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zoom RSS 難易度の高い対義語の問題。「誤字脱字」の「脱字」の反対語は何なの?

<<   作成日時 : 2012/04/23 07:25   >>

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★日本語★
問題:誤字脱字の脱字。文字通り字が抜け落ちていることですね。ではこの言葉に反対語はあるのでしょうか?
■答えは、「衍字」だそうです。エンジと読みます。「行」という漢字のあいだに水を示す記号が挟まれています。水際を行くのかな。
■いきなり余談です。「衍」という漢字は、鎌倉攻めで稲村ヶ崎を通る新田義貞(よしさだ)みたいでもあります。「義貞の 勢はあさりを ふみつぶし」という川柳があるらしい。南朝の暦では元弘(げんこう)3年の5月21日、西暦では1333年7月3日の出来事とされています*4。
■衍という漢字は、常用漢字表には掲載がありません。漢和辞典「字通」によれば「エン、あまる、おおい」という字音・字訓があります。敷衍(フエン)という熟語をつくります。「おしひろげる」という意味があります。「意味・趣旨をおし広げて説明すること」だそうです。「例などをあげて、くわしく説明すること」とのこと。
■用例を探していたら、夏目漱石の「文芸の哲学的基礎」という文章で次のようにしつこく使われていました。「ここに三四頁ページばかり書いたノートがあります。これから御話をする事はこの三四頁の内容に過ぎんのでありますからすらすらとやってしまうと十五分くらいですぐすんでしまう。いくらついでにする演説でもそれではあまり情ない。からこの三四頁を口から出まかせに敷衍して進行して行きます。敷衍しかたをあらかじめ考えていないから、どこをどっちへ敷衍するか分らない。時によると飛んだり寄り道をして、出る所へも出られず、帰る所へも帰れないかも知れないと云うすこぶる心細い敷衍法を用います」。
■衍字とは、「語句の中に誤って入った不必要な文字」だそうです。ワープロで打たれた文章には衍字が多いですね。カットアンドペーストという機能がもたらしているのかな。慌てて作業した結果、切りくずみたいな文字が残っていたりします。弊クイズでも時々見られます。困ったものです。
■では、ようやくクイズです。次の言葉の反対語を考えて下さい。参考資料*1に記された言葉を正解とします。
[い]悠々(ゆうゆう)⇔
[ろ]恩人(おんじん)⇔
[は]内股(うちまた)⇔
[に]愛日(あいじつ)⇔
[ほ]威圧(いあつ)⇔
(答えはずっと下↓ スクロールして下さい)



























