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zoom RSS 「びびる」という言葉はいつごろ生まれたの?

<<   作成日時 : 2012/07/19 07:32   >>

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★日本語★
問題:2011年の「タレント番組出演本数ランキング」というのが参考資料*1にありました。1位は有吉弘行(ひろいき)だそうです。昔の猿岩石、最近ではピンで毒舌を売りにした芸人ですね。499本に出演したらしい。平均すると1日に1本以上の仕事をこなしています。休みはないのかな。
■2位はビビる大木だそうです。わずかに3本差だったらしい。この人も受けていますね。いそがしくてたまらないでしょう。
■ところでビビる大木氏の芸名は、「びびる」という言葉がついています。最初はコンビでした。その結成は平成8年(1996年)だったらしい。このころには、「びびる」という言葉が広く認知されていたのでしょう。
■1980年版の現代用語を解説した本には若者用語として「びびる=おじける」と説明されていたらしい*3。「20世紀のことばの年表」という本にも昭和55年(1980年)の流行語として「ぶーたれる」などと並んで「びびる」があげられていました*6。
■では「びびる」という言葉が誕生したのは、いつごろのことでしょうか? 次の中から選んでください
[い]1978年(昭和53年)前後
[ろ]戦後すぐ
[は]昭和の初め
[に]江戸時代
[ほ]戦国時代以前
(答えはずっと下↓ スクロールして下さい)

























★日本語★
正解:[に]あるいは[ほ]?
説明:言葉ですから、「あっ、いま生まれた」という誕生の記録はめったにありません。でも使われている記録は残ります。[に]ぐらいの古さは間違いないらしい。さらに語源の仮説から推定すると、[ほ]である可能性もあるようです。
■江戸時代には、すでに「びびる」という言葉がつかわれているとのこと。「はにかむ、気後れして小さくちぢこまる」という意味だったらしい。江戸中期〜後期の川柳句集である「俳風柳樽(はいふうやなぎだる、柳多留とも)」には「あいさつに 男のびびる 娵(よめ)の礼」という作品が収載されているらしい。
■どんな場面なのか。ちょっとわかりにくい。嫁があらたまって挨拶するということは、実家に帰らせてもらいますということかもしれません。それで亭主がびびるのかな。あるいは、落語「たらちね、あるいは延陽伯(えんようはく)」のように、婚礼の日に嫁が妙にきちんとあいさつするので新郎がはにかむという話なのかな。
■江戸時代の方言辞典「物類称呼(ぶつるいしょうこ)」には、「しぐむということを江戸にてはにかむと云、またびびるともいふ」と記されているとのこと。「しぐむ」はわかりませんが、「はにかむ=びびる」だったことはわかります。「物類称呼」も江戸中期に成立した著作らしい。
■びびるの語源は、合戦の際の音にあったという説もあります。戦で鎧を着た大軍が動くと、その鎧がふれ合って「びんびん」と音が出るそうです。その「びんびん」鳴る音は「びびる音」と呼ばれたらしい*3*4。その音に怖じ気づいて逃げ出したという話も残っているようです。
■参考資料*4では平安末期には「びびる」は使われていたという説が見られます。治承(じしょう)4年(1180年)秋の富士川の戦い、例の水鳥の大群が飛び立つ音に驚いた平家の頼朝討伐軍が「びびる音」と勘違いし、源氏軍と戦わずに逃げ出した。このときに「びびる」という言葉がすでにあったという主張をしているらしい。「びびる音」から「おそれをなす」という意味で「びびる」という言葉が生まれたという仮説のようです。面白い話なので、「平家物語」の富士川の章の周辺を調べてみましたが、残念ながら「びびる」という言葉は見つかりませんでした*5。
■古典では、「枕草子」273段には「ほそやかにびびしきをのこ」という文字列が見られます。こちらは形容詞風ですね。注釈によれば、「(びびしの)語義はかならずしも確かではない」とのこと*7。専門家たちも判断しかねている言葉のようです。「細やかにびびしき男」であれば、「びびる」ことも多い…なんて憶測は、きっと間違いなのでしょうね。
■平安末期説が事実かどうかはよくわかりません。でも、少なくとも最近生まれた若者言葉でもないし、現代用語でもないようです。
■余談です。「日本国語大辞典」によれば、関西においては「びびる」が「大小便を漏らす、する」という意味につかわれているとのこと。関東の「ちびる」とおなじらしい。あの徳川家康が三方ヶ原の戦いで武田信玄に敗れ、命からがら浜松城に逃げ帰ったとき、あまりの恐怖に脱糞していたというお話があります。これも「びびる」だったのかな。
■「ビビる」の大木氏は関東のご出身のようですが、関西における意味はご存じだったのでしょうか。ひょっとしたら、知っていて敢えてつけたのかな。
◆参考*1:HP「1位は毒舌のあの人!2011年タレント番組出演本数ランキング発表|メディア分析/モニタークリッピング | ニホンモニター株式会社」
http://www.n-monitor.co.jp/pressreiease/2011/1213.html
◇*2HP「ビビる大木 - Wikipedia」
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%93%E3%83%93%E3%82%8B%E5%A4%A7%E6%9C%A8
◇*3番組「気になる言葉 『びびるは若者言葉?』」2006年6月27日放送、NHK
◇*4HP「ビビる - 語源由来辞典」
http://gogen-allguide.com/hi/bibiru.html
◇*5書籍「平家物語(五)」文庫初版184〜225頁、杉本圭三郎訳註、ISBN4-06-158355-7、講談社
◇*6書籍「20世紀のことばの年表」初版214頁、加藤迪男(みちお)著、ISBN4-490-10567-3、東京堂出版
◇*7「原文&現代語訳シリーズ枕草子(能因本)」初版331頁、松尾聰(まつお さとし)・永井和子(ながい かずこ)著、ISBN978-4-305-70422-1、笠間書院
◇辞書「日本国語大辞典」小学館

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コメント(4件)

内 容 ニックネーム/日時
時代小説の○○捕り物帳とかいうので、同心が、人殺しの犯人が「びびりやがって・・・」とつぶやいたのを目撃者から聞いて、「びびる・・・って、なんだ?」と同僚の同心と話し合う場面が出てきました。
花魁や戯作者にきいてもわからず、けっきょく、犯人を追って大阪から下ってきた大阪の同心がその意味を教えてくれるという内容でした。
この作者の名前は忘れましたが、時代考証をしっかりしていたことになりますね。
ねこのひげ
2012/07/20 05:29
コメントをありがとうございます。

 ひょっとしたらと思って青空文庫の「半七捕物帳」を調べてみましたが、収載されている70編ほどの中にはありませんでした。
 何の捕物帳でしょうね。知りたいところです。
(^^;)
ねこのひげ様<素町人
2012/07/20 11:18
ねこのひげも、本棚を調べてみましたが、でてきません。
ダンボールにいれてしまったかな?
岡本綺堂のように古い作家ではなく最近の作家だったと思うんですが・・・・文庫だった記憶もあるんですが・・・・すいませんです。<(_ _)>
ねこのひげ
2012/07/21 06:30
コメントをありがとうございます。

 ご迷惑をおかけしたのかもしれません。恐縮です。
m(_ _)m
ねこのひげ様<素町人
2012/07/21 07:09

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