32文の観覧料。熱狂的なブームを巻き起こした鑑賞用動物とはなんなの?

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★歴史★
問題:文政(ぶんせい)4年(1821年)の6月。ある動物が長崎に来訪し、評判をとりました。長崎の御用絵師は、「唐蘭船持渡鳥獣之図」という絵を描いたそうです。もちろん瓦版で報じられ、たいへんな人気となったらしい。牡5歳、牝4歳のつがいだったとのこと。ただし、残されている瓦版によっては年齢はかなりマチマチになっているそうです。
■文政(ぶんせい)6年(1823年)には大坂・京都で見世物となり、翌年には江戸に登場します。翌々年には名古屋で巡業されたらしい。その後、北国巡回中に死亡したといわれます。
■当時の日本人にとってはたいへん不思議な存在だったこの動物は、次のどれでしょうか?
[い]麒麟(きりん)
[ろ]駱駝(らくだ)
[は]縞馬(しまうま)
[に]豹(ひょう)
[ほ]貘(ばく)
(答えはずっと下↓ スクロールして下さい)

























★歴史★
正解:[ろ]駱駝(らくだ)
説明:駱駝はアラビア産のものだったらしい。足に関節のように見えるものが3つあったそうです。「三節あり」と瓦版などにも記されたらしい。水脈を探り当てる天性を見せたそうです。日本人は弘法大師の生まれ変わりかと驚いた…かどうかは知りませんが、ともかく見たことのない珍奇な格好と振る舞いで、人気は得たらしい。瓦版の絵によるとフタコブ駱駝だったようです。日本でコブのついた動物といえば落語家の林家こぶ平(現九代目正蔵)ぐらいしかいなかったわけですから、そりゃ驚いたでしょう。
■「古今稀なる獣」を一目見たいと見物が押しかけました。観覧料が32文だったとのこと。古典落語「時そば」によれば屋台の蕎麦屋では16文で「しっぽく」が食べられたとのこと。現代だと500円弱ぐらいなのでしょうか。32文はその倍ですから1000円弱ぐらいなんでしょうかね。
■この料金では、庶民には少し高値だったようです。見世物をからかった狂歌が残されています。
---押あうて 見るより見ぬが らくだろう 百のおあしが 三つに折れては
下の句は、32文が100文の約1/3であることと、足に関節様のものが3つあることをかけているようです。高いぞと文句をつけながらも、押し合って見物しているのが庶民のようです。
■ご存じのように駱駝には、ツバを吐く癖があります。浅草奥山の観客たちも臭いツバを吐かれて難儀したのでしょうか。瓦版に記されているのかな。
■見物人は、駱駝がのそのそしているだけなのをみて、「何の役に立つのだろう」という疑問も抱いたらしい。このとき以来、「大にして鈍なること」をらくだというようになったそうです。
■古典落語の名作「らくだ」は、駱駝の生態が知れ渡ったあとにできた噺といわれています。「らくだの馬さん」、あるいは「らくだの卯の助」と呼ばれる長屋の嫌われ者・乱暴者の死をきっかけに、屑屋さんが珍妙な騒動に巻き込まれるお話です。
◆参考*1:書籍「かわら版 江戸の大変 天の巻」初版18~19頁、稲垣史生著、ISBN4-582-63301-3、平凡社
◇*2HP「ラクダ - Wikipedia」
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%A9%E3%82%AF%E3%83%80#.E4.BA.BA.E9.96.93.E3.81.A8.E3.81.AE.E9.96.A2.E3.82.8F.E3.82.8A
◇*3HP「象が初めて日本に渡ってきた日。誰に謁見したの?」
http://blog.q-q.jp/200807/article_25.html

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この記事へのコメント

ねこのひげ
2011年11月19日 07:16
「ブラタモ」で紹介してましたね。
当時描かれた雌雄のラクダの絵を見たタモリさんが「このまつげは描き過ぎでしょ。まるで付け睫毛だ!」と言ってゲラゲラと久保田アナウンサーと笑ってました。
オラウータンも輸入されて買われていたようですね。
鎖国といいながら結構色々輸入されていたようで。
ねこのひげ様<素町人
2011年11月19日 13:55
コメントをありがとうございます。

 珍しい文物は、権力者への贈り物としても商品としても珍重されたようですね。
 「舶来鳥獣図誌」(八坂書房)という本を眺めると、イリエワニとかオオトカゲとかも輸入されているようです。
 イリエワニは最大級の爬虫類らしい。フルメタルの檻がなかった時代です。獰猛で力の強い奴をどうやって運んできたのか。不思議ですね。
(^^;)

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