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zoom RSS 寺田寅彦の誕生日にちなみ「西鶴と科学」から読み問題。「斯学」はなんと読むの?

<<   作成日時 : 2011/11/28 07:08   >>

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★日本語★
問題:本日11月28日は、寺田寅彦(とらひこ)の誕生日だそうです。明治11年(1878年)に生まれ、昭和10年(1935年)の大晦日に他界したらしい。満57歳だったようです。
■「天災は忘れたころにやってくる」という言葉でも知られた物理学者です。博士論文は「尺八の音響学的研究」という題名だそうです。大学で教鞭をとるかたわら、帝大地震研究所の所員もつとめていたとのこと。波動についての専門家なのかな。
■熊本の第五高等学校で出会って以来、夏目漱石の弟子だったらしい。「吾輩は猫である」に登場する水島寒月(かんげつ)という学者の卵は寺田寅彦がモデルかと推測されているそうです。俳人でもあり、随筆家としても知られた文理二道の達人です。
■本日は寺田寅彦の133回目の誕生日を記念して、その随筆「西鶴と科学」の中からの漢字・熟語の読み問題です。次の言葉はなんと読むでしょうか? 例によって青空文庫で振り仮名が振られているものは、その振り仮名を正解とします。
[い]尤も
[ろ]翰林院
[は]瞽家
[に]瀰漫
[ほ]斯学
(答えはずっと下↓ スクロールして下さい)


























★日本語★
正解:各項目を参照してください
説明:[い]尤もはもっと(も)と読む
■「尤も」は、「当然」と言い換えることができます。「あれだけ働いていい結果を生み出したのだから高額のボーナスを貰えるのも尤もだ」などと使います。
□例外を示す際にも使われますね。「みんなよく働いた。尤もなかにはサボっていた奴も何人かいたようだが」などと使います。この場合の「尤も」は接続詞だそうです。
□「西鶴と科学」では、「…というのが従来の定評のようで、これも一応尤もな考え方であると思うが、しかしこれについて多少の疑いがないでもない」と使われていました。「当然」の意味ですね。
□「尤」という漢字は、常用漢字表には掲載がありません。漢和辞典「字通」によれば「ユウ、とが、ことなる、もっとも、はなはだ」という字音・字訓があります。「尤物(ユウブツ)」という熟語をつくります。「美人」という意味があります。また「珍奇のもの」という意味もあるらしい。いずれにせよ人目を惹く存在ですね。
□江戸研究家の三田村鳶魚(えんぎょ)の文章では、「劇場と遊廓とは、両性美の尤物を集中した場所である」と使われていました。「美人」の意味らしい。尾崎紅葉(こうよう)の小説「金色夜叉」や樋口一葉の小説「たけくらべ」では「まれもの」という振り仮名がつけられていました。「珍奇のもの」という意味なのでしょう。
[ろ]翰林院はカンリンインと読む
■「翰林院」は、「唐の玄宗の時代以来、高名な儒学者・学士を召し、詔勅の起草などに当たらせた役所」だそうです。日本には輸入されなかったようですね。日本では学士院の別名として使われることが多いらしい。西洋流にいえばアカデミーですね。「学問・芸術に関する指導者・権威者の団体」という意味があるそうです。ハリウッドの映画商人たちのお祭りとは、直接の関係はなさそうです。
□「翰」という漢字は、常用漢字表には掲載がありません。漢和辞典「字通」によれば「カン、とぶ、はね、ふで」という字音・字訓があります。「書翰(ショカン)」というよく知られた熟語をつくります。「ふで」という意味で使われているのかな。「翰林(カンリン)」は、そもそもは「文学の人たち」という意味があるようです。
□「西鶴と科学」では、「こうした独断的否定はむしろ往々にしていわゆる斯学の権威と称せられまた自任する翰林院学者に多いのである」と使われていました。
[は]瞽家はコケと読む
■「瞽家」は現代の辞書には掲載のない言葉です。おそらくは「盲人」という意味かと思われます。
□「瞽」という漢字は、常用漢字表には掲載がありません。漢和辞典「字通」によれば、「コ、めしい」という字音・字訓があります。「めしい」は「盲目」を意味します。「瞽女(ゴゼ)」という熟語をつくります。「鼓を打ったり三味線を弾いたりなどして、歌をうたい、門付(かどづ)けをする盲目の女芸人」だそうです。「はなれ瞽女おりん」という小説・映画がありましたね。
□「西鶴と科学」の中では、「和漢の書を引て瞽家を威(おど)し」と使われていました。曲亭馬琴(ばきん、滝沢馬琴)の文章の引用です。「こけおどし」らしい。「愚か者を感心させる程度のあさはかな手段。また、見せかけはりっぱだが、中身のないこと」だそうです。なお、「こけおどし」は、現代の表記では「虚仮威し」です。この場合の虚仮は「愚か者」だそうです。
[に]瀰漫はビマンと読む
■「瀰漫」は、「一面に広がり満ちること。はびこること」だそうです。「あの政党では駄目だという空気が瀰漫している」などと使われます。
□「瀰」という漢字は、常用漢字表には掲載がありません。漢和辞典「字通」によれば「デイ、ビ、ベイ、みなぎる」という字音・字訓があります。「瀰漫」以外には、よく使われる熟語は見当たりません。
□「西鶴の科学」では、「これらは、西鶴一流とは云うものの、当時の日本人、ことに町人の間に瀰漫していて、しかも意識されてはいなかった潜在思想を、西鶴の冷静な科学者的な眼光で観破し摘出し大胆に日光に曝したものと見ることは出来よう」という長い文章の中で使われていました。
[ほ]斯学はシガクと読む
■「斯学」は、「この方面の学問」という意味だそうです。「斯学の権威」と使われるのはときどき見ます。「その学問分野の第一人者」といった意味ですね。その他の使いかたは見たことがありません。
□「西鶴と科学」の中でも、「斯学の権威」と使われていました。用例は「翰林院」とおなじ文章です。「こうした独断的否定はむしろ往々にしていわゆる斯学の権威と称せられまた自任する翰林院学者に多いのである」。
□「斯」という漢字は、常用漢字表には掲載がありません。漢和辞典「字通」によれば「シ、さく、これ」という字音・字訓があります。「瓦斯(ガス)」という熟語をつくります。当て字かもしれません。「波斯(ペルシャ)」という熟語もつくります。こちらは完全に当て字ですね。
◆参考*1:HP「図書カード:西鶴と科学」
http://www.aozora.gr.jp/cards/000042/card42699.html
◇*2HP「常用漢字表:文部科学省」
http://www.mext.go.jp/b_menu/hakusho/nc/k19811001001/k19811001001.html
◇「日本国語大辞典(小学館)」
◇Yahoo! J Dictionaries 大辞泉
◇Yahoo! J Dictionaries 大辞林
◇辞書「字通」白川静、平凡社

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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
[い]と[ほ]は、いまでも時代小説や歴史小説を読んでいると出てきますね。
「天才は忘れたころにやってくる」という言葉を残した人ですか・・・
今年はまさにその言葉にぴったりの年でしたね。
(~_~;)
ねこのひげ
2011/11/29 05:14
コメントをありがとうございます。

 自然災害は必ずやってきますけど、その被害は少しずつ減らすことができるようです。

 今回はM9.0のすごいエネルギーの余波で2万人弱が亡くなりました。次回には半分に、さらにその次には四半分にできるよう努力と工夫を重ねたいものです。
(^^;)
ねこのひげ様<素町人
2011/11/29 21:38

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