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zoom RSS 絶対にお咎めを受けない詐欺の方法。房吉の手口とはどんなもの?

<<   作成日時 : 2012/06/02 07:08   >>

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★歴史★
問題:江戸時代のお話です。弥兵衛店と呼ばれる裏長屋に房吉という人物が引っ越してきました。若い独り者です。近所への挨拶はちゃんとすませました。でもあとは毎日家にこもってコチコチという音を立てています。外へ稼ぎに出る様子はありません。何をしているんだろう。近所の人が戸の隙間から覗くと、背中を向けて何かを叩いています。
■「房吉さん、あんたの仕事はなんなのさ」、「いや、なにね」。房吉はなんとなく誤魔化して笑っています。それ以外はとくに怪しいところもありません。長屋の住人は、「きっと飾り職人だな」と考えたようです。飾り職人というのは、「金属で簪(かんざし)・金具などの細かい装飾品を作る職人」だそうです。
■実は房吉は詐欺師です。のちにある人物を引っかけて手痛い損害を与えることになるのですが、その騙された相手というのは次のどの立場の人でしょうか?
[い]お寺の住職
[ろ]大名の正室
[は]長屋の大家
[に]仏具屋の主人
[ほ]両替屋の番頭
(答えはずっと下↓ スクロールして下さい)

























★歴史★
正解:[ほ]両替屋の番頭
説明:ある日、表通りにある山城屋という両替屋の店頭に房吉があらわれます。「番頭さん、ちょっとこれを見てもらいてぇんだが」といって短冊形の一分銀を見せます。「こりゃ、新吹の一分銀だね」。新吹(しんぶき)というのは新しく鋳造された貨幣、あるいは新品の貨幣という意味があるそうです。ここでは後者の意味かな。
■「出来映えはどんなものでしょう」、「そりゃ、艶もいいし、綺麗だな」。「ホントにそう思いますか」。「妙な人だね。お上のお作りになる通用金だよ。綺麗だろうと汚れていようと一分は一分だよ」。「……」。
■その日からときどき房吉は山城屋を尋ねて一分銀を見せるようになりました。「あのね、房吉さん、あんたときどき一分銀を見せに来るけど、何か理由があるのかい」、「へっへっ、実はね、これはあっしが悪戯でこさえたものなんですよ。毎日オアシを見ている番頭さんにわからないのなら、自分の腕も満更じゃねぇなと思いましてね」。
■「驚いたな。本当ならたいした技術だな。毎日お金を扱っている私でさえ、まるで見分けがつかない。できれば私も少しこさえてほしいと思うぐらいだ」。「番頭さん本当ですか。その気なら相談に乗らないこともないんですが。ただ元手がかかるんですね。あっしらは元手がないからたいしたことはできねぇんだが」。
■番頭は腕組みをしてしばらく黙っていましたが、やがてこう質問します。「かりにだよ、私が10両を都合したとして、どれぐらいの儲けになるんだい」。「そうさね。半分は銀にかかるから20両分ぐらいの一分銀ができるのでちょうど倍になる勘定かな」。「よし。じゃ私は20両を都合しよう。40両分の一分銀ができるんだな。間違いないな」。「確かさ。ただね、あっしの取り分はどうなるのさ」。「いくら欲しい」。「そうさな、10両といいてえところだが、まけて半分の5両にしとこうか」。「よし決めた。儲けの20両のうち15両は私、5両はお前さんの取り分だ」。悪い相談はさっさとまとまるようですね。
■数日後に房吉は番頭から20両を受け取ります。番頭は贋金の完成を待っていましたが、なかなか房吉はやってきません。ふた月ほど経ち、痺れを切らした番頭は房吉の長屋を訪ねます。
■「房吉さん、例の物はまだかね。待ちくたびれているんだが」。「えっ番頭さん。なんの話ですか」。「冗談いってもらっちゃ困るよ。例の贋金づくりの話だよ。20両渡したじゃないか」。番頭は声をひそめつつも強い調子で迫ります。ところが房吉は白を切ります。贋金の話なんか何か知らない。私は堅気の人間だ。贋金づくりは天下の大罪であり、磔になるかもしれない。そんな恐ろしいことに加担するわけがない。番頭さんあんた夢でも見たんじゃないのかい。それともホントに贋金づくりを企んでいるのかい。それなら奉行所にお恐れながらと届けなければいけないね。
■房吉の野郎、騙したな。でも後の祭りです。房吉は飾り職人ではありません。近所に噂をばらまくために毎日引きこもってトントン叩く音を響かせていただけ。両替屋の番頭に見せた一分銀は本物だったわけですね。数ヶ月で元手の一分銀を20両に増やした房吉は、まもなく弥兵衛店から姿を消したそうです。
■このお話の元ネタは、参考資料*1から拝借しました。
◆参考*1:書籍「大江戸かくれ話事典」初版145〜148頁、平田公(ひらた こう)著、ISBN4-7947-0288-4、叢文社
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コメント(4件)

内 容 ニックネーム/日時
なるほどですが、後からの仕返しはなかったんですかね〜(~_~;)
簀巻きにされて、隅田川に放り込まれそうですけどね。

贋金ではないですが、コレクター商品として大判小判の模造品が作られたという話を聞いたことがあります。
いまだと、観光地で売られている1億円札とかみたいなお金で、偽物とわかるように印があったようです。
ねこのひげ
2012/06/02 08:01
コメントをありがとうございます。

 たしかに、両替屋がやくざ者を雇って復讐、という可能性もありますね。ほとぼりが冷めるまで、しばらく上方にでも行くのかな。
(^^;)



(^^;)
ねこのひげ様<素町人
2012/06/02 20:37
鮮やかな"確信犯""ぺてん師"かな

・詐欺師
・いかさま師
・ぺてん師

なんとも鮮やかな手口でしたね。「ミナミの帝王」に出てきそうなパクり(笑)

sadakun_d
2012/06/04 10:10
コメントをありがとうございます。

 一分銀は金と等価で1/4両とWikipediaに記されています。現在でいえば1万円の元手で80万円を稼いだような倍率のようです。
(^^;)
sadakun_d様<素町人
2012/06/04 13:56

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