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zoom RSS 言葉あそびというより暗号解読の問題。「月豆」っていったいなんのこと?

<<   作成日時 : 2013/01/24 07:12   >>

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★日本語★
問題:以前にもご紹介した落語の枕で使われる小咄です。
■「熊の野郎が置き手紙していったって?」。「そうなのよ。あんたが留守だといったら、『手紙読んでもらってくれ』とかいってさ」。「あいつはこのごろ、手習に行ってるらしいぜ。ちょっと字が書けるようになったら、生意気に置き手紙か。嬉しがりやがって。おお、かかぁ、見てみろ。へったくそな字だぜ…なになに。『借りた羽織は七に置いた』とな。え? 何をするんだ、あの野郎。3日で返すっていうから貸してやったのに。ことわりもなしに質に入れたのか。なんてことしやがるんだ」。
■「おっ、甚兵衛さん。手紙は読んでくれたか?」。「おお、熊。お前は勝手な男だな。3日という約束だっただろうが。質になんかに入れやがって」。「そんなことはしてねぇぞ。羽織を返しに来たんだぜ。お前さんが留守だというので、そこの棚の上へ置いた…あっ、その棚の上に乗ってるじゃねぇか」。
■「えぇ? あっ、ホントだ。だけどお前、手紙には『借りた羽織は七に置いた』って書いてあるじゃねぇか」。「お前さんも字を知らねぇな。それは七夕の「たな」という字だぜ」。
■この話が元になっているわけではないのでしょうが、江戸時代には、変則な読み方をする漢字を並べて変な謎々が作られました。たとえば、「楽殿」は鯛だそうです。雅楽は「うた」とも読みます。徳川氏の譜代の筆頭酒井家の家系のひとつには雅楽頭家(うたのかみけ)と呼ばれる家がありました。ご存じのかたも多いでしょう。下馬将軍と呼ばれ、4代目将軍家綱の頃に権勢を誇った酒井忠清(ただきよ)もその家系の人ですね。江戸琳派の巨匠、酒井抱一(ほういつ)画伯も、雅楽頭家の人だったと記憶します*2。
■雅楽で「うた」ですから楽は「た」ですね。縫殿と書いて「ぬい」とも読むらしい。「大辞泉」にも「縫殿寮」と書いて「ぬいづかさ」という読みの言葉が立項されています。ということは殿は「い」ですね。あわせて「たい=鯛」。ご理解いただければ、たいへんめでたい。
■では、ほとんど暗号解読に近い謎々の問題です。下の言葉はそれぞれなんと読むのでしょうか? 1問でも答えられたら、たいしたものです。
[い]月豆
[ろ]士人
[は]三十野松
[に]明長
[ほ]魚詞母海蕎袋
(答えはずっと下↓ スクロールして下さい)
























