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zoom RSS 皮肉屋斎藤緑雨の「青眼白頭」からの読み問題。「蟇口」はなんと読むの?

<<   作成日時 : 2012/05/14 07:02   >>

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★日本語★
問題:斎藤緑雨(りょくう)は、明治時代に生まれて死んでいます。大逆事件の冤罪で殺された幸徳秋水(しゅうすい)の親友としても知られます。いわゆる文豪ではありません。でも、面白い言い回しをするので人気の高い随筆作家です。漫文家・雑文家といってもいいのかな。ちかごろの呼び名ではコラムニストですね。小説も書いていましたっけ。
■「筆は一本也、箸は二本也。衆寡(シュウカ)敵せずと知るべし」という言葉で知られています。「衆寡敵せず」は「多勢に無勢」と似たような意味です。
■最近では筆はおろか、手書きをする人が減っています。とくに若い人のほとんどは文字鍵盤で文字を打っています。キーボードでは、多くの場合、キーは100鍵前後もあります。それで近ごろの作家は裕福なのかな。
■本日は、斎藤緑雨の皮肉な短文「青眼白頭(セイガンハクトウ)」からの読み問題です。青眼白頭をそのまま脳裏に描くと、プロレスラーの白髪鬼、フレッド・ブラッシーですね。力道山と戦い、リング上での流血惨事にテレビ観戦中の老婆がショック死したという伝説があります。斎藤緑雨先生がブラッシーをご存じだったとは知りませんでした。
■本来、青眼は「親しい人が訪れたとき、喜んで迎える目つき」の意らしい。反対語が「白眼」。「白眼視する」とは、冷たい目つきで見ることですね。そして白頭は白髪頭です。「青眼白頭」は何なのでしょうか。「年寄りに暖かい視線を」という公共広告機構のキャッチフレーズみたいな言葉なのかな。
■剣道には青眼の構えというのがあります。「正眼・晴眼・星眼・清眼」とも書くそうです。「剣の切っ先を相手の目に向けて中段に構えるもの」だそうです。この場合はあまり暖かい視線ではなさそうですね。
■それはともかく斎藤緑雨先生の御本からの読み問題です。次の漢字・熟語の読みは何でしょうか?
[い]敲く
[ろ]蟇口
[は]燕趙悲歌
[に]併し
[ほ]按ずる
(答えはずっと下↓ スクロールして下さい)



























