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zoom RSS 太宰治の小説「ろまん灯籠」からの読み問題。「剽窃」はなんと読むの?

<<   作成日時 : 2012/10/15 07:36   >>

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★日本語★
問題:太宰治の「ろまん灯籠」は、昭和15年(1940年)の12月から「婦人画報」に連載されたそうです。太平洋戦争直前の執筆ですね。ラプンツェルという魔女と王子の恋をリレーで執筆する風変わりな兄弟姉妹のお話だそうです。そういえば、わりと最近のアニメ映画でも、そんなカタカナが含まれる題名があったような気がするな。
■読者層を意識した編集者の示唆があったのでしょうか。あまりむずかしい言葉は使われていません。問題を拾い集めるのに苦労しました。ではその苦心の出題です。次の言葉はなんとよむのでしょうか?
[い]一纏め
[ろ]寂寥
[は]剽窃
[に]お伽噺
[ほ]辛辣
(答えはずっと下↓ スクロールして下さい)



























★日本語★
正解:各項目を参照してください
説明:[い]一纏めはひとまと(め)と読む
■一纏めは、「ひとつにまとめること」だそうです。国語辞書の説明文は素直です。
□「纏」という漢字は、常用漢字表には掲載がありません。漢和辞典「字通」によれば「テン、まとめる、まとう、くくる」という字音・字訓があります。「袋の中にものを入れてまとめ、それを建物に収納する」という意味があるそうです。また、「縄をめぐらしてまとめくくる」という意味もあるとのこと。
□「袢纏(ハンテン)」という言葉をつくります。衿のない羽織かな。「纏持ち(まといもち)」という言葉もありましたね。どちらも、江戸時代の香りがします。「情緒纏綿(ジョウチョテンメン)」という四字熟語もつくります。「情緒が深くこまやかなさま。情緒が心にまつわりついて離れないさま」を表します。
□「ろまん灯籠」の中では次のように使われていました。「その他にも、私には三つ、四つ、そういう未発表のままの、謂(い)わば筐底(きょうてい、箱の底)深く秘めたる作品があったので、おととしの早春、それらを一纏(ひとまと)めにして、いきなり単行本として出版したのである」。
[ろ]寂寥はせきりょうと読む
■寂寥は「心が満ち足りず、もの寂しいこと。ひっそりとしてもの寂しいさま」です。単に淋しいというよりは、以前は盛んだったものが今はない、あるいは変わってしまったという時間の流れを感じさせることが多いように思われます。
□元稹(げんしん、しんはノ木偏に眞)という唐の詩人の歌に行宮(あんぐう)というのがあるそうです。
---寥落古行宮 宮花寂寞紅
(寥落(リョウラク)たり、古えの行宮、宮花寂寞(セキバク)として紅なり)
---白頭宮女在 間坐説玄宗
(白頭の宮女あり、かんざして玄宗を説く)
□昔、皇帝が訪れて全盛だった行宮もいまはさびれてしまった。そのころ仕えていた女が玄宗について語ってくれた。それだけの詩です。でもなんとなく寂寥感が漂います。玄宗はご存じの楊貴妃に惑わされて政権を危うくした人間臭い唐の王様ですね。
□明治の作家、岡本綺堂(きどう)は、歯が抜けると寂寥感を得るといっています。素町人は毛髪との別れに寂寥感を覚えます。時間は勝手に来て勝手に去ります。肉体は20年で全盛を迎え、あとは徐々に滅びるばかり。悲しいけどそれが人間です。
□なんてね。これはいままでの話かな。21世紀半ば以降では再生医療が本格化・低価格化し、寂寥感を感じる場面も減ってしまうのかもしれません。山中先生たちに感謝すべきなのでしょうけれど、得る物のかわりに失われるものもあるような気がするな。
□「ろまん灯籠」の中では次のように使われていました。「髪を短く切って、ロイド眼鏡をかけている。心が派手で、誰とでもすぐ友達になり、一生懸命に奉仕して、捨てられる。それが、趣味である。憂愁、寂寥(せきりょう)の感を、ひそかに楽しむのである」。
[は]剽窃はヒョウセツと読む
■「剽窃」は、「他人の作品や論文を盗んで、自分のものとして発表すること」だそうです。俗にいうパクリですね。新聞記事、学術論文、小説、評論、歌などの韻文、その他、盗む人は多い。つい数日前にも、自称研究者森口某がノーベル賞を獲得した山中教授の論文をパクッていた疑いがあると報じられていました。泥棒がいちばん古い職業であるならば、剽窃もまた文字の誕生以来の行為なのでしょう。人類ある限り続くのかな。
