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zoom RSS 芥川龍之介「地獄変」からの読み問題。「流石」はなんと読むの?

<<   作成日時 : 2012/07/30 05:29   >>

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★日本語★
問題:芥川龍之介の「地獄変」は、「地獄は変だよ」という意味ではありません。親が子を殺しながら平然とその苦しむ様子を観察するという、いささか気味の悪い物語です。
■主人公は絵師です。地獄の絵を頼まれます。ところが、牛車に乗った女性が炎に巻かれて死んでいく場面が描けません。依頼主である権力者に「実際に車の中で女が焼け死ぬ光景を見たい」と訴えます。権力者は、その申し出を残酷な笑みを浮かべつつ承諾します。
■権力者が準備したのは、絵師が溺愛する一人娘が牛車に乗っているところでした。火が放たれます。愛してやまない娘が火にあぶられて死んでいく姿を絵師は冷静に観察します。惨劇が終わると、絵師は絵筆をとります。凄まじい迫力で問題の場面を描き上げます。絵は完成し、その素晴らしい出来映えに、日頃絵師の悪口を言っていた者たちすら、一言も発することができません。絵が権力者に献上された数日後に絵師は自殺します。
■絵師の強烈な職業意識。娘への愛。絵師の生き様と死に様はなかなか凄みがあります。このお話は、昭和44年(1969年)に東宝で映画化されています。音楽は芥川也寸志(やすし)。芥川龍之介の三男ですね。
■では、芥川龍之介のドキドキする短編小説、「地獄変」からの熟語読み問題です。次の熟語はなんと読むのでしょうか? 例によって青空文庫の振り仮名を正解とします。
[い]諢名
[ろ]跛
[は]枉げる
[に]慳貪
[ほ]流石
(答えはずっと下↓ スクロールして下さい)



