★日本語★
正解:各項目を参照してください
説明:[い]敲くはたた(く)と読む
■「敲く」は、叩くとほぼおなじ意味らしい。
□「敲」という漢字は、常用漢字表には掲載がありません。漢和辞典「字通」によれば「コウ、うつ、たたく」という字音・字訓があります。
□例の「推敲(スイコウ)」という言葉にも含まれる漢字ですね。「僧は推す月下の門」より、「僧は敲く」のほうがいいよと唐の大文学者韓愈(かんゆ)は言ったらしい。助言を受けた唐の詩人賈島(かとう)は素直に従ったようです。
□「青眼白頭」の中では次のように使われていました。「志(こゝろざし)は行ふものとや、愚(おろか)しき君よ、そは飢(うゑ)に奔(はし)るに過ぎず。志は唯(たゞ)卓を敲(たゝ)いて、なるべく高声(かうせい)に語るに止(とゞ)むべし。生半(なまなか)なる志を存せんは、存せざるに如かず、志は飯を食はす事なければなり。志は欠くも、飯は欠くを得ざればなり」。高邁な「志」なんて金にならないのだから、ポーズにとどめておくほうが賢明だと、若い人たちに諭しているのかな。
[ろ]蟇口はがまぐちと読む
■「蟇口」は、「蝦蟇口」とも表記されます。口金のついた小銭入れですね。開いた口がガマの口に似ているので「がまぐち」と呼ばれます。
□「蟇」という漢字は常用漢字表には掲載がありません。漢和辞典「字通」にもありません。国字かもしれません。ATOKの辞書によれば「バ、マ、バク、ひき、ひきがえる」というという音読み・訓読みがあります。「がま」は「ヒキガエルの俗称」だそうです。
□「青眼白頭」の中では次のように使われていました。「慷(かう)して慨せざる可けんやと、息巻(いきまき)荒き人の声の、蟇口(がまぐち)の中より出づるものならぬは、今に於てわれの確信する所なり…」
□斎藤緑雨の皮肉は貧乏人にも向けられます。「英雄を罵る、快事たり。美人を罵る、亦快事たり。されども共に、銭なき時の事たり」。貧乏人は幸せな人の悪口を言うぐらいしか楽しみがないといっているらしい。そのあとに続くのが上の例文です。
[は]燕趙悲歌はエンチョウヒカと読む
■「燕趙悲歌」は四字熟語としてはあまり見かけません。燕は河北省、趙は山西省あたりを指すらしい。この地域の人々はよほど悲しい目にあっているのでしょうか。悲しい歌を歌ったり、憤り嘆くことが多かったようです。
□「青眼白頭」の中では次のように使われていました。「…と雖も、曾て燕趙悲歌(えんてうひか)の士多(おほ)してふ語をきける毎に、定めしお金が無かつたらうとおもふを禁(とゞ)め得ざりき。我れの矛盾にあらず、彼れの進歩のみ」。[ろ]の文章に続く一節です。
[に]併しはしか(し)と読む
■「併し」は逆接の接続詞です。「だが、ではあるが、けれども」です。
□「併」という漢字は、常用漢字表では「ヘイ」という音読みだけが記されています。漢和辞書「字通」によれば「ヘイ、ならぶ、あわせる、ともに、しかし」という字音・字訓があります。「合併、併合」などの熟語でおなじみですね。
□「青眼白頭」の中では次のように使われていました。「画(ゑ)をかく人々、字をかく人々に告ぐ。お金を払つて買つて下さるは、まことに難有(ありがた)いお方なり。併(しか)しながら大抵は、わからぬ奴なり」。画家や書家の客というのは有り難い存在ではある。でも往々にして客すなわち理解者ではないよ…という意味らしい。
[ほ]按ずるはあん(ずる)と読む
■「按ずる」とは「案ずる」とおなじ意味だそうです。「按ずるに」は、「考えてみると」ですね。
□「按」という漢字は、常用漢字表には掲載がありません。漢和辞典「字通」によれば「アン、おさえる、しらべる」という字音・字訓があります。「按摩(あんま)」という熟語をつくります。「筋肉のこりを揉みほぐす行為」、あるいはそれを行なう人ですね。
□「青眼白頭」の最後に、よく知られた警句が記されていました。「按ずるに筆は一本也、箸は二本也。衆寡(しゅうか)敵せずと知るべし」。
◆参考*1:HP「図書カード:青眼白頭」
http://www.aozora.gr.jp/cards/000565/card3224.html
◇*2HP「常用漢字表:文部科学省」
http://www.mext.go.jp/b_menu/hakusho/nc/k19811001001/k19811001001.html
◇Yahoo! J Dictionaries 大辞泉
◇Yahoo! J Dictionaries 大辞林
◇辞書「字通」白川静、平凡社

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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
去年、ひさしぶりに、手書きで文章を書く機会があり、延々と書いていたら、腕とか指がつりそうになりましたよ。
キーボードのありがたさを感じたしだいです。
辞書を見る必要もありませんしね。
そのおかげで誤字脱字が増えたんでしょうけどね(^^ゞ
ねこのひげ
2012/05/14 07:49
コメントをありがとうございます。

 素町人も昔はペンだこがあったんですが、いまはまるでなし。いま手書きで書くものは、住所とか氏名ばかりです。
(^^;)
ねこのひげ様<素町人
2012/05/14 17:20

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