□「剽」という漢字は常用漢字表には掲載がありません。漢和辞典「字通」によれば「ヒョウ、さす、はぐ、おびやかす、つよい」という字音・字訓があります。「窃」という漢字も常用漢字表には掲載がありません。漢和辞典「字通」によれば「セツ、ぬすむ、ひそかに」という字音・字訓があります。
□あわせて、他人が並べた文字列を剥ぎ取って自分のものにするという意味らしい。
□「ろまん灯籠」の中では次のように使われていました。「末弟は、自分の勉強室で、鉛筆をけずり直してばかりいた。泣きたくなって来た。万事窮して、とうとう悪事をたくらんだ。剽窃(ひょうせつ)である。これより他は、無いと思った。胸をどきどきさせて、アンデルセン童話集、グリム物語、ホオムズの冒険などを読み漁(あさ)った。あちこちから盗んで、どうやら、まとめた」。
[に]お伽噺は(お)とぎばなしと読む
■お伽噺は「子供に聞かせる伝説・昔話」です。「夜のつれづれを慰めるために話し相手となる、その際にする話」もお伽噺です。
□「伽」という漢字は常用漢字表には掲載がありません。漢和辞典「字通」によれば「カ、ガ、ギャ、とぎ」という字音・字訓があります。「伽藍(ガラン)」という熟語をつくります。「僧が集まり住んで、仏道を修行する、清浄閑静な場所」だそうです。「伽羅(キャラ)」という熟語もありますね。香木の一種、沈香の別名だそうです。精製した香料もまた伽羅と呼ばれます。
□「噺」という漢字も常用漢字表には掲載がありません。漢和辞典「字通」によれば「はなし」という字訓だけがあります。国字だそうです。「はなし」には「話」とか「咄」もあります。「噺」と「咄」は「人に聞かせるための作り話」という意味合いがあるらしい。「話」は言葉を交わす行為ならどんな場面にでも使えるのかな。
□「ろまん灯籠」の中では次のように使われていました。「『泣かなくてもいいじゃないか。馬鹿だね。どれどれ。』と祖母は帯の間から老眼鏡を取り出し、末弟のお伽噺(とぎばなし)を小さい声を出して読みはじめた」。
[ほ]辛辣はシンラツと読む
■「辛辣」は、「言うことや他に与える批評の、きわめて手きびしいさま」だそうです。
□「辣」という漢字は常用漢字表には掲載がありません。漢和辞典「字通」によれば「ラツ、からい、きびしい」という字音・字訓があります。「辛」も「辣」も「舌をひりひりさせるほどからい」というところから辛辣の意味が生まれたらしい。
□「辣」という漢字は、「辣油(ラーユ)」、「悪辣(アクラツ)」、「辣腕(ラツワン)」などの熟語をつくります。悪辣は「情け容赦もなく、たちが悪いこと」だそうです。辣腕は「物事を躊躇(ちゅうちょ)することなく的確に処理する能力のあること」らしい。前者は「からい」と少し意味が通ずるところがあります。でも辣腕と「からい」のはどんなつながりがあるのかな。よくわかりません。
□「ろまん灯籠」の中では次のように使われていました。「この次男は、兄妹中で最も冷静な現実主義者で、したがって、かなり辛辣(しんらつ)な毒舌家でもあるのだが、どういうものか、母に対してだけは、蔓草(つるくさ)のように従順である」。
◆参考*1:HP「図書カード:ろまん灯籠」
http://www.aozora.gr.jp/cards/000035/card315.html
◇*2HP「常用漢字表:文部科学省」
http://www.mext.go.jp/b_menu/hakusho/nc/k19811001001/k19811001001.html
◇辞書「字通」白川静、平凡社
◇Yahoo! J Dictionaries 大辞泉
◇Yahoo! J Dictionaries 大辞林

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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
きのうクイズ番組を見ていたら、女性タレントが漢字クイズで、『北海道』を『北海丼』と書いてました。
他の局に変えました・・・・・・(~o~)
ねこのひげ
2012/10/15 07:55
コメントをありがとうございます。

 北海丼は、きっとウニやイクラや帆立など、ご当地でとれる新鮮な海鮮がたくさんのっているのでしょうね。旨そうな間違いだな。
(^^;)
ねこのひげ様<素町人
2012/10/15 11:57

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