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zoom RSS 脳の人間ドックは受けないほうがいいの?

<<   作成日時 : 2012/06/29 07:07   >>

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★科学★
問題:若いかたはご存じないかもしれませんが、年配の者どうしの会話では、しばしば脳ドックという言葉がでてきます。人間ドックはおもに五臓六腑の調子を調べますが、脳ドックは脳みそを検査するものらしい。
■昭和63年(1988年)に札幌の病院が始めたのが嚆矢(こうし、初め)とされています。日本では多くのかたが受検しているらしい。しかも少なからぬかたが異常を発見され、脳の手術に至っているそうです。2ヶ月ほど前でしたか、吉本興業の池乃めだかという芸人が動脈瘤の手術を受けたといって話題になっていましたね。
■脳内の血管の動脈瘤が、脳ドックで見つけられるらしい。破裂寸前の動脈瘤ならば、手術で一命をとりとめることもできるそうです。
■脳出血やクモ膜下出血などのいわゆる脳卒中(脳血管障害)では、毎年約14万人が亡くなっているらしい*1。癌・心疾患に次いで我が国第3位の死因となっています。助かった場合でも半身不随や寝たきりになったりします。長嶋茂雄氏も後遺症に苦しんでいるようですし、西城秀樹氏も戦っているらしい。
■では、脳ドックの検査の世界での普及状況はどうなのでしょうか? 参考資料*1に記された2008年前半ぐらいの状況を正解とします。
[い]欧米では日本の倍以上の人たちが毎年受検している
[ろ]なぜかアメリカでは脳ドックはやらないがドイツやフランスでは日本並みに受検する人が多い
[は]世界中の富裕層だけが受検しており、中流以下の人は受検できない
[に]東アジアでは盛んだが、他の地域ではなぜか実施されていない
[ほ]日本以外ではどこもやっていない
(答えはずっと下↓ スクロールして下さい)

























★科学★
正解:[ほ]日本以外ではどこもやっていない
説明:参考資料*1は平成20年(2008年)の7月末に発行されたらしい。書き上げたのは年の前半だろうと推測しました。その46頁に「ところで、世界中で脳ドックが行なわれているのは日本だけです」という記述がありました。
■脳ドックがスタートした当初は破裂する前に動脈瘤を見つけられれば…という期待があったらしい。もちろんそういう幸運な例もあるのでしょう。でも、脳ドックでよく見つかるのは1cm未満の動脈瘤だそうです。池乃めだかの場合も3mmの未破裂動脈瘤だったようです。
■昔は、この大きさの動脈瘤の破裂率は年に1〜2%ぐらいという意見が支配的だったらしい。でもそれは20世紀末までのお話です。平成10年(1998年)に欧米の53の医療機関が、破裂していない動脈瘤を持つ2621人を対象に調査します。その結果では破裂率は年に0.05%だったそうです。この数字は有名な医学雑誌の記事となり、世界中のメディアに取り上げられたそうです。
■年に2%の破裂率ですと、20年以内に破裂する率は1/3ぐらいになります。なかなか高い。ドキドキしてきますね。でも0.05%ですと、20年以内に破裂する率は1/100以下です。破裂する人はかなり運の悪い人です。ほぼ無視していいことになります。
■日本脳ドック学会という業界団体が会員企業にアンケートをとったことがあるようです。平成13年(2001年)に実施されたらしい。つまり有名な医学雑誌の記事が発表されたあとの話です。全国の脳外科医のうち、患者に説明する際に示す年間破裂率は1%と言う人が38%でトップ。2%と言う人が23%であり、0.05%という数値を示す人は2%しかいないらしい。これが事実ならば、大部分の脳外科医は「医は算術」というわかりやすい信念を抱いていることになります。
■日本で脳ドックが行なわれる理由として参考資料*1の著者は大胆な仮説を紹介しています。日本の脳外科医は約5000人いますが、人口が日本の2倍以上いるアメリカには脳外科医が3200人しかいないとのこと。もちろんアメリカの脳外科医の数が適正なのかどうかはわかりません。ただ日本のほうが競争が厳しいことは事実でしょう。
■もうひとつドッキリするお話。読売新聞では、平成15年(2003年)の秋に「医療ルネサンス」という看板で、「未破裂動脈瘤を考える」という短期連載記事を掲載しています。そのまとめとして参考資料*2には次のような記述がありました。「未破裂動脈瘤の治療では、手術、血管内治療のいずれでも、約1%が死亡、重い後遺症は5%程度に起こる」。池乃めだかの場合、いまのところ生きているようですし、後遺症も見られないようです。運がよかったのかな。
■破裂の可能性が高い大きな動脈瘤が見つかったら、リスクを冒しても手術が必要なのでしょう。でも放置しても破裂の可能性が低い小さな動脈瘤ばかりが見つかるのではね。さらに手術したら死や後遺症の可能性が高いのでは肩をすくめるしかありません。もし参考資料*1や*2の記述が事実ならば、なんのための医療かわからなくなります。
■素人の判断としては、脳ドックは受けても無駄に見えます。自覚症状が出たり発作が起きたりしたら、慌てて病院に駆け込むことにしましょう。参考資料*1のいうように日本以外では脳ドックが実施されていないとすれば、他国の人もきっとそんな姿勢なのでしょう。
◆参考*1:書籍「テレビじゃ言えない健康話のウソ」簡装版初版42〜46頁、中原英臣著、ISBN978-4-16-370420-3、文藝春秋
◇*2新聞「[医療ルネサンス]読者の反響(5)未破裂脳動脈瘤(連載)」読売新聞東京朝刊22頁

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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
医が算術というのは昔からですな〜
日本人は、悲観論者が多いので、不安に駆らられて脳検査をしてもらう人が多いのかも。
人類の原点であるアフリカに近くなるほど楽観論者が増えるそうですけどね。
ねこのひげ
2012/06/30 05:44
コメントをありがとうございます。

 「人類の原点であるアフリカに近くなるほど楽観論者が増える」というのは面白いですね。

 21世紀の現実としては、アフリカに近くなるほど経済や政治で失敗する国が多いような気もしますけど。
(^^;)
ねこのひげ様<素町人
2012/06/30 06:58

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