★日本語★
正解:各項目を参照してください
説明:[い]月豆は盃(さかずき)と読む
■月を「さか」と読むのは、江戸時代の人の髪型によります。月代(さかやき)ですね。「中世末期以後、成人男子が前額部から頭上にかけて髪をそり上げたこと。また、その部分」だそうです。豆を「ずき」と読むのは、小豆と書いて「あずき」と読むところから。赤小豆でも「あずき」ですが、小豆でも「あずき」です。
□短いほうの名前に従うと、豆の部分は「ずき」。あわせて盃(さかずき)になります。
[ろ]士人は毬(まり)と読む
■士を「ま」と読むのは、漁業で暮らす人たちの職業によります。海士(あま)です。「海に潜って貝類や海藻をとるのを仕事とする人」です。女性は海女ですが、男性は海士だそうです。人を「り」と読むのも職業に関係があるのかな。舎人(とねり)だそうです。「律令制で、皇族や貴族に仕え、護衛・雑用に従事した下級官人」とのこと。あわせて毬(まり)ですね。
[は]三十野松は味噌漬けの鯛(みそづけのたい)と読む
■三十は「みそ」と読みます。三十路は「みそじ」ですから、これはわりとわかりやすい。野を「づけ」と読むのは、芝居の「忠臣蔵」から連想できるかも。モデルとなった実際の事件では吉良上野介(こうずけのすけ)が殿中で切られました。野は「ずけ」ですが、まぁまけといて「づけ」にしてください。松を「たい」と読むのはむずかしい。これがわかるのは凄い。そうです。松明(たいまつ)ですね。あわせて味噌漬けの鯛(みそづけのたい)となります。
[に]明長は松茸(まつたけ)と読む
■[は]の問題の続きではありませんが、明という漢字は松明(たいまつ)のマツです。長という漢字は漢和辞書「字通」によれば「チョウ、ながい、かしら、たけ、たっとぶ」という字音・字訓があります。「たけ」とも読むわけですね。あわせれば松茸(まつたけ)です。
[ほ]魚詞母海蕎袋は言葉遊び(ことばあそび)と読む
■この言葉だけは、江戸時代の作ではなく、参考資料*1の筆者が作ったものと思われます。本の見出しとして掲げられていました。
□魚を「こ」と読むのは、雑魚(ざこ)からきたらしい。詞を「と」と読むのは、祝詞(のりと)からとのこと。母を「ば」と読むのは伯母(おば)から。海を「あ」と読むのは海女(あま)から。蕎を「そ」と読むのは蕎麦(そば)から。そして袋を「び」と読むのは足袋からだそうです。
□オマケです。革細工の職人の店へ武士から注文書と刀が届きました。「この日々念を入れたまはり候へ」とあります。意味がわからないのでじかに武士の元に参上してたずねたら、前の日は朔日(ついたち)の「たち」、後の日は二日(ふつか)の「つか」。つまり「太刀の柄(つか)を念入りに革細工でしあげてくれ」という意味だったとか。
□同様に「日」のからんだ謎。柳日を拝借したいという手紙をもらったがわからない。当人に尋ねると、日は晦日(つもごり)の「ごり」である由。柳行李(やなぎごうり/やなぎごり)は、「コリヤナギの枝の皮を除いて乾かしたものを、麻糸で編んで作った行李」です。一種の収納・運搬用具ですね。なお、晦日は「つごもり、つもごり、みそか、かいじつ」とも読むそうです。
◆参考*1:書籍「日本のことば遊び」初版238〜245頁、小林祥次郎(しょうじろう)著、ISBN4-585-05303-4、勉誠出版
◇Yahoo! J Dictionaries 大辞泉
◇Yahoo! J Dictionaries 大辞林
◇*2HP「琳派を再興した酒井抱一の代表作は、どんな屏風の裏に描かれたものなの?」
http://blog.q-q.jp/201201/article_1.html

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コメント(4件)

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「い」と「ろ」は、わかりましたが、後はダメでした。
むしろ、問題の七夕の七で棚にはやられました。
わかりませんでした。
江戸っ子だから「しち」と呼んだんでしょうね。

「い」の月は時代物が好きなので、月代から検討が付きました。
「ろ」は、海士から検討が付きましたし、日暮里から出ている舎人線というのもあるのでわかりましたが、後は、あきらめました(^^ゞ

きのうテレビの番組で漢字の話が出て、「峠」は日本独自の漢字だそうです。古い中国にもないそうです。
門の中に山と書いてなんと読むでしょう?
これも日本独自の漢字だそうです。

ねこのひげ
2013/01/24 08:08
コメントをありがとうございます。

 峠や閊はいわゆる国字ですね。日本の国字は日本人がつくっているので、われら日本人にはとてもわかりやすい。まっ、「つかえる」はあまりわかりやすいとは言えないですけど。

 人が動くと書いて「働く」。この「働」という漢字も国字だそうです。よく言われる、人偏に「考」という漢字はホントにあるのでしょうかね。少なくともATOKや手持ちの漢和字典などで探しても見つかりません。
(^^;)
ねこのひげ様<素町人
2013/01/24 09:41
うーん、全部解りませんでしたっ!
ブータ
2013/01/24 19:05
コメントをありがとうございます。

 これはわからないですよね。出題している者さえ、へぇ、そうなんだ…とつぶやきながら問題を作っているようなありさまですから。
(^^;)
ブータ様<素町人
2013/01/25 09:26

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