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zoom RSS 漱石の作品「倫敦塔」からの読み問題。「陽炎」はなんと読むの?

<<   作成日時 : 2012/09/10 07:31   >>

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★日本語★
問題:夏目漱石は、明治33年(1900年)の9月8日に横浜を出航します。40日ほどかけて倫敦(ロンドン)に到着したらしい。帰りは明治35年(1902年)12月5日に倫敦を出発し、翌年1月20日に長崎に到着しています。満33歳で出発し、戻って来たときは満36歳だったらしい。出世作「吾輩は猫である」は満38歳で記されています。
■留学中に親友の正岡子規を失いました。自分自身も留学費が不足気味だったせいなのか、文化の違いに慣れなかったのか、神経衰弱にかかったりしているらしい。なかなかたいへんな日々ではあったようです。「倫敦塔」はそんな留学生のころの記憶をもとに書かれた作品らしい。
■ロンドン塔は、監獄としても利用されてきたそうです。権力闘争に敗れた多くの王族や政治家が処刑された場所でもあります。「ユートピア」で知られるトマス・モアもここで死んでいます。ヘンリー8世の妻だった女性たち、アン・ブーリンやキャサリン・ハワードもまた、ここで最期を迎えたらしい*4。
■さっそく練習問題から。題にあげてある「陽炎」は「かげろう」と読みます。「春の天気のよい穏やかな日に、地面から炎のような揺らめきが立ちのぼる現象」だそうです。そういえば最近あまり陽炎を見ない気がしますね。アスファルトでも陽炎はできそうなものですが。
■では本番です。下の言葉の読みかたを考えてください。ひとつだけ当て字のものもあります。
[い]絹帽
[ろ]滅却
[は]永劫
[に]帳
[ほ]宿世
(答えはずっと下↓ スクロールして下さい)



























★日本語★
正解:各項目を参照してください
説明:[い]絹帽はシルクハットと読む
■これは当て字ですね。シルクハットを絹帽とはなかなか笑えます。
□漱石は当て字を使うのが好きだったのかもしれません。「馬穴(バケツ)」、「寸断寸断(ズタズタ)」、「地烈太い(じれったい)」、「蚊弱い(かよわい)」などの当て字を作品中で使用しているらしい*3。さすが文豪の当て字だけあって、なんとなくそれらしい雰囲気があります。ただし、江戸時代にも似たような当て字が使われているという説もあるようです。必ずしも文豪の創作とは限らないのかな。
[ろ]滅却はメッキャクと読む
■「滅却」は、「ほろびること。すっかりなくなること」だそうです。作品中では、「世界滅却の日に至るまで」という使いかたでした。今様に直せば「地球滅亡の日がくるまで」かな。
□有名な「心頭を滅却すれば火もまた涼し」という決まり文句は、快川禅師(かいせんゼンジ)というお坊さんの最期の言葉だそうです。甲州の恵林寺(えりんじ)という寺の住職です。武田勝頼(かつより)が滅亡したとき、征服軍の親分である信長に生意気な口をきいたため、寺を襲撃されて火を放たれたそうです。何人かの坊さんたちとともに焼死します。いまわの際に吐いた言葉が「心頭を〜」だったらしい。
□「心頭を( )却すれば火もまた涼し」の虫喰い部分を埋めよと出題したら、多くの学生が「冷」という解答を寄せたという話を聞きました。なるほど。冷却するんだから涼しくなりそうな気もしますね。
[は]永劫はエイゴウと読む
■「永劫」は、「限りなく長い年月」だそうです。よく未来永劫と四字熟語で使われます。作品中では、「…いずれも陰気な灰色をして前世紀の紀念を永劫に伝えんと誓えるごとく見える」と使われていました。
□「劫」という漢字は、常用漢字表には掲載がありません。漢和辞典「字通」によれば「キョウ、ゴウ、おびやかす、おしとめる」という字音・字訓があります。
□「永劫回帰」という言葉は、ニーチェという哲学者が「ツァラトゥストラはかく語りき」の中で繰り返し使った言葉だそうです。翻訳者によっては「永遠回帰」かな。人の生は宇宙の円環運動とおなじように永劫に繰り返すと説いたそうです。天国とか地獄とかあの世といったものを否定したらしい。
□ニーチェは発狂し、精神の死のあとに肉体の死を迎えたそうです。でもその身体を構成していた各元素はまた土へ、つまり地球へ、さらに長い年月のうちには宇宙へともどり、あらたな物質、あるいは生命をつくるのに再利用されます。ニーチェだけでなく、弊クイズの出題者も解答者諸兄諸姉も、その他の人類も生物も無機物もすべては繰り返される回帰の一部分であるという見方もできます。ひょっとしたらニーチェはとても科学的だったのかな。
[に]帳はとばりと読む
■「帳」は、「室内や外部との境などに垂らして、区切りや隔てとする布帛(ふはく)」だそうです。我々がよく耳にするのは、「夜のとばり」ですね。あたりが暗くなるとあたかもカーテンを垂らしたように感じられるのかな。
□作品中では「戸帳」と「戸」の字がつけてありました。「窓の内側は厚き戸帳が垂れて昼もほの暗い」と使われています。
<stron g>[ほ]宿世はシュクセと読む
■「宿世」は、「スクセ」とも読みます。「前世、あるいは前世からの因縁。宿縁」という意味らしい。「宿世拙し(スクセつたなし)」という言葉があります。「宿縁がよろしくない。不幸せな運に生まれついている」という意味らしい。
□作品中では次のように使われていました。「倫敦塔は宿世の夢の焼点のようだ」。焼点は焦点とおなじ意味のようです。
◆参考*1:HP「図書カード:倫敦塔」
http://www.aozora.gr.jp/cards/000148/card1076.html
◇*2HP「常用漢字表:文部科学省」
http://www.mext.go.jp/b_menu/hakusho/nc/k19811001001/k19811001001.html
◇*3HP「さまざまな人が我流で使う当て字。夏目漱石が愛用したのはどの当て字?」
http://blog.q-q.jp/201112/article_1.html
◇*4HP「英国とキリスト教の運命を変えた女アン・ブーリン。乳房は3つ、手の指は6本あったの?」
http://blog.q-q.jp/201005/article_9.html
◇辞書「字通」白川静、平凡社
◇Yahoo! J Dictionaries 大辞泉
◇Yahoo! J Dictionaries 大辞林

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【哲学】人間の「魂」は存在するのか 肉体が滅びても消えないのか
1 :番組の途中ですがアフィサイトへの転載は禁止です:2012/09/29(土) 05:38:15.25 ID:I7r0MyhK0 ?2BP(2424)氷上高魂 夢へアタックhttp://mytown.asahi.com/hyogo/news.php?k_id=29000001209280008 ...続きを見る
【2ch】ニュース速報嫌儲版
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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
そういえば、肩が凝るというのも夏目漱石が小説で書いてから、日本人が肩が凝るを使うようになったそうで、他の国々では、肩が凝るという表現はないそうでありますね。

小説などの影響は大きいようであります。

冷却というのは、たしかに当たってますね。間違いではありませんね。
高校時代の先生で、解答が間違っていても、なぜそういう答えを出したか説明できれば、点数を半分くれた人がいましたっけ〜
温情でありますな〜
ねこのひげ
2012/09/10 07:54
コメントをありがとうございます。

 「肩が凝る」の話は聞いたことがありますね。
 漱石以前には、肩が凝るときには、なんと表現していたのかな。知りたいところです。
(^^;)
ねこのひげ様<素町人
2012/09/10 10:36

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