★日本語★
正解:各項目を参照してください
説明:[い]悠々(ゆうゆう)の反対語は齷齪である
■齷齪は「あくせく」と読みます。「細かいことを気にして、落ち着かないさま」だそうです。「目先のことにとらわれて、気持ちがせかせかするさま」でもあります。
□齷も齪も常用漢字表には掲載がありません。漢和辞典「字通」によれば齷は「アク、ちいさい、こせつく」という字音・字訓があります。齪は「サク、セク、シュク」という字音だけがあります。「歯がふれあうこと」らしい。早飯を喰っている様子のようにも感じられますね。
□早飯早糞は芸の内などといいます。でもその様子はたしかにアクセクした感じです。可処分所得の多い人は早飯早糞なんて必要ないのでしょう。昔、どこかで読んだのですが、道を歩く速度、自転車で走る速度、クルマを運転する速度は、貧乏な人ほど速いらしい。ゆっくり歩いているのは豊かな人なのかな。そういえばロールスロイスのスピード違反なんてあまり見ないような気もしますね。
□齷齪は、もとは「アクサク」と読んでいたとのこと。読みが変化してアクセクになったようです。
[ろ]恩人(おんじん)の反対語は仇敵である
■仇敵は「キュウテキ」と読みます。「あだがたき」とも読みます。「恨みや憎しみを抱いている相手」ですね。浅野家や赤穂浪士たちにとっての吉良上野介(こうずけのすけ)。曾我十郎五郎兄弟にとっての工藤祐経(すけつね)です。
□仇という漢字は、常用漢字表には掲載がありません。漢和辞典「字通」によれば「キュウ、かたき」という字音・字訓があります。
□あまり使われない言葉ですが仇偶(キュウグウ)という熟語をつくります。連れ合いという意味らしい。偶数をつくる者だから偶という漢字が使われているのかな。連れ合いとは仇同士だという意識のあらわれかな。仇だから油断をするなという戒めなのかもしれません。
[は]内股(うちまた)の反対語は外股である
■これは単純でいいですね。外股は、「足先が外側に向く歩き方」だそうです。内股はその逆で、「足先が内側に向く歩き方」です。雨の日には内股で歩く人が増えます。泥ハネを気にしているのでしょうね。
□内股には、大腿部の内側という意味もあります。内股膏薬(うちまたこうやく)という言葉の場合には、この意味なんでしょうね。「(内股にはった膏薬が右側についたり左側についたりするところから)しっかりした意見や主張がなく、都合しだいで立場を変えること」だそうです。消費税に反対したり賛成したり都合次第で立場を変える。これも内股膏薬の一種なんでしょうか。
[に]愛日(あいじつ)の反対語は畏日である
■畏日は、「夏の炎天の日」のことだそうです。愛日は、「冬の日光」のことらしい。たしかに猛暑日には、体力の落ちたお年寄りや無茶をする若者を中心に熱中症で犠牲者が出ることがあります。畏(おそ)れるべきでしょう。冬の日光は弱々しくても寒さをやわらげてくれるありがたい存在ですね。
□畏という漢字は常用漢字表には掲載がありません。漢和辞典「字通」によれば「イ、ワイ、おそれる、つつしむ」という字音・字訓があります。おそれつつしんで相手に対するのが畏怖(イフ)なんでしょうね。
□ケモノ偏をつけると「猥」という漢字になります。「性に関してふまじめで、だらしのないさま」という意味が出てきます。「おそれつつしんでいる」のと真逆なたるんだ雰囲気になりますね。ケモノ偏のパワーおそるべし。
[ほ]威圧(いあつ)の反対語は懐柔である
■懐柔は、「うまく扱って、自分の思う通りに従わせること」だそうです。威圧は、「威光や威力で、相手をおさえつけること」ですね。日本の周辺国にも威圧の大好きな国がいくつかあります。世界で侮蔑の対象になっています。
□圧という漢字は常用漢字表では「アツ」という音読みだけがあります。漢和辞書「字通」では「アツ、オウ、エン、おさえる、しずめる」という字音・字訓があります。旧字は「壓」です。呪力にかかわる漢字だそうです。地の霊を鎮圧するという意味があるらしい。
□残念ながら、現代の科学者たちによれば、地の霊は鎮圧できないようです。マントルの対流によってプレートが移動し、プレートの境界で沈み込む。そのとき生まれる歪みが開放されると大きな地震が起こるといわれます。地の霊の怒りです。マントルの対流は膨大なエネルギーです。人類はいまだに対抗できるエネルギーを生んではいないようです。でもマントルの対流をエネルギーに変換する、つまり懐柔することはできるような気もしますけど。できるとしてもだいぶ先なのかな。
◆参考*1:HP「対義語・反対語辞典」
http://hanntaigo.main.jp/
◇*2HP「常用漢字表:文部科学省」
http://www.mext.go.jp/b_menu/hakusho/nc/k19811001001/k19811001001.html
◇*3HP「図書カード:文芸の哲学的基礎」(青空文庫)
http://www.aozora.gr.jp/cards/000148/card755.html
◇*4HP「新田義貞 - Wikipedia」
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%96%B0%E7%94%B0%E7%BE%A9%E8%B2%9E
◇辞書「字通」白川静、平凡社
◇Yahoo! J Dictionaries 大辞泉
◇Yahoo! J Dictionaries 大辞林