★日本語★
正解:各項目を参照してください
説明:[い]諢名はあだなと読む
■「諢名」は、「本名とは別に、その人の容姿や性質などの特徴から、他人がつける名」です。
□「諢」という漢字は、常用漢字表には掲載がありません。漢和辞典「字通」によれば「コン、おどけ、たわむれ」という字音・字訓があります。「諢名」以外には、一般に使われるような熟語はなさそうです。「諢名」は「たわむれにつけた名前」ということなんでしょうね。
□「あだな」は漢字表記がさまざまにあります。「綽名」、「渾名」、「徒名」、「仇名」。「地獄変」の中では「諢名」が使われていました。
□有吉弘行(ひろいき)というお笑い芸人は諢名をつけるのが得意だそうです。品川庄司の品川という芸人仲間に対して「おしゃべりクソ野郎」という諢名を献上したらしい。たいへん受けまして、流行語大賞を受賞したそうです。ただし、ユーキャンのほうではなくて、「アメトーーク」という番組内での流行語大賞らしい。
□海老名泰葉(やすは)という歌手は別れた元亭主に対して「金髪ブタ野郎」と罵倒したことがあるそうです。どちらかがどちらかに影響したのかな。ちなみに有吉が受賞したのは平成19年(2007年)の大賞、泰葉が離婚したのも同年の秋だったらしい。
□平成24年(2012年)、産経新聞は、前原誠司(せいじ)という民主党の政治家に対して「言うだけ番長」という諢名を献上し、以降の記者会見を拒絶されたそうです。数日で出入り禁止は解除されたそうですが。前原クンは器が小さいと、評判を落としたようです。
□「地獄変」では次のように使われていました。「尤(もっと)もそれより口の悪い誰彼は、良秀の立居(たちゐ)振舞(ふるまひ)が猿のやうだとか申しまして、猿秀と云ふ諢名(あだな)までつけた事がございました」。
[ろ]跛はびっこと読む
■「跛」は、「片方の足に故障があって、歩くときに釣り合いがとれないこと」だそうです。
□「跛」という漢字は常用漢字表には掲載がありません。漢和辞典「字通」によれば「ハ、ヒ、あしなえ、かたよる」という字音・字訓があります。「大辞泉」には「ちんば」という読みも掲載されています。意味は「びっこ」とおなじです。
□「跛行(ハコウ)」という熟語をつくります。「びっこで歩くこと」、「釣り合いの取れていない状態のまま物事が進行していくこと」だそうです。「景気の跛行状態」などと使われるらしい。我が家の家計も支出過多の跛行状態が長く続いているな。
□「地獄変」では次のように使われていました。「…大方足でも挫(くじ)いたのでございませう、何時ものやうに柱へ駆け上る元気もなく、跛(びつこ)を引き/\、一散に、逃げて参るのでございます」。
[は]枉げるはま(げる)と読む
■「枉げる」は、「曲げる」とほぼおなじ意味です。
□「枉」という漢字は常用漢字表には掲載がありません。漢和辞典「字通」によれば「オウ、まがる」という字音・字訓があります。「枉駕(オウガ)」という熟語をつくります。「駕籠を曲げる」ところから「貴人が自ら訪れる」という意味になるそうです。
□「御枉駕の栄を得たく…」という表現は、「ぜひうちに寄って下さい」と勧誘していることになります。ホントに尊敬しているのなら自分から出かければいいのにと思いますけど。まぁ挨拶なんでしょうね。
□「地獄変」では次のように使われていました。「さうか。父親の命乞(いのちごひ)なら、枉(ま)げて赦(ゆる)してとらすとしよう」。この場合の「枉げて」は、「本来の主義・考え・希望などをむりに変えて」という意味のようです。
[に]慳貪はケンドンと読む
■「慳貪」は、「物惜しみすること。けちで欲深いこと」だそうです。「思いやりのないこと。じゃけんなこと」という意味もあります。「突っ慳貪(ツッケンドン)」という言いかたもあります。「無遠慮でとげとげしいさま、冷淡なさま」だそうです。愛想のない応対が突っ慳貪なのかな。
□「慳」という漢字は常用漢字表には掲載がありません。漢和辞典「字通」によれば「ケン、カン、おしむ」という字音・字訓があります。「慳嚢(ケンノウ)」という熟語をつくります。「嚢」は袋の意味ですね。「惜しむ袋」は貯金箱という意味になるそうです。
□「貪」という漢字も常用漢字表には掲載がありません。漢和辞典「字通」によれば「タン、ドン、むさぼる」という字音・字訓があります。「貪欲(ドンヨク)」という熟語をつくります。
□「地獄変」では次のように使われていました。「その癖と申しますのは、吝嗇(りんしょく)で、慳貪(けんどん)で、恥知らずで、怠けもので、強慾で――いやその中でも取分け甚しいのは、横柄で高慢で、何時も本朝第一の絵師と申す事を、鼻の先へぶら下げてゐる事でございませう」。主人公の絵師は、周囲に好かれるタイプの人ではないようです。
[ほ]流石はさすがと読む
■「流石」は、現代の「さすが」とおなじ意味です。「評判どおりだ」と改めて感心する意味があります。「あることを一応は認めながら、一方でそれと相反する感情を抱くさま」も「さすが」です。
□「地獄変」では次のように使われていました。「これには流石の弟子たちも呆れ返つて、中には未来の恐ろしさに、匆々(そうそう)暇をとつたものも、少くなかつたやうに見うけました」。この場合は、「さしもの、定評のある、あれほどの」という意味のようです。
◆参考*1:HP「図書カード:地獄変」
http://www.aozora.gr.jp/cards/000879/card60.html
◇*2HP「地獄変 - Wikipedia」
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%9C%B0%E7%8D%84%E5%A4%89
◇*3HP「常用漢字表:文部科学省」
http://www.mext.go.jp/b_menu/hakusho/nc/k19811001001/k19811001001.html
◇辞書「字通」白川静、平凡社
◇Yahoo! J Dictionaries 大辞泉
◇Yahoo! J Dictionaries 大辞林

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コメント(4件)

内 容 ニックネーム/日時
ロンドンオリンピックで、インド選手団に紛れ込んで歩いた一般女性は、インドに入国したら、火あぶりにしてやると言われているようです。
ねこのひげ
2012/07/30 05:41
コメントをありがとうございます。

 ハハハ。火あぶりとは過激ですね。

 加害者(?)はインドからの留学生という噂もどこかに記されていました。ショーの出演者だったともいわれていますね。

 ちょっとしたイタズラなんでしょうし、誰も実害は被っていません。減刑して、激辛カレーを食べさせる罰ゲームぐらいで勘弁してやってはどうでしょうか。
(^^;)
ねこのひげ様<素町人
2012/07/30 06:30
こんにちは
思い出したネタがあります
>「金髪ブタ野郎」と罵倒した・・・
その、された方の小朝さんご本人の発言です
『・・・みなさん、その後「金髪ブタ野郎」「金髪ブタ野郎」と仰るんですが、正確にはですね「金髪クソブタ野郎」ですからね・・・』
何事も正確なら良しとするものでもないのかな(笑)
ロング
2012/07/30 22:30
コメントをありがとうございます。

 正しくは、金髪クソブタ野郎だったわけですか。凄いな。

 発言者にはそれなりのご不満があったのでしょうけれど、40代の人間としては、もう少し抑制のきいた言動が望まれるところでしょう。
 先代の三平も草葉の陰で泣いているかも。
(^^;)
ロング様<素町人
2012/07/31 05:24

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