記されているそうです。
■ら抜き表現は方言であるという説もあるようです。「過労のためだんだん朝起きれなくなった」という文章が「蟹工船」という小林多喜二(たきじ)の小説に見られるようです。小林多喜二は現在の秋田県大館市の出身らしい。あちら方面の方言なのかな。
■東京の下町では聞かなかったという人がいます。もし東京人でそんなことをいう人がいるとすれば、山の手の人かもしれません。
■国立国語研究所が戦後に調査したところでは、浅草と四谷・牛込とを較べると、下町の浅草より山の手の四谷・牛込の方に多く使用者がいたようです。地方出身者は山の手に多く住むからではないかと参考資料*1の著者は言っています。
■ら抜き表現が生まれた理由は、ひとつには発音のしやすさがあるそうです。「mirareru」では「r」が3回続きます。「mireru」では1回少なくて済みます。「られる」と発音するには、かすかながら努力と注意が必要になります。努力と注意を省略したい人は「れる」を使って楽をしたのかもしれません。
■現在では、ら抜き表現は若者を中心にかなり広まっているようです。ら抜き表現を使わないで「見られる」、「出られる」、「起きられる」などと昔ながらの表現を守る若者がいるとすれば、それだけで人物評価が少しあがるのですが。仲間内での「平易な説話」の場合はともかく、面接での回答、職場での上司との会話、取引先との対話などでは、「ら入り表現」をしたほうがいいかもしれません。
■余談です。つい最近、ある大手企業の製品に疑問があり、コールセンターに質問しました。電話の向こうの女性は言葉遣いが素晴らしい。問題自体は解決しなかったのですが、なんとなく不満は解消されてしまいました。「○○が××の条件でも使えるのか、調べて貰えまいか。手数をかけてしまうけど」といった依頼に対して、「とんでもないことでございます」。
■「とんでもありません」なんていう人が多い中で、こう正しい日本語で返されては、こちらも紳士的に出ざるをえないですよね。
◆参考*1:書籍「大野晋の日本語相談」文庫初版25~28頁、大野晋(おおの すすむ)著、ISBN4-02-264085-5、朝日新聞社

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この記事へのコメント

ねこのひげ
2013年04月12日 02:40
電話の対応が悪いと、その企業の評判も悪くなりますからね~
みっちりと仕込まれるようで・・・・
近所の奥さんでも、遠い大型家電店に行っている人がいるので、聞いたら「あそこは店員の態度がいいから」と言っていましたよ。
ねこのひげ様<素町人
2013年04月12日 11:18
コメントをありがとうございます。

 我が家の近所のレコード・CD店は、某大手の家電量販店の中にありました。店員の態度が素晴らしく悪いという評判でした。

 たまたま量販店の社員さんに話を聞く機会がありました。彼いわく、お宅の近所の店は、接客態度の悪い店員の再教育の場であるとのこと。そこに配属されるということは、警視庁特命係に配属されるのと同様であり、人材の墓場なんだそうです。

 オフレコだよと念を押されましたが、そんな心配もつかのま、量販店の店自体がしばらくして撤退していきました。
(^^;)

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