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コメント(5件)

内 容 ニックネーム/日時
これは、なかなかぬつかしいですね。
愛日という言葉は知りませんでした。
反対語というのは、とっさには出てきませんね。

先日、深夜番組で、この言葉を30秒以内に説明せよ。というのをお笑い芸人が回答者としてやってましたが、しゃべるのが得意なはずのお笑い芸人がエ〜ッとああだから・・・と詰まって、シドロモドロでした。
結局、元猿岩石で現在毒舌で売れている有吉が、優勝しました。
ねこのひげ
2012/04/24 04:21
コメントをありがとうございます。

 言葉の説明は素人にはむずかしいですよね。

 辞書の編纂者たちだって、30秒以内などと条件をつけられると、ちゃんと答えられないかも。連中の仕事も旧来の辞書を参考にする場合が多いと聞きます。
(^^;)
ねこのひげ様<素町人
2012/04/24 12:07
難易度の高い?
難度の高いでしょう。
難易度という誤字やめて頂きたい。
よしもと
2015/07/02 14:22
コメントをありがとうございます。

 「難易度/難度」についてのご指摘、ありがとうございます。
 今まであまり意識していませんでしたが、面白いので調べてみました。

 2004年12月28日のNHK放送の「気になる言葉」では、“難易度”が高いというが、“難度”が高いの間違いでは? という視聴者の質問に答えています。「難しさ」の程度なのだから、「易」が入っているのはおかしい。よしもと様と同じ疑問でしょうか。
 回答は次のようなものです。「しかし、対極にある二つの言葉で熟語になっているものの中には、片方の意味が薄れてしまうものもあります。難易度も、「易」の意味が薄れてしまい、実質は「難」の意味になっています。他にも、「緩急=ゆるいことときびしいこと」は“差し迫った事態”の意味に使われる場合もあるなど、片方の意味が強くなる熟語はいろいろあるようです」。

 次に辞書を引いてみました。難易度は「大辞林」にも「大辞泉」にも立項されていました。「難易度が高い」という用例も見かけました。

 さらにグーグルとヤフーで検索してみました。どちらでも、難易度が900万件弱、難度が400万件弱でした。「〜が高い」をつけて検索した結果では、グーグルでは135万件対65万件。どうも「難易度が高い」はいまや平気で使われているようです。(いずれも150703現在)

 「いまや」と申し上げたのは、1980年代に発行されている大型辞書「日本国語大辞典(小学館)」には「難度」「難易」は立項されていますが、「難易度」は立項されていないからです。また、青空文庫の夏目漱石・芥川龍之介・森鴎外・樋口一葉その他の作品を検索した結果でも「難易度」という言葉は引っかかりません。「難易」は福沢諭吉が頻繁に使うようですが。
よしもと様<素町人
2015/07/03 09:03
★前からの続き
 まぁ、これだけでは証拠として弱いのですが、勝手な推測をすれば、「難易度」はここ30年余りのうちに急速に普及した可能性はありますね。

 ただし、すでに過半数を大きく越える使用例があるところから、仮にそれが正統派ではないにせよ、「難易度が高い」は市民権を得たものと考えられます。「言葉は多数決で決まる」という原則に従うしかありません。NHKが「気になる言葉」の中で、「実質」という言葉を使っていますが、それも「まったき正しさはないけれども、可決されている」という認識があるのかもしれません。

 以上のように調べたり考えたりした結果、「難易度が高い」という表現はけっして誤りではないと、素町人は結論づけました。以後も使うでしょう。もちろん、「難度が高い」も誤りではありません。
 今後ともご指導・ご指摘を賜るよう、お願い申し上げます。
(^^;)
よしもと様<素町人
2015/07/03 09:05

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