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zoom RSS 上方落語に登場する不思議な言葉。「チボ」ってなんのこと?

<<   作成日時 : 2012/04/26 09:38   >>

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★日本語★
問題:以前にも弊クイズで上方落語に登場する大阪弁について触れたことがあります。「すまんだ」とか「けんたい」なんて、関東の人間にはなかなかピンと来ません。「すまんだ」は「隅っこ」を示すらしい。「デスクトップPCの蓋を開いたら、筐体のすまんだに小さなゴギブリの遺体がころがっていた」なんて使うのかな。
■「けんたい」は、「当然の権利のようにふるまう様子」を表すらしい。「DVDを店先でコピーしたって? けんたいでやれるこっちゃないで!」なんて使うのかな。
■本日もかなりむずかしい大阪弁のクイズです。次の言葉の説明のうち、正しいものはどれでしょうか? (正解は複数かも)
[い]「チボ」とは小さな出来物のことである
[ろ]「こなから」とはキメの細かい雪花菜(おから)で高級品である
[は]「きょと」とは臆病者を指す
[に]「かもか」とは小さな子供向けの甘味の強い駄菓子である
[ほ]「くちごお(う)はい」とは酒が強くてなかなか倒れない者を意味する
(答えはずっと下↓ スクロールして下さい)

























★日本語★
正解:正しい説明はない
説明:[い]「チボ」とは小さな出来物のことである(×)
■正しくは、「チボとは掏摸(すり)のこと」だそうです。他人の懐中から気付かれずに金品を盗む泥棒ですね。技術職なので泥棒仲間では階級が上に見られているらしい。掏摸たちもそれなりの誇りをもって仕事をしている…のかな。
□参考資料*2によれば、戦国時代には掏摸は「ぬき」と呼ばれていたそうです。当時も「すり」という言葉があり、豊臣五奉行の作成した文書のひとつには「辻切すり盗賊の儀」云々と記されているそうです。この場合の「すり」は土蔵破りの意味で使われていたという説が強いらしい。仕立屋銀次のほうではなく、石川五右衛門のほうなのかな。
□現在の掏摸は、明治頃には「まっちゃん」とか「もさ」という呼びかたもされていたらしい。ダウンタウンの片割れは昔でいえば掏摸と同義の名前だったんですね。昭和の初め頃に録音された上方落語には、「ちゃりんこ」という言葉が盛んに使われ、これは子供の掏摸を指した言葉だったらしい*3。
□「すり取る」、「ぬき取る」から「すり、ぬき」という呼び名になったのは理解できます。あとの「ちぼ、まっちゃん、もさ、ちゃりんこ」については、語源がよくわかりませんね。
[ろ]「こなから」とはキメの細かい雪花菜(おから)で高級品である(×)
■正しくは、「愛人・妾」の意味だそうです。この言葉は手の込んだ言葉遊びになっているらしい。大阪弁・関西弁では、容積の「5合」のことを「なから」と呼んだそうです。1升の半分です。1合が約180mlですから約900mlなのかな。さらにその半分は「こなから」と呼ばれます。約450mlですね。2合と半分です。「2合半=2号はん」という駄洒落で、「こなから」は継続的な経済的援助を受けて性を提供する女性の意味になったらしい。
[は]「きょと」とは臆病者を指す(×)
■正しくは、「落ち着きのないあわて者」を指すらしい。「きょときょとする」という言葉があります。「不安や恐れなどのために、落ち着きなくあちこち見まわすさま」だそうです。「きょろきょろする」ともいいますね。
□大阪弁・関西弁では、ゲラゲラ笑うヒトのことをゲラと呼ぶらしい。チョカチョカと落ち着きのない人はチョカ。コセコセしている人はコセだそうです。「きょと」も似たような成り立ちの言葉なのかな。
□上方落語「植木屋娘」の主人公は娘さんから「きょとの慌て者」と評されています。当人も自覚があるようです。
[に]「かもか」とは小さな子供向けの甘味の強い駄菓子である(×)
■正しくは、「鬼の発する警告・威嚇の言葉」だそうです。大阪弁・関西弁を使う鬼は、「かもか」と一声発してから人間を襲撃するらしい。関東の言葉でいえば「噛んでやろうか」なのかな。
□若い頃、週刊誌に掲載されていた連載のコラムに「カモカのおっちゃん」というのがよく登場しました。この「カモカ」なる言葉はいったいなんだろう。まるで説明されないけれど。長く疑問に思っていました。記事は田辺聖子(せいこ)という作家の筆になるもので、「カモカのおっちゃん」は旦那さんでお医者さんだったかと記憶します。きっと小児科医ではないんだろうな。子供が怯えますよね。
□上方落語「狸の化寺」では、狸が怪しい化け物になって「カモカ!」と人を襲うという場面があります。
[ほ]「くちごお(う)はい」とは酒が強くてなかなか倒れない者を意味する(×)
■正しくは、「口やかましい」という意味だそうです。「うちの課長はくちごおはいやけど、査定は公平や」といえば、なにかと注意されたりするけれど、見るところは見ている人なのでしょうかね。
□「口豪輩」という漢語みたいな言葉が語源とする説があるそうです。「口強い(くちごわい)」という言葉から生まれたという説もあるらしい。
□上方落語「植木屋娘」では次のように使われていました。「…それからな、あの幸右衛門ちゅう男、口豪輩(くちごぉはい)な男じゃが、いたって腹のさっぱりしたえぇ男じゃで、何を言われてもどぉぞ気にせんよぉにな」。
◆参考*1:書籍「落語大阪弁講座」初版184〜185頁、小佐田定雄(おさだ さだお)著、ISBN4-582-82131-1、平凡社
◇*2書籍「下等百科辞典」復刻本初版、尾佐竹猛(おさたけ たけき)著、礫川全次(こいしかわ ぜんじ)校訂・解題、ISBN4-8265-0276-1、批評社
◇*3HP「ちゃりんこについて(まさ): ことば会議室」
http://kotobakai.seesaa.net/article/8174272.html
◇*4HP「【上方落語メモ第1集】その20 / 植木屋娘」
http://homepage3.nifty.com/rakugo/kamigata/rakugo20.htm
◇*5HP「【上方落語メモ第3集】その121 / 狸の化寺」
http://homepage3.nifty.com/rakugo/kamigata/rakug121.htm

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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
ぜんぶ、間違いとは・・・・
チャンリンコって子供のスリですか、現代では自転車もチャリンコとかチャリといいますが・・

カモカのおっちゃんは、読んだことあります。
旦那さんは、外科医で診療所の所長で5人の子持ちだったんですが、意気投合して後妻にはいたあとの、ドタバタを書いたエッセイでしたね。

噛もうか?がカモカになったのかも?(^_^.)
ねこのひげ
2012/04/27 04:48
コメントをありがとうございます。

 「正解はないかもしれないし複数かも知れません」と但し書きをつけておくべきでした。
m(_ _)m

 ネット上には落語を文字に直した頁がいくつもあります。上方落語の「狸の化寺」もそんな頁があります。

 そこには次のように記されていました。

 …そばまで来たとところで、急にガッと様子が変わると、大きな目をむいて口を開けて「噛もか〜〜ッ!」と飛びかかった…

 噛もうかが「カモカ」になったのはきっと間違いないのでしょうね。
(^^;)
ねこのひげ様<素町人
2012/04/27 19:03

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